撮影/宮坂浩見 取材・文/永堀アツオ
『高校デビュー』や『俺物語!!』などヒット作を生みだしている河原和音の代表作『青空エール』が待望の実写映画化。甲子園を夢みる高校球児・山田大介を演じる竹内涼真は、今作で野球&キャッチャーに初挑戦。公開を目前に控えた今の想いをたっぷりと語ってもらった。土屋太鳳演じるヒロイン・つばさとの、まっすぐでピュアなラブストーリーはもちろん、壁にぶりかりながらも大切な仲間たちと支え合い、一心不乱に前に進む彼らの姿は、デビューに向かって突き進んでいる『Deview』も共感すること間違いなし!
「モチベーションを高く持って、絶対にできると信じて、本気で熱量を注げば、叶うことはあるというエールも届くと嬉しい」
――映画『青空エール』のオファーを受けた時の心境から聞かせてください。
「僕にとっては、『劇場版 仮面ライダードライブ』に続く、2本目の映画になるので素直に嬉しいなと思いました。その上で、僕が演じた山田大介は甲子園を目指す野球部員なので、映像として嘘をつきたくないなと思って。それまで野球をまったくやったことがなかったので、まずは野球を頑張って、本当に部活のように死に物狂いで練習することで大介らしくなっていけるんじゃないかって考えていました」
――野球未経験者とは思えないキャッチングやスイングを見せてましたね。
「自分で言うのもなんですけど(笑)、本当に頑張りました! 練習期間は3ヵ月間しかなかったんですけど、クランクインして、最初の野球のシーンを撮った時に、ちょっと上手くなっている自分がいてびっくりしたんです。3ヵ月前に初心者として野球を始めた時からは考えられないくらい上達したので、コーチと野球部の仲間には本当に感謝しています」
――バッテリーを組む堀井新太くんや大介の1年時のキャプテンである山田裕貴くんは「経験者だからこそのプレッシャーがあった」と言っていました。
「そうですね。新太くんは野球経験者だけど、ピッチャーはやったことがなくて。“エースに見えなきゃいけない”という責任感もあったのかなって思います。僕はキャッチャー役なので、バッテリーとして二人でキャッチボールをしながら、投げ方やフォームをチェックしてもらって。裕貴くんはキャプテンとして、率先して掛け声を出してくれていました。練習のときから、ホンモノの部活のような雰囲気を作ってくれたんですよね。そもそも大介は、裕貴くん演じる臼井先輩に誘われて同じ高校の野球部に入っているので、絶対に影響を受けているはずなんですよね。だから、僕も盗めるものがあったら素直に盗もうと思っていました」
――“野球少年になれたな”っていう手応えを感じるきっかけは何かありました?
「ありました! クランクイン前に合同練習をしたんですけど、僕だけが初心者だったので、みんな、気を遣って優しく投げてくれたりしたんです。それがすごく悔しくて、ムカついて(笑)。負けず嫌いに火がついて“絶対に上手くなってやる!”という気持ちが掻き立てられたし、そこから上達し始めた気がします」
――野球に熱中するなかで“大介”という人物像も見えてきました?
「結構、苦労しました。“初めて悩んだ”と言ってもいいかもしれない。まず、人気コミックの実写化だということに緊張してしまって。“みんなが読んでいる大介にならなきゃいけない”という気持ちが強かったんです。しかも、初めて自分のテンションとはかけ離れている役でもあったので……。大介はいつも前向きだし、天然で真っ直ぐで、誰に対しても優しい。パーソナルスペースもないんじゃないか?っていうくらい、みんなに心を開いてるし、きっと、人に優しくしているっていう意識さえない人だと思うんです。だから、僕自身はすごく違和感を感じていたし、漫画と現実の世界の違いもあって、なかなか彼の心の流れに自分の気持ちがついていかなくて」
――うまく役に入れなかったっていうことですよね。どうやって乗り越えました?
「大介らしさと僕らしさがこんがらかっちゃって、葛藤して、素直にやれなかったんですけど、途中で“自分のこういう部分が大介っぽいんだな”、“逆にこういう部分が大介っぽくないんだな”と気づいたことがあって。監督さんやプロデューサーさんから『原作の大介を完璧に演じようとするのではなく、役を纏うくらいのリラックスした感じでやった方がいいよ』というアドバイスをいただいて。そこから自然と役に入れるようになったんです。もう一つは、ロケ3日目の懇親会で、大介との違いを自覚できたことが大きかったです。僕は長男で、下に弟と妹がいて。背も大きいから、女のコと話す時は、普段、なだめるような感じで言うというか(笑)、どうしても大人っぽく見えちゃうんです。でも、大介は、実は土屋太鳳ちゃん演じる“つばさ”より子供っぽいところがあって。そういう大介に励まされて、つばさはどんどん前に進んでいける。割と目上の人に一生懸命に自分の思いを話している感覚を掴んでからは、スムーズにできたかなって思います」
――今、話に出た相手役の土屋太鳳ちゃんはどんな印象でした?
「つばさは太鳳ちゃんしかできないと思います。それくらい太鳳ちゃんもこだわりが強いし、他の女優さんはつばさは演じられないなと。太鳳ちゃんくらい、ストイックに高校時代をスポーツに捧げてきた女優さんって、なかなかいないと思うんです。つばさはトランペット未経験者にもかかわらず、高校で初めて吹奏楽部に入るけど、あの部活中の目力の強さは、スポーツをやっていた人にしか出せない。僕もずっとスポーツをやってきていて。今回は二人とも自分の思い出をフラッシュバックさせながら、役の心境と重ね合わせながらやっていて。あの表情の深みは、本気で部活をやっていた人にしか出せないんじゃないかなって思います」
――竹内くんは東京ヴェルディユース出身ですが、ご自身の高校時代のどんな思い出を振り返ったりしました?
「僕はユース時代は全然試合に出られなくて。ダメダメの3年間だったけど、ヴェルディユースでやっていたっていう自信はあって。そこで、大介と同じように怪我もしたし、挫折も経験した。大介は怪我をしても周りにいる人たちが勇気付けてくれ、リハビリを頑張って、試合に出られるようになる。僕は試合に出られなかったので、高校3年間の気持ちのリベンジの気持ちもあったし、最後、3年生としてグランドに立った時は、本当にいろんなことを思い出しながらやっていました」
――大介は野球に対してはもちろん、つばさにも真っ直ぐですが、大介はつばさから告白されたのに1度断ってしまいますが、あの気持ちは理解できますか?
「わかります。しょうがないなって思う。だって、少し前に、3年生の最後の夏の試合に1年生として出て、自分のせいで負けてるから。自分のせいだって落ち込んで、追い詰められている状態の時に、女性の気持ちまで背負えないですよね。もしも自分のホームランで甲子園が決まっていたら、きっと付き合っていると思うんです。僕も付き合う選択をすると思う。彼女の存在をモチベーションにすればいいんですからね。でも、まだ高校1年生の大介には背負う度量がなかった。そこは、女性にはわかってほしいな〜と思います」
――(笑)。お互いが両想いのまま夢に向かって進んでいく姿が切ないですよね。さらに二人だけではなく、他のキャラクターもみんな輝いていて、それぞれのドラマにも胸を打たれます。
「そうなんですよ! 一人一人のキャラクターやストーリーが濃いし、とにかく、みんなが全力なんです。何よりも“部活に一生懸命だ”という想いは画面を通して伝わると思います。それに、僕は野球初心者で、太鳳ちゃんもつばさと同じくトランペットを初めて吹いて、短い期間でここまでできるようになった。それは、決して非現実的なことではないと思うんです。そういう意味では、“何を始めるにしても、遅いということはない”というメッセージも込められた作品だと思うんです。モチベーションを高く持って、絶対にできると信じて、本気で熱量を注げば叶うことはあるよっていうエールも届くと嬉しいです」
――最後に役者の先輩として、芸能界に憧れてオーディションに挑戦している読者に向けたエールをもらってもいいですか? 夢を叶えるためには、モチベーションや熱量の他にも必要なものはありますか?
「妄想というか、イメージは大切なのかなと。言葉で言うと簡単なんですけど、自分が決めた目標をイメージし続けることって、意外と難しいんですよね。どうしても、何かのきっかけで自信を失ったり、イメージが薄れてしまったりすることもあるけど、どんなことでもポジティブに捉えて、自分がイメージしているところに行くというイメージを消さないこと。それが、一番大事なことかなって思います」
――スポーツでいうイメージトレーニングのようなものですよね。竹内くんはどんなビジョンを頭に描いています?
「今は、もっと大きな作品にどんどん出て、僕を知ってもらうことが必要かなと思っています。自分が演じたい役も正義の味方やヒーロー。体を張って人を助ける役をやりたいし、『そういう役なら竹内涼真だよね』と言われるような俳優になりたいです。もちろん陰のある役や闇を感じさせるような役にも挑戦したいけれど、今いちばんやりたいのは王道な役で、もっと多くの方に観てもらえるような作品に出演したいですね」
竹内涼真(たけうち・りょうま)●1993年4月26日生まれ、東京都出身。2013年に『minaカレ』オーディションでグランプリを受賞。翌年には『仮面ライダードライブ』主演・泊進ノ介役に抜擢され、人気を博す。その後、TBS日曜劇場『下町ロケット』の後編〜ガウディ計画〜で、若手開発者のリーダーとして重要な役割を担うなど、活動の幅を広げる。最近では、ドラマ『時をかける少女』(日テレ系)に出演。
映画『青空エール』
8月20日(土)全国東宝系にてロードショー
8月20日(土)全国東宝系にてロードショー
(C)2016 映画「青空エール」製作委員会
(C)河原和音/集英社
「高校デビュー」「俺物語!!」などの傑作を生み出してきたヒットメーカー・河原和音の代表作「青空エール」を実写映画化。トランペット初心者ながらも名門の吹奏楽部に入部し、レベルの高い練習についていけず、何度も挫折しそうになりながらも夢をひたむきに追い続けるヒロイン・小野つばさ(土屋太鳳)と、甲子園を目指す野球部員で、つばさと共に応援し合いながら夢に向かって進む山田大介(竹内涼真)たちの恋、夢、友情を描いた「青春」ストーリー。
2016年、夏。甲子園、そしてリオデジャネイロオリンピックも開催。日本中が「エール」で湧きあがる中、映画界の空にも届く、輝くエール。壁にぶつかっても、大切な仲間たちと支え合い、一心不乱に前に進む。大切な人にきっとエールを送りたくなる、ひたむきな青春ラブストーリーが夏の空に鳴り響く――。
公式サイト: http://aozorayell-movie.jp/
2016年、夏。甲子園、そしてリオデジャネイロオリンピックも開催。日本中が「エール」で湧きあがる中、映画界の空にも届く、輝くエール。壁にぶつかっても、大切な仲間たちと支え合い、一心不乱に前に進む。大切な人にきっとエールを送りたくなる、ひたむきな青春ラブストーリーが夏の空に鳴り響く――。
公式サイト: http://aozorayell-movie.jp/