『銀河英雄伝』シリーズ「天才・ラインハルト」に挑む!! - 間宮祥太朗 | Deview-デビュー

撮影/北山美穂子 取材・文/舘野玲果
ヘアメイク/三宅茜 スタイリング/津野真吾

2011年1月から2014年3月まで、全10作品を上演、惜しまれながらも最終章を迎え幕を下ろした舞台『銀河英雄伝』シリーズが、特別公演として6月に復活。2012年より、銀河帝国『常勝の天才』ラインハルト・フォン・ローエングラムを演じてきた間宮祥太朗。この1年で数々のドラマに出演し、大きく成長した彼に、1年ぶりの舞台への意気込みを直撃してきました。
「今回の『銀河英雄伝説』をきっかけに舞台作品に触れるきっかけになってくれたら……」
――舞台『銀河英雄伝説』シリーズで、2012年よりラインハルトとして出演。前作で最終章として幕が下りたなか、再び特別公演という形で上演されると聞いてどう思いましたか?
「驚きでした。『銀英伝』の公演が定期的にあるうちは、常に“またいつかラインハルトをやる”ということを心の中に留めいておいた部分があったんです。でも、前回で自分の中の緊張感を一度切っていたので、ちょっと焦りました。舞台に立つこと自体も、前作の『第四章 後篇 激突』以来なので、早く勘を取り戻したいです。役を取り戻す時間が長くなってしまうと、新たな肉付けやこの一年で経験したことを取り入れる時間が少なくなってしまう気がするので」
――でも、これまでの積み重ねがあるから入り込みやすいのでは?
「前作で終わりと聞いていたことで、ラインハルトという役に対しての意識が離れてしまったので、一度集中を切ってしまった勘を取り戻すのが大変そうだなと。でもその間にほかの現場で学んだことはたくさんあるので、それを活かしていければと思っています」
――今作で6回目のラインハルトですが、間宮くんが思う、ラインハルトの人物像とは?
「すごく不器用、というか盲目的で視野が極端に狭いです。自分の哲学を持ち過ぎていて、ラインハルトが“カラスは白い”と思い込んだら、どんな人が“黒い”と言っても聞かないタイプかな。でも、そんな自分本位な部分がありながらも、見据えているところは国や政治を変えるという大きなところを見ていて。さらに、自分の強いエゴイズムを周りに強要させるわけではなく、巻き込んで行く力を持っているんです」
――演じるのは、とても難しそうですね。
「そのカリスマ性をどう見せるか、演じる上で一番意識しました。観に来ているお客さまが目が離せなくなるくらい、何をしていても魅力的じゃなきゃいけないし。もうひとつ秀逸だなと思ったのが、原作者の田中先生は“姉を溺愛している”という、女性が母性を働かせる一面をラインハルトに持たせているんです。そこで、女性の方々は姉上に感情移入してラインハルトに愛嬌を感じる。そこがラインハルトを人間的にもっと魅力的に見せているんです 。そんな愛嬌のある部分や照れ屋なところなどの多面性をどう演じるかは意識してやりました」
――ラインハルトとご自身、共感するところはありますか?
「僕も役者始めて1〜2年くらいまではすごい視野が狭くて。というよりも、見えているけど見ようとしなかったというか。そういう似てる部分があると思ったから、最初にラインハルト役をやらせていただいたとき、“あ、僕この役できるな”と思えたんです。ラインハルトのカリスマ性とかね、あくまでフィクションなので。僕自身は、最近ちょっと治ってきましたし、変わってきていると思います。ずっとラインハルトみたいじゃいけないので(笑)」
――間宮くんにとっては『銀英伝』は2012年からと長く関わった作品。どんな存在だと感じていますか?
「難しいな〜。自分が一緒に成長した感じはします。自分がほかの仕事で得たものの影響も出ますよね、同じ役だからこそ。あとは、『銀英伝』は一つのカンパニーとしての持続性や繋がりも強かったので、同じ仲間でやるという意味では、旅芸人じゃないですけど、数ヵ月に一回訪れる、大きな作品のひとつではあるなとは思っています」
――自分の成長を実感できる場所?
「成長を実感……しないな〜。自分では(笑)。でも、やっぱりラインハルトをやっていると、ファンの方にもカンパニーの皆さんにも『常勝天才・ラインハルト』として持ち上げてもらえるので、逆に成長しますよね。皆さんにのせられ、ちょっと自信が出る部分はかなりあると思います(笑)」
――成長といえば、前作からの1年間で数々のドラマに出演されましたが、周りの反響は変わりましたか。
「僕の実感としてはあまりないですね。“キテるな、自分!”みたいなのはないです」
――初写真集も出されたりしていますし……。
「いや、むしろ逆です。写真集に関してはマネージャーさんとかと『いつか出したいね』くらいで話をしていたんです。そしたらそんな話をしていた後すぐに『出すから』って聞かされて、『いやいや、“いつか”って言ったじゃん!』って。まだまだキテもいないのに、写真集を出して、どこに需要があるんだよって思いました(笑)」
――でもこの一年たくさんのドラマにも出演されて、間宮くんきっかけで、『銀英伝』を観に来る人も増えるんじゃないですか?
「だと嬉しいです。これだけこのカンパニーにお世話になっているので、そろそろ恩返し的なことができないと、僕も成長してないみたいになっちゃうので。ましてやこの一年僕が出てきた作品は、“映像”という多くの人が目に触れる、しかも若い世代の方々にすごく支持を受けた作品ばかりだったので。僕を知って下さった上で、『銀英伝』を観に来て下さったら幸せですよね。そして、もしそれが初めて舞台に接する機会だとしたら、それがその人の人生の中で、大きな発見になるかもしれない。目の前で役者が芝居するのは、ある意味ごまかしが効かないし、失敗も許されないという気持ちがあるんです。そういう舞台ならではの緊張感と、その場で生まれるライブ感を体験してほしいなと思います」
――俳優を目指す人にとって、目の前でお芝居が見られる舞台はすごく勉強になりますよね。
「舞台には自分の想像の範疇を越えているものを成立させてしまう力だったり、役者ってこんなにいろんなことができる可能性がある職業なんだと感じてほしいです。奥深くて、自分がやればやるほど幅が広がり、いろんなことが見えてくると思います」
――そんな間宮くんが思う、“芸能界デビュー”という夢を叶えるために必要不可欠なものって、どんなことだと思いますか。
「オーディションでは、無理して自分を魅力的に見せようするより、自分のありのままを愛してもらえるようにした方が可能性が高いんじゃないかなと思うんです。たとえば、情に訴えるとか(笑)。いろんな人と会話をして、人と人との繋がりを持てる人がいろんな仕事をしていけると思うので。あとはバイタリティじゃないかな。夢を見てる自分に酔っている間に、実現に向けて動いている人はいっぱいいるから、もし一歩が出遅れているなら今すぐやった方がいい。僕自身も芸歴6〜7年ですけど、現場で“キャリアの差ってこんなにあるんだな”と思うことがけっこうあって。なので、考えるよりも行動した方がいいと思います!」
――夢を叶えるというところで、演じるラインハルトは23歳で皇帝に即位。間宮くんもあと1年ほどで同じ年に追いつきますが、23歳までに手に入れておきたいものは?
「う〜〜〜ん。手に入れておきたいもの……信用?(笑)。いや〜堅実な自分が出ちゃいましたか?(笑)」
――(笑)。誰からの信用がほしいんですか?
「誰からも! ホントに! 自分が信用しているスタッフさんや、何度も仕事させていただいているスタッフさん、それは共演者の方も変わりませんが、そんな方が一緒の現場にいるとすごく仕事しやすいんです。肩の力が抜けて、余計なことを考えずに集中できる。なので、そういう繋がりがもっとほしいです。ようやく最近なんですよね、どの現場に行っても知り合いが一人はいるという環境ができたのは。……もうちょっと夢のある話がよかったですよね?」
――大丈夫です! “信用”大切ですよね。
「でも、デビューする前から“信用が大事なのか!”みたいなのって、夢がないですよね(笑)。あの、今度読者の質問コーナーとかあったら、ぜひ! いっぱい答えますので……」
Profile
間宮祥太朗
まみや・しょうたろう●1993年6月11日生まれ、神奈川県出身。トライストーン・エンタテイメント所属。2008年ドラマ『スクラップ・ティーチャー〜教師再生』(日テレ系)で俳優デビュー。『弱くても勝てます〜青志先生とへっぽこ高校球児の野望〜』(日テレ系)、『水球ヤンキース』(フジ系)、『学校のカイダン』(日テレ系)など多くのドラマに出演。また、5月30日スタートのNHK 土曜ドラマ『ちゃんぽん食べたか』に出演。
特別公演『銀河英雄伝説 星々の軌跡』
6月10日(水)〜21日(日)Zeppブルーシアター六本木
1982年に発売された田中芳樹氏による同名小説を原作としたスペースオペラ。原作はコミカライズやアニメ化など様々にメディアミックスされる超ロングセラー作品で、舞台シリーズは過去に10作が上演。遥かなる未来、専制政体をとる銀河帝国と民主主義国家である自由惑星同盟は、広大な銀河にて長き戦いを続けている。そこに現れた2人の名将によって、決着の瞬間が迫っていた。忠誠、野心、信頼、欲望、様々な想いを胸に、2人の英雄が最後の直接対決を迎える。主人公であり、自由惑星同盟“不敗の魔術師”ヤン・ウェンリーを河村隆一さんが、銀河帝国“常勝の天才”ラインハルト・フォン・ローエングラムを間宮祥太朗くんが演じる。
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