中川大志とのW主演作 映画『ReLIFE リライフ』-平 祐奈 | Deview-デビュー
平 祐奈

撮影/草刈雅之 取材・文/三沢千晶

『きょうのキラ君』、『サクラダリセット』、『暗黒女子』など、数多くの話題作に次々と出演している平 祐奈。映画『ReLIFE リライフ』では中川大志とW主演を務め、コミュニケーション音痴で不器用な女子高生・日代千鶴役を熱演。普段の自分とはまったく異なる役柄を演じた彼女に、直撃インタビュー!
「小さな目標を一つひとつクリアしていって、1分1秒を大切に過ごせていけたらいいな」
平 祐奈
――“もしも高校時代に戻れたら…”と、誰もが一度は考えそうな夢を実現してくれる映画ですね。祐奈ちゃんは台本を読んでどう感じましたか?
「27歳が17歳に戻れるという、現実とは違った夢のある世界観だなと思いました。私の演じた日代千鶴は不器用で真っすぐな女の子だったので、私はこういう子にもなれるんだなという気持ちになりました。あとは、今までとは違ったストーリーの中に入れるのはすごく楽しみでした」
――日代千鶴という女の子になるためにどんな役作りをしましたか?
「原作のマンガを読んだときに、日代さんは周りに興味がなくコミュニケーション音痴なんですけど、思ったことはストレートに言うタイプで。それは相手のことを気にしていないからで、相手を傷つけたりもするんだけど、ストレートに言うからこそ伝わる部分があって、そこがまた可愛いなと思いました。役作りとしては、本当に自分とは正反対の子だったし、マンガのファンの方が多いので“大丈夫かな?”という不安は大きかったです。なので、マンガを何度も読み直して、アニメも全部観て、マンガをコピーして日代さんの表情を全部切り取って貼り付けて、“日代ノート”っていうのを作ったんです」
平 祐奈
――いわゆる役作りノートですね。
「ハイ。日代さんのプロフィールを書き込んで、クラスメートの(中川大志演じる)海崎(新太)さんや(池田エライザ演じる)狩生(玲奈)さんとの関係性を書いたり、映画の中に出てくるシーンを書いて、“ここのシーンはこういう気持ちだから、こういうふうに言う”、“目ヂカラが大事”、“このシーンはマンガではこういうカバンの持ち方だ”とか。そのノートとセリフとで睨めっこをしていました。中でも“ニタリ顔”という難しい顔があったんです」
――日代の無理に作った不自然な笑い顔ですね。
「そうなんです。自分では笑顔だと思っているんだけど、相手から見ると気持ち悪い顔っていう(笑)。日代ノートに“ニタリ”ページを作って、その顔をいっぱい貼ってニタリの練習をしました。それと、日代はしゃべっている言葉に気持ちが入ってないというか抑揚のない子なので、一定のトーンでしゃべらないといけなかったのが難しかったです。それでノートに書き込んだことを本番でやってみて、監督に『これはどう思いますか?』と聞いてみたりしていました。ニタリは本番前にけっこう練習をしていたので、監督に『いいね!』と言われてちょっと安心しました」
――シーンとして難しかったところはありますか?
「原作に忠実に演じようという気持ちが強かったので、撮影中は常に難しかったです。ずっと気が張りっぱなしでしたし、『ReLIFE リライフ』を撮影していた1ヵ月間は今までとは違った感覚でした」
平 祐奈
――古澤健監督とはどんなコミュニケーションをとられましたか?
「アドバイスはいっぱいもらいました。この映画にはちょっと青春っぽいというかキュンとするシーンもたくさんあるんです。たとえば文化祭のダンスの練習で、日代と海崎さんがぶつかったりするシーンのときに、カメラの横に監督がいて、ずっとニヤニヤしているのが視界に入ってくるんですよ(笑)。で、チラッと見ると指を立てて(いいね〜)みたいな感じなので、その顔を見られるのが嬉しかった。それでもっと頑張ろう!という気持ちになりました。あと、神社で浴衣を着て雨の中を走っているシーンがあるんですけど、撮影が仙台だったので、すごく寒かったんですよ。そしたら、その日は監督も浴衣を着てきてくれて、雨降らしのシーンで『本番よーい!』と言ったときに、監督が浴衣姿で雨の中に飛び出してきて、『みんな頑張るぞ!』と励ましてくれて。『監督、大丈夫ですか?』って聞いたら、『みんなが寒い中でやってくれているから俺も!』って同じ気持ちになってくださって。そのシーン以外でも、いつも同じ目線でいてくれたんですよね」
平 祐奈
――熱い監督さんですね。
「狩生さんとの夜のシーンでも、監督はすごく薄着だったので『寒くないですか?』って聞いたら、『みんなはもっと寒いでしょ。俺はへっちゃらだよ』と言ってくれたりしました。あと卒業式のシーンなんですけど、本番前のテストで泣き過ぎてしまって本番で涙が出なかったんですよ。私、泣くシーンがそんなに得意じゃないので、そういうときは毎回監督の元へ行くんですけど、そのときに『ここ何日か日代さんを見ているとすごく成長しているし、俺、本当に日代さんが大好きだからね』って言ってくれて、その言葉にウワ〜っと涙があふれてきて、そのまま本番に行ったんです。本当に1人1人とちゃんと向き合って寄り添ってくださって熱い監督でした」
――お話に出た浴衣の雨のシーンは、日代さんが初めて自然と笑う重要なシーンですよね。
「そうなんです。日代さんには一つちょっとしたポイントがあって、普段はあまり感情を表に出さないんですけど、実は前髪で感情の表現があって。いつもはパッツンなんですけど、ところどころで気持ちの変化とともに、前髪が開いてきたりするんです。あの浴衣のシーンでは、日代さんの前髪がけっこう開いているんです。心の開き具合を前髪で表すという部分は監督とメイクさんと一緒に考えてやっていました。髪型は、どんな役をやるときもけっこう重要なポイントなんですけど、今回は特に日代という完成されたキャラクターがあるので、そこにどう近づくかが大事でした。3日に1回くらいは前髪を1ミリとか0.5ミリとか揃えてもらっていましたね」
平 祐奈
――そこは注目ポイントですね!
「ハイ。日代はいろいろと秘密を抱えているので、詳しくは言えないんですけど、初めて人に興味を持って気持ちが揺れ始めたシーンはぜひ観てほしいです」
――海崎役の中川大志くんとはこれまでもたくさん共演されていますが、現場の様子はどうでしたか?
「大志くんとは13歳から毎年共演しているんですよね(笑)。千葉(雄大)さんは、10歳も年上なんですけど、そんなこと感じさせないくらいに溶け込んでいて、初日からみんな打ち解けていました。教室が控室だったので、みんな一緒に机をくっつけてお弁当を食べたりもして。食べている最中でもカメラを向けられると、食レポが始まったり、“3分クッキング”といって出来合いのお味噌汁をお湯を入れて作ったりとか、大志くんが買って来てくれたマシュマロをストーブの上で焼いてマシュマロ焼を作ったり。撮影が早く終わったら、みんなで牛タンを食べに行ったりもしました」
――みんな仲が良くて楽しい現場だったんですね。
「本当に毎日みんなと一緒にいて、ストーリーとは違うもう一つの学校生活を送っていた感じでした。私と大志くんの趣味が同じカメラだったこともあって、オフショットをみんなで撮り合いっこしていたんです。その写真が1000枚以上あって、それは『ReLIFE リライフ』のフォトブックに使っていただきました」
平 祐奈
――映画の中でもイベントが盛りだくさんでしたね。
「学園祭のシーンは本当に楽しかったです。私は実際の学生生活で学園祭に参加できなかったので、この作品を通して疑似体験できて良かったです。あと花火大会も友達と行ったことないし、いっぱい青春させてもらいました」
――映画は27歳から17歳になってやり直す物語ですけれど、その逆に、祐奈ちゃんは10年後、どんな大人になっていると思いますか?
「28歳か……何しているんだろう? でも、このお仕事を続けていられたらいいなって思います。それと時代劇も好きなので、日本の伝統とか、所作とか、日本のことをもっと勉強して、時代劇にたくさん出ていたいなとも思います」
――憧れの女優さんはいますか?
「時代劇でいったら由美かおるさんがカッコ良くステキですよね。それと、宮沢りえさんは、NHK大河ドラマ『江〜姫たちの戦国〜』で茶々を演じられていたのがすごくステキでした。どんなお芝居をされていても品があるし、女性としての品格があって何をされてもお綺麗なんですよね。こないだ『湯を沸かすほどの熱い愛』を観たんですけれど、病院で寝込んでいるシーンなんかすごいリアリティがあって。10年後には、そんなふうに人の心を動かせる女優さんになっていたいなと思います」
――逆に10年後の祐奈ちゃんから今の祐奈ちゃんにアドバイスをするなら、どんな言葉をかけますか?
「私は日代さんとは逆にテンションが高いので、10年後には落ち着いていたいと思うんですね。だから『もっと女の子らしくしなさい』って思うかもしれない(笑)」
平 祐奈
――それでは、芸能界デビューの夢を叶えたいと願っている『Deview』読者へ、メッセージをお願いします。
「私、デビューのキッカケが『Deview』さんなんですよ。母と祖母が、私の知らない間に雑誌を見て、是枝裕和監督の『奇跡』(2011年)のオーディションに応募していたんです。それに合格したことで、この世界に入ったんですが、そういうキッカケを作ってくれたおかげで、私は今こうして女優をやっていると思っていて。明日、何が起こるかわからないし、未来って自分にも誰にもわかんないですよね。今こうして話していても、1分、1秒とすぐに過去に変わっちゃうし、そういう時間を全部楽しいと思えたらいいかな?って私は思うんです。大きな夢もいいけど、小さな目標を一つひとつクリアしていって、1分1秒を大切に過ごせていけたらいいなって。だからみなさんも小さな一歩一歩を大切にしていってほしいなと思います!」
Profile
平祐奈(たいら・ゆうな)●1998年11月12日生まれ、兵庫県出身。ピーチ所属。2011年に映画『奇跡』で女優デビュー。その後、映画やドラマ、CMなど様々な作品に出演。2015年『案山子とラケット 〜亜季と珠子の夏休み〜』で映画初主演、同年9月にはドラマ『JKは雪女』(MBS・TBS)で連続ドラマ初主演を果たす。2017年は『キセキ ―あの日のソビト―』、『きょうのキラ君』、『サクラダリセット』(前篇:3月25日公開、後篇:5月13日公開)、『暗黒女子』(4月1日公開)、『忍びの国』(7月1日公開)に出演。2018年には『写真甲子園 THE MOVIE』(11月公開)が控える。
映画『ReLIFE リライフ』
4月15日(土)全国ロードショー
ReLIFE リライフ
ReLIFE リライフ
ReLIFE リライフ
© 2017「ReLIFE」製作委員会
©夜宵草/comico
人気No.1マンガアプリ「comico」で、連載スタート時よりランキング1位を独走中の「ReLIFE」が、単行本化、アニメ化、舞台化に続き待望の映画化。
≪story≫
主人公の海崎新太(中川大志)は、新卒で入社した会社を、ある事件をきっかけに5ヵ月で退職。その後再就職を試みるも不採用続きで、気づけば27歳になっていた。ある日、謎の男に誘われた海崎は、見た目だけ10歳若返る薬を飲んで、1年限定で高校生活を送るという社会復帰プログラム「リライフ」に参加することに。失うもののない海崎はなかばヤケクソ気味に二度目の高校生活に飛び込んでいく。
青葉学園3年6組の編入生として海崎のリライフ生活がスタート。プログラム終了の就職斡旋が目当ての海崎は、深入りせずに影の薄い存在のまま、1年をやり過ごそうと考えていた。しかし、成績はトップだが極度のコミュニケーション音痴の日代千鶴(平祐奈)をはじめ、10歳年下の個性的なクラスメイトたちと日々過ごすうちに、海崎の止まっていた時計が動き出し、限られた≪今≫を精一杯生きるようになる。

公式サイト: http://relife-movie.jp/
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