「この仕事を私に勧めてくれて、支えてくれたのも母。母がいなかったら今の私はいないと思います」 - 志田未来 | Deview-デビュー
志田未来

撮影/booro(BIEI)取材・文/永堀アツオ ヘアメイク/佐々木貞江 スタイリング/大沼こずえ

昨年、田中哲司との二人芝居『オレアナ』で、初舞台を踏んだ志田未来が、この夏、再び舞台に挑戦する。現パルコ劇場での最後の新作舞台として上演される『母と惑星について、および自転する女たちの記録』。前回の舞台で得たもの、そして今作への意気込みなどをたっぷりと語ってもらった。
「この仕事を私に勧めてくれて、支えてくれたのも母。なので、母がいなかったら今の私はいないと思います」
志田未来
――現在23歳の志田さんは6歳から演技のお仕事をしてますが、舞台はずっとやってなかったんですよね。
「はい。小さい頃からドラマや映画とか、映像のお仕事しかしてなかったので、怖くてずっと挑戦できなかったんです。舞台は自分が試される気がして」
――でも、昨年11月に初舞台『オレアナ』に挑戦しました。舞台をやってみようと決意した理由は?
「大学を卒業する友人たちが就活で頑張っていた時に、私も“新しいことに挑戦したい”と思ったのがきっかけです。そろそろやってみようかなって」
――初舞台が田中哲司さんとの二人芝居を選ぶというのは、ハードルが高くないですか?
「マネージャーさんには、私から『舞台やってみたいです』と言ったんですけど、まさか二人芝居だとは思ってなかったので、最初は驚きました(笑)。でも、その時は、“舞台に立つ”ということに関してのプレッシャーがすごくて。他の舞台を経験してなかったので、ハードルが高いとか、二人だけの責任感とか、いろいろ言われてもピンとこないところがありました。セリフの量が多いなとは思いましたけど(笑)」
――実際に舞台を経験してみて、どんなことを感じました?
「カメラの前ではなく、お客さんの前でお芝居をすることが初めてだったので、毎日、本当にこれまで感じたことのないプレッシャーと戦っていたなと思います。終わった時は、“無事に終わって良かった”というホッとした気持ちと、今までに感じたことのない達成感がありました」
志田未来
――その達成感は映像の時とは違うものですか?
「もちろん、映画やドラマが終わった時も毎回感じるものですし、どの役にも愛を持って演じているんですけど、舞台は解放感が違いました。“もうあのプレッシャーを感じなくていいんだ”“もうあの長いセリフを言わなくていいんだ”と。映像作品との一番の違いは、やっぱり、お客さんの前でお芝居するということと、失敗が許されないっていうことかなと思います。映像だとダメだったら撮り直しができるし、1シーン1シーン、別日に撮ったりするので、台本・セリフ・物語、すべて覚えておかなくてもいいですが、舞台ではそうはいきません。本当にすべてが違いました。ただ、毎日が本当に刺激的だったので、それが終わってしまう寂しさもありました」
――周りの反響はどうでしたか。
「直接言ってくださる方は、絶対に『いいよ』って言ってくださるので。『ダメだね』とは言わないものだと思うので……」
――あははははは。斜めに捉えていますね。でもきっと、本心ですよ。
「もちろん、『良かったよ』と言ってもらえたら嬉しいんですけど、その反面、そのまま受け取らないようにしていました。“自分的には昨日の方が良かったんだけどな”とか、毎日、本当にいろんなことを考えました」
――また舞台をやりたいって思いました?
「うーん……まだ、あの時は必死すぎて、楽しいとか思う余裕も正直なかったので。全然次が見えてなかったです。ただ、終わって良かったという気持ちでいっぱいでした。でも、周りの方が『1回やったからって決めないで、舞台は続けたほうがいいよ』っておっしゃっていたので、その言葉を信じて、続けてみようかなって思いました」
志田未来
――じゃあ、初舞台から半年で、再び演出家の栗山民也さんから声がかかったことに関しては……。
「『また一緒に舞台を……』と言ってくださったことはすごく嬉しいですけど、なにせ期間が短すぎて(笑)。またあそこに戻るのかっていう感じはあります」
――あはははは。それが正直な心境ですよね。
「はい、また舞台に向けて気持ちを切り替えなくちゃな!と思いました」
――本作が建て替え前のパルコ劇場の最後の新作舞台ですね。
「『オレアナ』で初めて立たせていただいたのがパルコ劇場で、しかも、その初めては、たった半年前の経験。『オレアナ』の時に、『パルコはすごくいい劇場だから』というお話を聞いていたので、“建て替えの前にパルコ劇場に立ててよかったな”と当時思っていたんです。そうしたら、もう1回、最後に立たせて頂く機会があって(笑)。私がまた立ってしまっていいのかな?という思いがありますけど、すごく光栄だなって思いますし、なんか、嬉しいですね」
――共演者の方とはまだ顔合わせもしてないんですよね。
「斉藤由貴さんとはドラマ『小公女セイラ』でご一緒させていただいたことがあって。役柄によってガラッと変わられる方だなという印象があります。田畑智子さんと鈴木杏さんは初めての共演になります」
志田未来
――これから顔合わせをして、稽古に入るにあたって、何か楽しみにしていることはありますか?
「今、楽しみにしていることは……あまりないですね(笑)。前回の稽古に通っていた時は本当に自分のことでいっぱいいっぱいで、休憩時間に誰ともお話をする余裕がなくて。哲司さんも私も台本とにらめっこしつつ、煮詰まったら、ちょっと外の空気を吸いに行く……みたいな感じだったので、今回は少し気持ちに余裕を持って取り組めたらなと思っています。共演者の方とも、スタッフの方とも、楽しい時間を過ごせたらいいなって」
――あらすじとしては、自由奔放に生きて、突然、この世を去った母に対する三人娘の思いが描かれるようですが、この母親像に関しては現時点ではどう考えてます?
「うーん……人それぞれなので、そういう家庭も存在するんじゃないかなって思います。自分に置き換えると、もっと家にいて欲しいなと思うし、母と娘にしかない絆を大事にして欲しいなって思いますけど、そこまで嫌なお母さんだとは思っていないです。私にとっての母は、友達のようでもあり、一番尊敬している人でもあり、憧れの人でもあります。この仕事を私に勧めてくれて、支えてくれたのも母ですし、母がいなかったら今の私はいないなと思っています。でも、母も一人の人だと思っているので、自由に好きなことをやって欲しいなという思いもあります」
――親も一人の人間で弱いところも強いところもあるんだって気づいたのはいつ頃ですか?
「それは、自分が高校を卒業して、社会人になってから思い始めたことです」
――志田さんが“女優として生きていくんだ”って決めた時期と重なっている?
「そうかもしれません。この仕事でやっていくかどうかは、中学に入る時も、高校に入る時も考えたんですけど、高校を卒業する時にはっきりと決めました。みんなが大学か就職かで悩んでいる時に、自分は大学に行かず、このお仕事をやっていこうと強く思いました」
志田未来
――大学に通いながら女優の仕事もやるという選択肢もあったと思いますが。
「勉強がそんなにできたわけではないですし(苦笑)、この仕事しかないかなと思いました。でも、自分が楽しいと思っていることを仕事にできるって、すごい、ラッキーだなと思います」
――どんな時にお芝居や演技が楽しいって思います?
「うーん……どんな時でしょう?(笑)。でも、嫌だったらもう辞めていたと思うんです。母からも常に『嫌だったら辞めてもいいよ』と言われてたので。辞めてないということは、この仕事が好きで、楽しいと思えてるからなんだろうなと思います。もちろん、楽しいだけじゃないんですけど、現場に行くのは楽しいですし、いろいろな方に出会えるのも楽しいですし、お芝居について考えるのも、すごく大変ですけど、楽しいです。こうしたらこうかなって考えながら現場に行ってみたら、全然違う時もあって。あれ、どうしよう?と慌てるのも楽しかったりします」
――ポジティブなのかネガティブなのかわからない答えですね(笑)。では、映画、ドラマ、声優に続いて、舞台も経験した上で、『お芝居の魅力とは?』って聞かれたら?
「お芝居だけに限ったことではないんですけど、悩めるから楽しいところがあるのかなと思いますね。なんでも、ぽんぽん簡単にできたらつまらないんだろうなと思います。私は前回、舞台をやって、毎日本当に大変だったんですけど、またそこに戻るからこそ、得られるものがあるんじゃないかなと思っています」
――悩みを乗り越えるために何か必要なものはあります?
「“これが一生続くわけじゃない”と思うことですかね。いつも、“どうにかなる”って思って取り組んでいます」
志田未来
――志田さんが思う、夢を叶えるために必要不可欠なことは?
「うーん、難しいですね。私は、小さい頃からずっと、この仕事をしたいと思ってきました。頑張りすぎていっぱいいっぱいになると、嫌なことばかりが頭に残ると思うんです。だから、ほどよく手を抜くことも大事だなと思いました。手を抜くというか、全部に100パーセントをぶつけるんじゃなくて、ここは大事だなって思うところに100%をぶつけられるように、肩の力を抜く場面も必要なんじゃないかと。そういう加減が大事だなと思います」
――最後にもう1つ。今回は三姉妹の末っ子役になりますが、志田家では、どういうポジションでいますか?
「友達だと、自分は突っ込みだとか、聞き役に回るとか、立ち位置を意識するかもしれないですけど、そういうのを意識しないでいられるのが家族なのかなって思います。全然しっかりはしてないですけど、一応、長女です(笑)」
――自分が長女だなって感じる時は?
「なんだろう、一番になんでも決めていい時ですかね。例えば、お土産とかをもらうと、妹よりも先に私が選んでいいっていう。そういう時だけですね(笑)。妹とも1つしか年が変わらない友達みたいな感じなので、そんなに意識はしてないです」
Profile
志田未来(しだ・みらい)●1993年5月10日生まれ、神奈川県出身。研音所属。幼少期からドラマ等に出演。2005年に民放連続ドラマ初レギュラーを果たしたドラマ『女王の教室』(日テレ系)で注目を集め、その後、ドラマ『14才の母』(日テレ系)など、映画『誰も守ってくれない』、ドラマ『小公女セイラ』(TBS系)など、様々な作品で活躍。2015年に『オレアナ』で舞台初出演を果たす。今後、映画『青空エール』(8月20日公開)、映画『泣き虫ピエロの結婚式』(9月24日公開)、映画『グッドモーニングショー』(10月8日公開)と、出演作の公開が続く。
パルコ・プロデュース『母と惑星について、および自転する女たちの記録』
2016年7月7日 (木) 〜2016年7月31日 (日) パルコ劇場
※7月7日(木)はプレビュー公演
作:蓬莱竜太 演出:栗山民也 出演:志田未来、鈴木 杏、田畑智子 ・ 斉藤由貴
母と惑星について、および自転する女たちの記録
出演者は、パルコ・プロデュース公演にゆかりのある実力派女優4人。三女役には『オレアナ』(15)で初舞台を踏んだ志田未来が、次女役には『SISTERS』(08)の鈴木杏が、長女役には『夜叉ヶ池』(04)の田畑智子が、母親役には『紫式部ダイアリー』(14)の斉藤由貴が出演し、舞台で初共演を果たす。 奔放に生き、突然この世を去った母。三姉妹は母親の遺伝子を受け継いでいることに無意識の恐れを抱いている。母から娘へ、受け継ぐものと拒むもの。古い自分と決別し、新たなスタートを切ろうとする三姉妹を通して、人生を選択し生きていくことの難しさや尊さを描く。

公式サイト:
http://www.parco-play.com/web/play/hahawaku/
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