撮影/加藤千絵(CAPS)取材・文/三沢千晶
2010年にテレビドラマ化されて以降、リアルな裏社会を笑いを交えながら鋭く描き、多くの人を熱狂させてきた問題作『闇金ウシジマくん』シリーズが、ついにファイナルを迎える。9月22日(木・祝)公開の映画『闇金ウシジマくん Part3』では、乃木坂46のエース白石麻衣が、新人タレント・りなを熱演。人気シリーズ作への参加、撮影エピソード、女優業についてなどたっぷりと語ってもらった。
「乃木坂46に入る前はできなかったけど、今は、なんでも自分から発言するようになりました」
――白石さんと『闇金ウシジマくん』って意外な組み合わせだと思うのですが、この作品に関してはご存知でしたか?
「はい。大人気の作品ですし、大島優子さんが出演していらしたので観たことがありました。私も『闇金ウシジマくん』の世界に入るんだと思ったときにはドキドキでした。私はそんなに演技の経験があるワケではないので、最初は大丈夫かな?と不安はありましたけれど、この作品に関わることができることが素直に嬉しかったです」
――台本を読んでどんな感想を持ちましたか?
「『闇金ウシジマくん』って、“ハードで危険な世界”というイメージがあって、ハラハラドキドキしながら台本を読みました。そしたら、ハードな中にもユーモアのあるシーンがいくつかあって、作品として全体を通したときに一人ひとりのキャラクターのインパクトがすごく強くて、笑ったり泣いたり、たくさんの要素が含まれている作品だなと思いました。完成した映画もすごくおもしろかったです」
――白石さんが演じた、新人タレントの「りな」は、どんな女のコだと感じましたか?
「りなは、私の同世代に近い等身大の女のコで、夢に向かって一生懸命頑張る芯の強いコだなと感じました。演じていてすごくカッコイイなと思うシーンがたくさんありましたね。積極的だし自分から行動を起こしていくというところは、けっこう私とは逆のタイプなんですけれど……(笑)。私はなかなか積極的に行けるタイプではないので。でも、女性に観てもらっても共感できるところがいっぱいあるんじゃないかなって思いました」
――最初のほうのりなは、なかなか掴めないところがあって謎めいた感じがしましたね。その辺も白石さんのイメージとは違っていたんですが、演じるのに苦労した点はありますか?
「確かに自分と照らし合わせると違うけど、何かに対して一生懸命なところは同じだと思うので、大変だったり苦労したりということはあまりなかったかなと。台本を読み込んで現場に入ったんですけれど、現場では探り探りでした。私が想像していたりなは、もうちょっと柔らかい印象のホンワカしたコなのかな?と思っていたんですけれど、実際は自らアクションを起こして突き進んでいくコだったので、シーン毎に監督さんといろいろ話し合いながら演じていました。特にこれをしましたという役作りはなかったんですけれど、りなという女性にちゃんとなりきろうと頑張りました」
――セレブパーティーに誘われて行くシーンがありますけれど、実際、白石さんご自身はあのような世界に興味ありますか?
「え〜どうなんだろう? 怖いなとは思いますけれど、すごく華やかな世界なので、女のコからしたらちょっとは憧れるというか煌びやかな世界を見てみたいなという好奇心はあるかもしれないですね。でも私の性格からしたら、危険を感知して行かないと思います(笑)」
――真司役の本郷奏多さんとのシーンが多かったと思いますが、撮影はいかがでしたか?
「クランクインした日に真司との大事なシーンを撮らなきゃいけなくて、でも、相手がいない状態で撮ったりしたので、気持ちの作り方が難しかったです。でも観てほしい1シーンですね」
――2人でシーンについて話し合ったり、打ち合わせしたりっていうことはありましたか?
「本郷さんはすごい落ち着いていている方なので、そんなに弾むような会話はしなかったんですけれど(笑)、車から降りて『朝食何食べる?』みたいなフランクな会話をしている中で、ちょっとお話したくらい。でも、そんな他愛もない会話のおかげで、作品では2人の距離が近づいた感が出たんじゃないかなと思います」
――ちなみに、真司のような男性は、白石さんから見てどう思いますか?
「ゼロの状態からコツコツと努力をして成功していく姿はステキだなと思います。りな自身もそんな真司に刺激をもらって自分の道を探そうと思うので、お互いに高め合える関係っていいですよね」
――その他にも印象的なエピソードはありますか?
「他の方と一緒になる機会がほとんどなかったんですよね……。あ、でもパーティーのシーンで一緒だった筧美和子ちゃんは同世代だったので、合間に女子トークをしていました。筧さんとは以前に他の現場でご一緒したことがあったんですけど、ちゃんとお話をしたことがなくて。なので、この作品でちょっと仲良くなって、『一緒にご飯行けたらいいね』って話をしました。まだ実現できていないんですけどね。とてもいい現場で楽しい撮影でしたよ」
――劇中での絡みはありませんが、でんぱ組.incの最上もがさんとは現場ではお会いできたんですか?
「お会いできなかったんですよ〜。残念です。お話をしてみたいなと思っていたんですけれどね」
――印象的なシーンといえば、ネットでも話題になっているキスシーンですね。振り返ってみて、いかがでしたか?
「あのシーンは屋上で撮ったんですけど、けっこう寒くて(笑)。初めてのシーンだったので、若干緊張はしていたんですけれど、意外と落ち着いて臨めました。しかも、りなから行動を起こすシーンなので、頑張らなきゃ!という気持ちでしたね(笑)。マネーゲームを通して突き進んでいく真司と、応援しているりなの気持ちがちょうど重なる大事なシーンという印象があります。このシーン以降も終盤に向けてお互いに成長していく過程とかも見どころだったりするので、このシーンだけでなく、全部を通して観てほしいなと思います」
――りなのセリフに『私は言葉だけの人は信じない。自分のすべてを懸けて勝負する人が好き』とありましたが、共感しますか?
「イチ女性としては、すべてを懸けて勝負をする人って男らしいしカッコイイなとは思いますけど……、私は一歩距離を置きたいかなと思います(笑)」
――りなの、その言葉で真司は行動を起こす決意をしますよね。白石さん自身、自分を奮い立たせた言葉をもらった経験はありますか?
「はい。乃木坂46のオーディションに受かったときは正直、本当にアイドルになりたいかわからなかったんです。でも、合格したときにお母さんが『最後まで頑張ったんだから、お母さんも1人目のファンとして応援するよ。あんたも一生懸命、楽しんで頑張ってね』と言ってくれて。その言葉がすごく嬉しかったんです。その言葉があったから、今こうして乃木坂46を続けていられるんだなって思います。あと、誕生日にもけっこう長文でメールをくれるんですよ。そこでも毎回、心を打たれます」
――今回の撮影を通して、演技に対する気持ちに変化はありましたか?
「今後も女優のお仕事をやってみたいなと思いましたし、いろんなお芝居の現場を経験したいと思いました。そういう場所でしか身につかないこともいっぱいあると思うんです。今回の映画を作る過程の全部を通して、私が成長するための一つの経験となったので、もっと頑張っていきたいなと強く思いました」
――乃木坂46で活躍する一方、モデル・女優など、幅広いジャンルで活躍している白石さんが思う、“夢を叶えるために必要不可欠なこと”ってなんですか?
「イメージすることはとても大事だと思うので、“こうなりたい”という気持ちはいつも持っていてほしいし、それを誰かに話したり、表に出していったりすることは必要かなと思います」
――白石さん自身は自分の夢を表に出してきましたか?
「乃木坂46に入る前はできなかったんですけれど、入ってから自分の道が見えてきたところもあって、“もっとこういうことをやりたい”とか思ったことは口に出したほうがいいんだっていうことを知ったんですよね。だから今は、なんでも自分から発言するようになりました」
――今もっとも心がけていることは?
「今いろんなお仕事をさせていただけているのは周りの方の支えだったり、ファンの方の応援があるからこそなので、感謝だったり、ありがとうの気持ちは常に持ちつつ、頑張っていきたいなと思っています」
白石麻衣(しらいし・まい)●1992年8月20日生まれ、群馬県出身。乃木坂46の第1期生として2012年にCDデビュー。センターも務めるなど、乃木坂46の中心メンバーとして活動。『Ray』専属モデルや『LARME』レギュラーモデルなど、様々なファッション誌に出演し、CMや番組MCなど幅広く活躍中。映画出演は、2013年11月に公開された『劇場版BAD BOYS J -最後に守るもの-』以来、2作目。
映画『闇金ウシジマくん Part3』
9月22日(木・祝)全国ロードショー
9月22日(木・祝)全国ロードショー
(C)2016真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん3」製作委員会
「1日3割(ヒサン)」「10日で5割(トゴ)」という非合法な金利で金を貸し付けるアウトローの金融屋「カウカウファイナンス」の社長・ウシジマ(山田孝之)を主人公に、金と欲望に翻弄される人々の転落人生をハードでコミカルなタッチで描く社会派エンタテインメント。2010年にテレビドラマ化されて以降、リアルな裏社会を笑いを交えながら鋭く描き、多くの人たちを熱狂させた問題作が、2016年、秋ついにファイナルを迎える。現在放送中のドラマ「Season3」、映画『Part3』(9月22日(
木・祝)公開)、映画『ザ・ファイナル』(10月22日(土)公開)と、怒涛の連作でグランドフィナーレを飾る。
映画「Part3」は、原作の「フリーエージェントくん編」×「中年会社員くん編」。高額アフェリエイトによって秒速で何億も稼ぎ出す男に群がるフリーター、かたや組織にしがみつく大企業のサラリーマン。大金が動くダイナミックにしてゴージャスなストーリーで、彼らが欲望にからめとられてそれぞれ堕ちていく様を描く。果たして、このマネーゲームの勝者は一体誰になるのか?
公式サイト: http://ymkn-ushijima-movie.com/
映画「Part3」は、原作の「フリーエージェントくん編」×「中年会社員くん編」。高額アフェリエイトによって秒速で何億も稼ぎ出す男に群がるフリーター、かたや組織にしがみつく大企業のサラリーマン。大金が動くダイナミックにしてゴージャスなストーリーで、彼らが欲望にからめとられてそれぞれ堕ちていく様を描く。果たして、このマネーゲームの勝者は一体誰になるのか?
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