撮影/加藤千絵(CAPS)取材・文/熊谷真由子 ヘアメイク/宮本愛 スタイリスト/櫻井まさえ
11月25日公開の映画『L-エル-』主演をはじめ、今冬放送予定のドラマ『愛を乞うひと』、2017年新春放送予定のスペシャルドラマ『釣りバカ日誌 新入社員 浜崎伝助』、2017年公開の映画『新宿スワンU』ヒロイン、『巫女っちゃけん。』主演など、様々な作品で活躍中の広瀬アリス。2017年1月には、作・演出:赤堀雅秋よる舞台『世界』で、満を持して初舞台に挑む。風間杜夫、大倉孝二、早乙女太一ら豪華キャスト陣が名を連ねるなか、舞台初挑戦となる、今の心境を語ってもらった。
「初舞台はプレッシャーもあるけどすごく楽しみ。2017年のいいスタートを切れるんじゃないかな」
――作・演出:赤堀雅秋氏による『世界』で舞台初挑戦ですね。まずは意気込みをお聞かせください。
「先輩の舞台を何度か観に行かせていただいて、“いつかは自分もやりたい”と思っていたんですけど、いざお話をいただいた時は緊張しました。映像作品に慣れているので、舞台はどうなるんだろうと思いましたし、プレッシャーももちろんあります。共演は皆さん大先輩で、その中でひとり20代前半ですし、初舞台で新人なので、今もドキドキしています。右も左もわからない状況ですけど、先輩方と一緒に作り上げていく作品なので、今の自分の精一杯を出していこうと思います」
――どうして舞台に出たいと思っていたんでしょうか?
「映像作品でも舞台でも、このお仕事をする上では全てのことが挑戦で、いろいろなお芝居をしてみたかったですし、いったん幕が上がったらストップできないという緊張感も経験してみたかったんです」
――今、このタイミングで舞台に出演することになりましたが、ご自身のタイミングとしては早いという印象? それともやっとオファーが来た!という想いでしたか?
「早かったです。映像でもうちょっと経験を積んでから、舞台かなというイメージだったので、『おおお!』と不思議な想いでした(笑)。でもやるしかないので、すごく楽しみですし、2017年のいいスタートを切れるんじゃないかなと思います」
――赤堀さんと会った時の印象は?
「このお仕事を始めるまでのことや、どうやって芸能界に入ったのかなど、取材で聞かれるようなお話を20分くらいした後に、『あ、大丈夫です、何となくわかりました』 って言われて、『何がわかったんだろ!? 怖い!』と思いました(笑)。その時は私のお話はけっこうさせていただいたんですけど、赤堀さんの情報は何ひとつ入ってこなかったので、謎に包まれている怖さみたいなものはあります。赤堀さんの作品は人間の生々しい黒い部分が描かれているので、“何を考えているんだろう”って、その脳内に興味があります。稽古が始まったらじっくり観察しようかなと思っているんですけど、ただ、稽古中はそんな余裕はなくなっちゃうんだろうなとも思っています。周りからは『(赤堀さんは)厳しいよ』というお話も聞いているので、バシバシしごいてほしいです。当たって砕けろというか、私は砕けないので大丈夫だなと思いますし、何を言われても正面から受け止めて、しっかり修正できるようにしたい。そういう経験をさせてもらえること自体がありがたいので楽しみにしています」
――稽古前に準備しようと思っていることは?
「いえ、あえて何もないです。手ぶらで行こうと。何も持たずに行った方が臨機応変に対応できるし、それが一番いいなと思っています」
――大ベテランの風間杜夫さんなど、共演者は錚々たる面々ですね。
「和田正人さんとは、以前ドラマでご一緒させていただいたんですが、他の皆さんとはまだお会いできてなくて。みなさん大先輩ですし、盗めるところがたくさんあると思うので楽しみでもあります。私、すごく緊張しいで、この仕事をしているのに人前に出た瞬間、何も考えられなくなるし、ドキドキしてしまうし、苦手なんですけど、先輩方の足を引っ張らないようにしようとだけ思っています」
――舞台だとなおさら緊張してしまいそうですね。
「そうですね。大丈夫であってほしいなと思っています(笑)。でもあえてそういう場に身を置きたいというのもあって。稽古から始まって本番が終わるまでいろんな感情が生まれてくると思うんですけど、初舞台は1回しかないので、それを大事にしたいです。緊張もそのまま素直に受け止めて、いつか笑い話にできるよう頑張りたいです」
――舞台に際して、役作りの方法などをこれまでと変えようと思うことはありますか?
「今のところ、プランはゼロなんですが、発声練習には行こうかなと思っています。毎日、稽古をして同じシーンを繰り返すので、それはそれで逆にやりやすいんじゃないかなと思っています。そんな考えでいいのかわからないですけど」
――長丁場ですが、体調管理などはどのように考えていますか?
「けっこうタフなので身体を温めてよく寝ていれば何とかなるのかなと思っています。舞台は体力勝負ではあるんですけど、普段から私は寝たらけっこうすぐリセットされて、ケロッとしてしまうので。体力面ではちょっと自信があって(笑)。稽古で赤堀さんにしごかれても、1回帰って寝たら復活できると思いますし、本番中もしっかり睡眠を取るよう心がけたいです。ハードなスケジュールの映画撮影で睡眠時間が毎日3〜4時間しかないという時が続いた時も、ちょっと眠れば大丈夫でした」
――今回の舞台で楽しみにしていることは?
「早く共演者の方たちと会って直接お話したいです。あと、現場で先輩方が役に対して考えたり悩んだりしている姿を見たいと思っています。先輩方のお芝居に対する姿勢を身近で見られるのは貴重な機会ですし、絶対勉強になると思うので」
――ちなみに、これまでに観た作品の中で印象に残っている舞台はどの作品ですか?
「事務所の先輩の鈴木杏さんが出ていた『ムサシ』を3回くらい観に行かせていただいたんですが、スタートからテンポが良くて迫力があるし、セリフ量も膨大で驚きました。まだこのお仕事をちゃんとやる前、舞台観劇の経験も少ないなかで観たのですが、一気に惹き込まれました」
――今回の舞台『世界』は“地方都市のある家族の話”ということですが、広瀬さんご自身のご家族のお話をお聞かせください。
「友達みたいにとても仲いい家族です。友達も紹介しますし、基本的には隠し事もなく、何でもかんでも言っちゃいます。それで後から“言わなきゃ良かったかも〜”って後悔することもあるんですけど(笑)。距離感もわかってくれているので、作品に入っている時はあまり話しかけてこないですし。同業の妹は一番の理解者ですね。うちでは仕事の話は一切しないけれど、一緒にいて楽に過ごせます」
――現段階ではまだ詳細はわからないですけど、『世界』はちょっとダークで重い雰囲気になりそうな作品ですよね。広瀬家とは真逆そうです(笑)。
「そうですね。たぶんうちとは全然違うと思いますけど、自分が青年漫画のバイオレンス系とかサイコパス系とかの暗い作品が大好きなので(笑)。観るのも演じるのも好きなので、楽しみにしています」
――広瀬さんはモデル、女優として幅広く活躍していらっしゃいますが、特に女優業の面白さはどういう点に感じていますか?
「私は自分のことがあまり好きではないので、自分でいる時間を短くできるのがすごく楽しいです。だからお芝居は面白いし好き。いろいろな人間になって、様々な価値観を知ることができるのも貴重だと思います。もちろんモデルをやっている時もすごく楽しいです。自分がいつもは着ないような洋服を着たり、コスプレしたりとか(笑)。6年4ヵ月くらい、『Seventeen』の専属モデルをやらせていただいたんですが、モデルはおうちに帰る感覚で、女優は刺激のある場所に行かせてもらっているという感じかも。演技について自分がもっと努力しなくちゃって考えている時間がすごく楽しいし、演じる役の“色”に突っ込んでいって、その役にどっぷり染まりたいんです(笑)」
――今までで転機になった出来事やお仕事は?
「自分がまさかこのお仕事をやるとは思っていなかったので、やっぱりスカウトされたことが大きいです。もともとテレビを全く見ない、雑誌も全く読まない人間で、プロのバスケットボール選手になりたくてずっとバスケ一筋だったので、ある意味、この世界とはかけ離れていたんです。ここにこうしていることも不思議なくらい。でも今は、10代でいろいろな経験をさせていただいて、20代に入って“自分はこれからこの世界で生きていくんだな”とやっと実感し始めたところなので、より気が引き締まる想いです」
――“この世界で生きていこう”と覚悟ができたのは何がきっかけだったんですか?
「わかりやすく言うと、20歳を過ぎた辺りで、“この仕事を辞めたら自分には何が残るんだろう”と真剣に考えたら、何もなかったんです。事務所に入って10年が経って、自分がこんなに夢中になって一生懸命取り組めたことって、バスケ以外はこの仕事しかないので、この仕事が自分にはハマっているなと実感しました」
――そういうことを実感したお仕事は?
「11月25日に公開される『L−エル−』という映画で、主人公のエルという女性を演じているんですが、その作品がまあ大変で。スケジュールもタイトな中で撮影していたんですが、それを乗り越えた時に、イケるなと思いました(笑)。スタッフさんも含めて精神的にも肉体的にもギリギリのところでやっている中で、神経が研ぎ澄まされて、自分の心臓の音さえも雑音に聴こえる瞬間があって、それがすごく心地良かったんです。当時はキツかったんですが、終わって改めて振り返った時に、達成感もあったし、あの感覚がすごく良かったと思いました。ツラいツラいと言っていても、それは絶対に後で楽しさに変わるので、自分はお芝居がすごく好きで続けたいんだなと思いました。泥臭く身を削ってやるのが自分には合っているみたいです」
――そこはバスケで培った“根性”も関係しているのかもしれないですね(笑)。
「そうですね。根性だけは誰にも負けないと思っているので(笑)」
――では、最後に芸能界デビューを目指している『Deview』読者へのメッセージをお願いします!
「皆さん、たくさんオーディションを受けていると思いますが、自分の色をしっかり出すことが一番大事だと思います。私も以前はオーディションでこういうことを言おうと決めていたのに、いざその場に行くと緊張してしまって他の人に合わせちゃうという時があったんですけど、それは絶対良くないと思います。自分をアピールするわけですから、自分はこういう人間ですってしっかり伝えられるように、頑張ってください!」
広瀬アリス(ひろせ・ありす)●1994年12月11日生まれ、静岡県出身。フォスター・プラス所属。11月25日公開の映画『L-エル-』主演のほか、今冬放送予定のスペシャルドラマ『愛を乞う人』(読売テレビ・日本テレビ系)、2017年新春放送予定の新春ドラマスペシャル『釣りバカ日誌 新入社員 浜崎伝助』(仮)、1月21日公開の映画『新宿スワンU』ヒロイン、2017年公開予定の映画『巫女っちゃけん。』主演と、様々な作品に出演。2017年1月11日よりBunkamuraシアターコクーンで上演される『世界』で初舞台に挑む。
舞台『世界』
【東京公演】2017年1月11日(水)〜28日(土)Bunkamuraシアターコクーン
【大阪公演】2017年2月4日(土)、5日(日)森ノ宮ピロティホール
作・演出:赤堀雅秋
キャスト:風間杜夫、大倉孝二、早乙女太一、広瀬アリス、青木さやか、和田正人、福田転球、赤堀雅秋、梅沢昌代、鈴木砂羽
【東京公演】2017年1月11日(水)〜28日(土)Bunkamuraシアターコクーン
【大阪公演】2017年2月4日(土)、5日(日)森ノ宮ピロティホール
作・演出:赤堀雅秋
キャスト:風間杜夫、大倉孝二、早乙女太一、広瀬アリス、青木さやか、和田正人、福田転球、赤堀雅秋、梅沢昌代、鈴木砂羽
劇作家、演出家、そして映画監督として、暗く澱んだ人間の深淵を見据えながら、シニカルなユーモアをまぶして創出する作品群で、独自の作品世界を確立している赤堀雅秋。そんな赤堀雅秋×シアターコクーンによる第三弾。2014年の第一弾『殺風景』では、実際の凄惨な殺人事件を描き、翌2015年の『大逆走』では一転、オフビートな笑いを提供。ダメな男たちと不思議な女たちの一夜の大暴走を抽象的な空間のなかに描き、新境地を開拓した。
そして原点に立ち返り描く新作は“市井の人々とその暮らし”。透徹した人間観察者・赤堀が演劇を通して暴く、「世界」の成り立ちと真理を観客は目撃することになる。
公式サイト: http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/17_sekai/
そして原点に立ち返り描く新作は“市井の人々とその暮らし”。透徹した人間観察者・赤堀が演劇を通して暴く、「世界」の成り立ちと真理を観客は目撃することになる。
公式サイト: http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/17_sekai/
関連記事
-
★『Deview/デビュー』レコメンド(2015.10.14)広瀬アリス インタビュー/「生魚を買ってきて家でさばく練習してます。特技に“魚の3枚おろし”って書けたら超カッコイイですよね!(笑)」
-
★『Deview/デビュー』ニュース(2016.7.3)斎藤工、広瀬アリスら豪華キャスト陣が浴衣姿で七夕祭り 映画『全員、片想い』初日舞台挨拶
-
★『Deview/デビュー』ニュース(2015.10.26)広瀬アリス、『つりバカ』にかけて自身は「マンガバカです」
-
★『Deview/デビュー』ニュース(2015.10.23)広瀬アリス「ハマちゃんは旦那さんには絶対したくない」『釣りバカ日誌 新入社員 浜崎伝助』製作発表会見