16日に開幕する舞台『ダンガンロンパ THE STAGE 〜希望の学園と絶望の高校生〜2016』の一般公募オーディションに合格、超高校級のアイドル・舞園さやか役で出演を果たす後藤郁。アイドル卒業から約2年。女優として「第二章」の幕を開ける後藤に話を聞いた。

■後藤郁インタビュー
「“戻っていいよ”って言ってもらえた気がして、泣きました」

――2月に行なわれた舞台『ダンガンロンパ THE STAGE2016』の発表会見で、未発表だったオーディションで決定したキャストが、後藤さんだと初めて知ったときには驚きました。

「たくさんのメディアの方にニュースにしていただきましたし、書かれている言葉も温かくて嬉しかったです。会見が終わって一人でカレーを食べていたら、メンバーや、今までお世話になった皆さんからすごくたくさん連絡が来て！　思い出してもウルッと来ちゃうんですけど…あれカレー食べてなかったら泣いてた。お店だったから泣かなかった」

――『超高校級のアイドル』役ですが、ご自身のアイドル経験は役作りに使えそうですか？

「がっつり経験が反映されています。自分がアイドルをやっていたからこそ“どこかしらひとつ演じている”という、アイドルの佇まいがなんとなくわかるので。アイドリング!!!時代、私がそんなにアイドルだったかと言うと…なんですけども（笑）。バラエティアイドルではありつつも、常にアイドルというものを大事にしていたいと思っていたタイプなので、アイドルを纏うという経験は活かされているなって思います」

――女優として再始動するうえで、経験は強みです。

「グループの大切さも分かっているし、芸能界で生きてきた子ならではの特殊な心情が役柄のキーにもなっているので。それを経験しているのといないのでは違うと思っています。せっかく自分がキャスティングされたからには、そこはキチンと丁寧に、ある意味生々しく出していきたいです」

――少し話を戻すと、2014年6月にアイドリング!!!を卒業してからは、完全に芸能活動から離れていて。

「完全に。もう1年半どっぷり大分の地元に引きこもって、森の中にぽつんとある感じの家で、愛犬・愛猫を愛でる日々でした。人よりもイノシシに出会うぐらいなので、ワンコたちの散歩をするときは常に、最近学んだエアガンを携帯して（笑）。それがあるのとないのとでは気持ちが全然違うんですよ。それも“アクションやりたいなあ…”って持ち始めて。最近ドラマや映画でも、銃を扱うシーンが意外と多いので、手になじんでると違うかなって思って」

――休んでいる間も、やっぱり女優への想いは残ってたんですね。

「中学2年のときに応募した『ホリプロタレントスカウトキャラバン』のときから、女優さんになりたいって思ってました。アイドルも経験すべきことだったと私は思っているんですが、その活動のなかでドラマや映画に出させてもらって、あの瞬間が一番好きだったし楽しかった。だから、これを極めたい、もっとやりたいって思っていました」

――ブランクを経て、また動き出そうと思ったきっかけは？

「アイドルを辞めても　世界は広いわけですし。この世界しか知らないんですが“これから女優として活動する覚悟はあるか”ということを、1年間ずーっと考えてました。オーディションでアイドルになって、４〜5年にわたって仕事をしていたので、ちょっと素がわからなくなっていた部分があって。本当に自分と対面する1年間でした。ちょうど家の中も落ち着いたころだったので、年齢的にもやるなら今しかないって思いました」

――そして『ダンガンロンパ』のオーディションに出会って。

「デビューさんに掲載されていましたよね！　タレントスカウトキャラバンのときからずっとデビューです（笑）。『ダンガンロンパ』は以前から知っていて、アニメから入って、ゲームにハマッて、舞台も観てすごく面白かった。『超高校級のアイドル』役というのにもピンときました。まずはとにかく挑戦だと思って応募しました。家族以外の人と話すのも久々と言うのもあって、すごく緊張したんですが」

――オーディションでは何か目立つことをしたそうで。

「さやかが激しい一面を持っている子なので、ガスガンのコルトガバメントを制服チックな服装に隠し持って行きました。自己PRの時に『SWATチームが敵地へ潜入するところ』って言って“パンパーン！”ってやり始めたらみんなビックリしてました（笑）」

――それはアブナイですね（笑）。

「そこから『24』が好きだという話になって、プロデューサーさんから“モノマネできる？”って言われたので“奥さんのテリー・バウアーと娘のキムの吹き替えのモノマネができます”って、二人が拉致される激しいシーンをやったら、ウケましたね。でも“ちょっと長い”って…そちらがフッたのに！（笑）。後から演出の田尾下（哲家）さんは“さやかは激しいものを持っている女の子なので、それが見られて良かった”と言ってくださって」

――自分の考えもハマって、合格をつかんだわけですね。

「実は正直、落ちたと思っていました。緊張で演技審査の時は動きが重く感じていたし、そういうのって見透かされるじゃないですか。でもやることはやったから後は信じようと思って待っていたら合格をいただけて。泣きましたね。ホッとして泣いたというのもありつつ、“戻っていいよ”って言ってもらえた気がして」

――現在稽古の真っ最中ですが、舞台の稽古は初めて？

「舞台が初めてなので、“稽古場にジャージを着て行ってもいいのか？”ということも分からなくて。でも、初歩的なことも笑いながら聞いてコミュニケーションを取っていくと、ホントに皆さん優しい方ばかりでした」

――特にしずちゃん（山崎静代）と仲良くなったそうで。

「一度一緒に帰ったときに、いろんなことを話して仲良くしていただくようになりました。目を見てゆっくり話してくださる方で、とにかく笑顔が素敵で癒されます。しずちゃんさんの筋肉がすごくいいな、抱きつきたいなって思っていて、それを言ったら“いいけど、ウチ困惑するで〜”って言ってて（笑）。この間、帰り際にしゃがんでいたときに後ろから抱きついて“宣言通り抱きつきました”って言ったら笑ってました」

――では舞台『ダンガンロンパ THE STAGE2016』の見どころを教えてください。

「まずは大人気の作品ですから、私が何も言わなくてもとにかく面白いです！　自分自身もそうですが、ゲームやアニメのファンの方もいらっしゃるので、気持ちよく観てもらいながら自分を出すという、せめぎあいの中でやっているので、そこも注目してほしいです。舞台でしか出せないキャラの魅力や台詞、動きをキャストそれぞれが付け加えているので、違いを見るのも面白いと思います。私が演じる舞園さやかちゃんは人気キャラなので、丁寧に演じたいというのもありつつ、キャラと台詞が決まったなかに、どこまで自分を入れられるか、挑戦しながら楽しんでいます」

――この先、女優としての第二章が始まりますが、どんな目標を持っていますか。

「元々映画好きだったので、女優になったからには映画に出たいです。目力はあると言われますし、ちょっとの無茶は出来ますので、アクション映画をやりたい！　身体を張れっていうなら…マネージャーさんをチラチラ見ながら（笑）。今、家の近くの木を相手に射撃訓練をしているので、銃の扱いも極めたいし、元々居合1級を持っているので時代劇に是非出たいです。おじいちゃん子で時代劇が大好きなので」

――充電期間が長かった分、貪欲になってますね。

「自分にしか出せないものがもし1コあるとしても、女優をやりながらもっとたくさん見つけて、自分の色を出していきたいです。アイドルという限られた世界で活動してきたので、とにかく今いろんなことを経験したいというのが自分のなかの目標です。夢は全国区で知ってもらえる女優になること。そしてアジアをめざすぜ！って（笑）」

　後藤郁が出演する舞台『ダンガンロンパ THE STAGE 〜希望の学園と絶望の高校生〜2016』は6月16日〜6月26日 Zeppブルーシアター六本木で上演。その後、名古屋・大阪・神奈川の全4都市で上演を予定。同作には後藤のほか、本郷奏多、岡本玲、中村優一、七木奏音、松風雅也、長田庄平（チョコレートプラネット）、松尾駿（チョコレートプラネット）、雨野宮将明、池端レイナ、宮下雄也、村田充、杉江大志、石田晴香、泉貴(THE HOOPERS)、森山千菜美、佐藤すみれ（SKE48）、岩田華怜、松田彩希、後藤郁、 山崎静代（南海キャンディーズ）、神田沙也加らが出演する。チケットはチケットぴあ、ローソンチケット、イープラス他にて発売中。『ダンガンロンパ THE STAGE 2016』公式サイト（ http://www.cornflakes.jp/dangan/2016/）