撮影/三山えり 取材・文/三沢千晶 ヘアメイク/松田蓉子
廃校を舞台に繰り広げられるホラーアドベンチャーゲーム原作で、2015年に生駒里奈を主演に迎え実写化された『コープスパーティー』。そして7月30日よりシリーズ最新作『コープスパーティーBook of Shadows』が公開される。乃木坂46メンバーとして活躍する一方、前作で映画初主演を経験し、再び今作でも主演を務める彼女に公開直前の想いを聞いた。
「乃木坂46のメンバーとも違う、新しい仲間ができたのはこの作品のおかげだなって」
――まずは前作の反響と、続編が決まったときの気持ちを教えてください。
「反響に関して言うと、自分自身にはあまり直接伝わってこないんですよね。家族も『ここがよかったよ』とか言わないし、私も聞いたりしないんです。それで“のほほ〜ん”と過ごしていたら『続編が決まった』ということを聞いて、自分の知らないところでたくさんの方に観てもらえていたんだなって、すごく嬉しかったです」
――生駒さん自身はホラーとか、怖い映画は好きなほう?
「ホラー作品自体はあまり観たことはないんですけれど、映画とか二次元の世界でのグロいスプラッター系はぜんんぜん平気です。ボーカロイドの歌とかでグロテスクな歌とか絵とかあるので、そういうのをずっと観ていたりします。というか、中学生のときはそれにすべてを捧げていました(笑)。撮影中も血ノリが手について嬉しかったです。あまりできない経験なので」
――どんなところに魅力を感じますか?
「おしゃれだなとも思いますし、キレイな女のコや男のコがそういうグロテスクな表現をしている描写や写真とかも好きなんですよね」
――ちなみに原作のゲームはやりましたか?
「3D版をやりました。私、ゲームは苦手なんですけれど、これは特に難しくて。どんなやり方をやってもすぐに殺されちゃうので怖かったです。絵が可愛いけど言っている言葉が気持ち悪かったりして、すごいゲームだなって改めて思いました」
――自分が出ている実写版の映画はいかがですか?
「自分が出ているのは内容がわかっているから、あんまり怖いっていう感じではないです。それよりも自分の演技が、人様をイヤな気分にさせなかったかな?という心配があります」
――前作から直美はすごく成長していると思いますが、生駒ちゃん自身はどの辺りが変化したと思いますか?
「心の強さだと思うんですけれど、前作では幼馴染の哲志(池岡亮介)に助けられたり、周りを想うというよりも自分自身のことで精いっぱいだったところが多かったなと感じたんです。でも前作で哲志が今の世界に帰ってこれなかったり、友達が犠牲になったという経験をして、“みんなを助けたい”という気持ちに変わったと思うので、普通だったら絶対に戻りたくない世界に行くわけですよね。それは強い気持ちになれたからだと思うんです」
――自分だったら助けに行く?
「う〜ん(笑)。本当に大切な友達だったら、なんとかみんなを助けて私ひとりが犠牲になったほうがいいかな」
――みんなで還れたらいいですよね。
「そう上手くいかないのが『コープスパーティー』です(笑)。ヒドイ話ですよね〜」
――(笑)。では、生駒さん自身は直美と一緒に成長したと思いますか?
「まだそれを感じられるほど演技が上手ではないので……。ただ、1作目よりもちゃんとやらなきゃ!という気持ちが強くなって、ワークショップに行ってお芝居のやり方を先生に聞いたりして、撮影までになんとか自分の中に直美ちゃん像を十分作っていけたかなと思います」
――1作目の経験から、意識が高くなったんですね。
「前回は初めてですべてが不安だったんですけれど、不安ではいられないってことがわかったので。周りのみんなが上手だし、追いつかなきゃという気持ちもありました」
――前作とは表情がまったく違いましたよ。
「ルックスはたぶん今回のほうがいいと思いますよ(笑)」
――ホラー作品ならではの苦労ってありましたか?
「今作でいうと、冒頭であゆみちゃん(前田希美)をビンタするシーンがあるんですけれど、もっと感情を露わにして良かったかなと思ったんですが、それが難しくて。表情では表せたつもりなんですけれど、ちょっと悔しかったです。でも、泣くシーンでは本当に気持ちが入って自然と涙が溢れてきて、“あ、これか!”ってパッと開けた気がしました。そのとき、ちょうど共演者の人たちはみんなお仕事とかで帰ってしまっていて、現場に居なかったので、私自身、淋しい気持ちがあったっていうのもラッキーでした(笑)。やっと演技をするということに指の先が触れたかな?という気はしました。ホラーという意味では、全体的に悲鳴とかで自分を解放できるし、逃げ回ったりして走っているからやりやすいです。楽屋とかにいるときでも、撮影の状況的に光が漏れたらダメなときは電気を消して過ごしていたり、ずっと異空間にいるような感じがして楽しかったです」
――空き時間は共演者の方とどのように過ごしていたんですか?
「みんなでカップラーメンを食べ合いっこしたり、屋上に出たら海がすごいキレイに見えて、そこで青春ごっこしたり(笑)。それは、ただ屋上に出て気分転換してただけなんですけどね。そういう何気ないことして過ごしていて、とても楽しかったです」
――ホラーだからといって待ち時間も役に入って暗い感じになっていたりすることはないんですね。
「みんな切り替えがパッとできる人たちだったので、暗い感じはなかったです。みんなとすごく仲良くなることができて、それが嬉しかったです。大人数で仲よしっていう経験が、人生で初だったので。乃木坂46のメンバーとも違う新しい仲間ができたのは『コープスパーティー』のおかげだなって思います」
――仲間という意味で、乃木坂46のメンバーとの違いとは?
「それぞれが女優さんだったり俳優さんだったり、モデルさんやアイドルだったり、活躍の舞台が自分とは違う人と一緒にいると、発言も考え方も刺激的で、“なるほどな!”と学ぶことも多くて。メンバーとは同じことで悩んだり、お互いに励まし合ったりすることが多いんですけれど、共演者のみなさんとだと、私の意見もひとつの考え方として尊重されたり、メンバーとしての考え方と個人としての考え方はまるっきり違うということが判明しました。自分の仕事に対する意欲も、今までどおりのところもあるし、“こういうふうな意識で臨んでみよう”とか、新しいものを取り入れるという意味では、すごく刺激になります」
――前作からの共演者も多かったですよね。
「そうなんです。撮影がすごく楽しみでクランクイン前夜も『明日から楽しみだね』ってメールをしたりしてました。みなさん、芸歴でいったら先輩ばかりで私が一番経験が少ないんですけれど、みんな分け隔てなく接してくれて、“こんなにいい人たちがいたんだ!”って感動しました。撮影終わったあとも一緒にご飯に行ったりしてます」
――山田雅史監督とはどんなやりとりを?
「前回と引き続き、監督から“こうしていこうね”とことがほとんどだったんですけれど、変わったのは自分で考えてきたことを監督に話して『あ、なるほどね。じゃあこうしてみようか』って言ってくださることがちょっと増えたのは嬉しかったです。前作の撮影のときに泣きじゃくって『ごめんなさい、できないです』と言ったことを考えれば、すごく前向きになっているなって思います」
――泣きじゃくってしまった当時の心境は?
「お芝居に関しては、経験が浅いのに主演という形で出ていいものなのか?って、申し訳ないし不安だし……という気持ちしかなかったんです。監督が諦めないで指導してくださって、本当に良かったです。今作は、自分のやれる全力を出し切ったつもりです」
――今回、欅坂46から石森虹花さんが出演していますね。何かお話はしましたか?
「私は前作で初めての主演ですっごく緊張したので、“デビューしたばかりのコがこういう現場に来るのは本当に怖いだろうな、緊張するだろうな”と思って、ときどき楽屋へ様子を見に行ったんです。本編ではあまり絡みがないので……。でも欅坂46の方とお仕事をするのはほぼ初めてで、私も人見知りなので、ちょっとずつちょっとずつ距離を縮めていく感じでした(笑)。一緒に取材を受けたときに、すごく嬉しいことを言ってくれたんですよ。前作を観て『大好きなフラペチーノも飲めないくらい怖かった』って。みんなで作ったものをそんなふうに感じ取ってもらえたんだなって。とりあえず私も『大きな声で失敗を恐れずにやって、監督さんに指示してもらって直していこう』っていうことは伝えました」
――先輩ですもんね!
「ふふっ(笑)」
――今後、どんな作品に出てみたいですか?
「ホラーだったら、またギャーギャー叫びながら逃げたいし(笑)、オバケにもなってみたいなと思います。見た目を特殊メイクで変えて、ファンタジーだったら顔に鱗が生えてたりとか、人間じゃないモノになってみたい気持ちはあります」
――今の時点で感じる“お芝居の楽しさ”ってなんですか?
「プライベートの自分は、自信の無いつまんない人間なんですけれど、それに“乃木坂46”の名前があるから一つ楽しい物を手に入れたし、そこに演技がプラスされたらまた一つ自信を持てると思うんです。“乃木坂46”とか“演技”という盾があることで、根っこの自分が安心して打ち込めることに気づいたので、それが魅力かなと思います」
――それは乃木坂46としての生駒さんに還元されると思いますか?
「一つのことに集中して打ち込むことは、バラエティの世界でも生かせると思うし、外での経験が乃木坂46で仕事をする自分を動かしてくれるので、いい貯蓄ができています(笑)。もっと貯めていきたいですね」
――生駒さんみたいに夢叶えたいという読者へメッセージをお願いしたいのですが、夢を叶えるために必要不可欠だと思うことってなんですか?
「私はどちらかというと、それまでの生活から離れたかったから上京してきたというところが強かったんですけれど、でも、一つ思うのは“私はこれがやりたいからこれしかやらない”っていうのは可能性を狭めるだけなんじゃないかな?って思うんです。私も最初はそうだったけれど、考え方を変えて、“下手だけどなんでもやってみよう。もしかしたら得意かもしれないし、そんな私を誰かが見てくれているかもしれないから頑張ってみよう”って思うようになったんです。だからお芝居も、今までは顔を背けてきたけれど、こんなふうに楽しいって思える日がくるなんて思わなかったですからね。だから、何が必要で必要じゃないかというよりも、なんでもかんでも挑戦する姿勢は大事かなって思います」
生駒里奈(いこま・りな)●1995年12月29日生まれ、秋田県出身。2011年に乃木坂46の1期生に選ばれ、1stシングルから5thシングル、12thシングルのセンターを務める。その後も、乃木坂46の中心メンバーとして、『ANNA SUI』の2016春夏ビジュアルモデルに抜擢されるなど、雑誌やバラエティなど多彩に活躍。『特捜警察ジャンポリス』(テレビ東京系)レギュラー出演中。
映画『コープスパーティー Book of Shadows』
7月30日(土)シネ・リーブル池袋・立川シネマシティほか全国順次ロードショー &同日ニコニコネットシネマ公開
7月30日(土)シネ・リーブル池袋・立川シネマシティほか全国順次ロードショー &同日ニコニコネットシネマ公開
(C)2016 Team GrisGris/MAGES./5pb./映画「コープスパーティー BOOK of Shadows」製作委員会
廃校を舞台に繰り広げられるホラーアドベンチャーゲームを実写映画化した『コープスパーティー』から約1年。シリーズ最新作として『コープスパーティー Book of Shadows』が完成。
≪story≫
呪いのおまじない「しあわせのサチコさん」を行い、怨霊の棲む異空間へと飛ばされ、幼なじみの哲志(池岡亮介)や親友の世以子(喜多陽子)など、多くの仲間を失った女子高生・直美(生駒里奈)。あれから半年。生き延びたあゆみ(前田希美)と直美は、死んだ友達を取り戻すべく、悲劇の舞台となった天神小学校へと戻ってくる。同じおまじないで別の学校から囚われて来た刻命(青木玄徳)たちとも合流し、切なる想いで生還の道を模索する。だが、待っていたのは繰り返す「死の運命」に囚われた、仲間たちとの再会だった。命と心を弄ぶ、残酷な運命の歯車は、ゆっくりと廻り始める……。
公式サイト: http://cp-movie.jp/
≪story≫
呪いのおまじない「しあわせのサチコさん」を行い、怨霊の棲む異空間へと飛ばされ、幼なじみの哲志(池岡亮介)や親友の世以子(喜多陽子)など、多くの仲間を失った女子高生・直美(生駒里奈)。あれから半年。生き延びたあゆみ(前田希美)と直美は、死んだ友達を取り戻すべく、悲劇の舞台となった天神小学校へと戻ってくる。同じおまじないで別の学校から囚われて来た刻命(青木玄徳)たちとも合流し、切なる想いで生還の道を模索する。だが、待っていたのは繰り返す「死の運命」に囚われた、仲間たちとの再会だった。命と心を弄ぶ、残酷な運命の歯車は、ゆっくりと廻り始める……。
公式サイト: http://cp-movie.jp/
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