撮影/大槻志穂 取材・文/長島恭子 スタイリング/立山功 衣装協力/SHELLAC(SHELLAC PRESS ROOM)TEL:03-5724-5687、TOM REBL(SIFFON)TEL: 03-6666-4321、VADEL(AKM Showroom)Tel: 03-3721-1065、S.O.S fp 恵比寿本店Tel:03-3461-4875
現在上演中のミュージカル『1789 バスティーユの恋人たち』主演など、俳優としても大活躍中の加藤和樹が、今年で歌手デビュー10周年を迎える。記念すべき10周年イヤーの1発目を彩るのは、4月20日発売のニューシングル『春恋/夢追人』。歌手として俳優として精力的に活動する加藤和樹の原動力とは!?
「ミュージカルの経験はアーティストとしてもプラスになる。異なる音楽を融合させることで表現力も広がるので、今後も両方、続けていきたい」
――まずは歌手デビュー10周年の第一弾としてリリースされるシングルについてお伺いします。甘いファルセットが印象的な『春恋』、ロックな『夢追人』と、ガラリと雰囲気が異なるカップリングですね。
「『春恋』は“失恋を乗り越え、一歩前に進まなきゃ”と背中を押してもらえる一曲。シンガーソングライターのCHIHIROさんに詩を書いていただいたのですが、実は女性が書く女性目線の歌を歌うのは初めてなんです。徐々に溢れる気持ちを表現したくて、ファルセットを使うなど、物語性に沿った歌い方を意識しました。でも『春恋』は男性の僕が聞いてもグッとくる一曲。失恋って、やっぱり男性のほうが引きずるっていうか(笑)。“いい加減、前に進まなきゃな”と思っていた昔の恋を思い出しながら歌いましたね」
―― 一方の『夢追人』も、夢を諦めず追い続ける人の背中を押す応援ソングです。加藤さん自身の作詞ですが、10周年を意識して選んだテーマですか?
「僕はいつも曲を聞いたときの最初の印象で詩のテーマを決めますが、10周年ということもあり、元々、前向きな曲にしようと決めていました。30歳を過ぎたあたりから、友人や同じ世界の仲間の間で、新たな仕事に就いたり、違う人生をスタートしたりする人がすごく多くなった。だから、彼らをはじめ、僕を応援してくれる人、曲を聴いてくれた人、そして自分自身に対しても、“いくつになっても目標や夢を追い続けてもいいんじゃない?”というメッセージを伝えたくて、この歌を書きました」
――芸能界を目指している、『Deview/デビュー』読者の心にもすごく響く歌だと感じます。
「ありがとうございます。デビュー以来、僕自身の信念として掲げている、“やれば出来る”という想いを、ストレートに表現できたと思います。僕自身この世界にいて、周囲から『無理じゃない?』『やめたほうがいいんじゃない?』と言われることも多々あるんですね。確かに現実的に難しいことはあるけれど、それでも何事もやってみなければわからないし、何より挑戦することが大事かなと思うんです。役者という仕事も、やろうと決めれば誰だってできるはず。逆にやらなければ何も始まらないし、すべては自分次第です。この歌が“変わりたい”という人たちが一歩踏み出すきっかけになってくれればいいなと思っています」
――改めて、歌手デビューからの10年を振り返り、アーティストとしての転機だったと感じることは?
「まずは、初めて店頭に自分のCDが並んでいるのを見たときです。それまではCDを買う立場だったし、“信じられない”という想いと嬉しさと夢のような感覚が抜けなくて、何回も何回も店頭に見に行きましたね。“自分は音楽をやっているんだ”と実感した瞬間だし、やっぱりここがスタートだと感じています」
――デビュー当時の気持ちを忘れていないんですね。
「そうですね。音楽を続けていてもCDを出せない人はたくさんいる。だから、今の自分の状況が当たり前だとは今でも思っていません。この10年間、CDをリリースし続けたり、ライブを続けられたりできるのは、本当にお客さんとスタッフのおかげです」
――ファンやスタッフへの感謝の気持ちというのは、最初からハッキリと持っていたもの?
「人とのつながりの大切さを感じたのは、デビュー2年目の日本武道館ライブからです。正直、たった2年で武道館ライブを実現できるなんて夢のようでした。でも、いざ、会場に行って、ホールに掲げられた大きな日の丸を見上げると“おまえ、ここでライブやる資格があるのかよ?”と言われている気がして、怖くなってしまったんです」
――いざ会場入りしたら怖気づいてしまったと。
「本番前日の夜、セットを組んでいるところにお邪魔させてもらったんですけど、馴染みのスタッフは勿論、顔を知らないたくさんの人たちが作業をしていて。一つのステージに多くの人が関わっていると知ってはいたけれど、実際に作業する姿を目の当たりにしたとき、“ここに立っているのは、自分一人の力じゃないんだ”と痛感したんです。あの時初めて、“たくさんの人の想いや仕事に応えられるだけのステージをやらないとダメだ”とすごく感じました。結局、初めての武道館は、自分の実力も集客にも納得がいかないまま終了。でも、“いつかきっと、自分の本当の実力でみんなを武道館に連れていく!”という強い意志が芽生えましたね」
――痛い思いはしたものの、良い転機になったんですね。
「そうですね。それに、当時は不安に思うことがたくさんあっても、“自分が先頭に立ってやり遂げなくてはいけない、自分の力で何とかしなければいけない”と思っていたし、ツライなと思っても周囲に弱さを見せたり相談したりするのが嫌だったんです。でも、自分があるのは周囲のおかげだと気づいたときから、スタッフやバンドのメンバーにも、時には相談したり、頼ったりしてもいいんだなと思うようになりました。僕は関わってくれるすべてのスタッフ、そしてファンの存在失くして、加藤和樹は存在しないと、いつも感じています。ファンの皆さんとは握手会などでも直接、話をする機会があるのですが、“僕の歌を聴いて自分は変われた、励まされた”という言葉をもらうと、その場で泣きそうになるほど嬉しいんです。例え一人でも、誰かの人生に影響与えられるなんてスゴイこと。ファンの言葉に自分の存在意義を感じられるし、この仕事をやっていて良かった、もっと頑張らなきゃという活力になる。むしろ、僕のほうがファンの方から貰うもののほうが多いんです」
――アーティストである一方、役者としても活躍されています。特に2013年で『ロミオ&ジュリエット』出演以降、『レディ・ベス』『タイタニック』そして今回の『1789 バスティーユの恋人たち』と、ミュージカルの大作で主役格が続いていますね。
「ミュージカルで歌うときとアーティストとして歌うときとでは、大きな違いがあります。ミュージカルでは歌がうまく、表現力があることは大前提。さらに大事なのはいかに役として歌えるかだと僕は思っています。実はこれってとても難しい。いつも通りに歌うと、言葉に気持ちを込めてもやっぱりコンサートっぽくなってしまうんです。『ロミオ&ジュリエット』よりも昔、同じくアーティストでありミュージカルでも活躍している岡田浩輝さんと舞台で共演したとき、歌い方にすごく苦労したという話を聞いていたんですね。当時はピンとこなかったけれど、今ではわかる。最近ではうまくスイッチを切り替えられるようになりましたが、声のポジションや使い方とあらゆる面でふだんのクセを抜かなければいけないし、これが大変な作業。実は『1789〜』の公演中に、1日だけ自分の単独ライブがあるのですが、『アレ? 今日の和樹、ちょっとミュージカルっぽくない?』って言われそうでドキドキしています(笑)。ミュージカルの経験はアーティストとしてもプラスになる。異なる音楽を融合させることで表現力も広がるので、今後も両方、続けていきたいですね」
――では最後に、次の10年間の目標を!
「例えばベビーカーを押してまで握手会にきてくれる方々を見ると、世の中にはライブに行きたくても遠くまで行けない人ってたくさんいるんだなと気づかされます。音楽を届けるのが自分の使命。ならば音を届けるために、聴いてくれる人たちのもとへ、僕から会いに行かなきゃいけない。だから次の目標は、デビュー当初から目指していた全国都道府県ライブの実現、そして、もう一度、今度は実力を伴って日本武道館のステージに立つことが目標です」
――まだまだ貪欲に前に突き進んでいくと。
「アーティストとして役者として色々な経験を積んできましたが、やってないこと、やれてないことのほうがまだまだ多い。しかも、現状に満足することって生きている限りない気がするんです。一つの目標を達成すれば、自然と次の目標が生まれている。ひょっとしたら人生が終わるときまで、挑戦し続けるんじゃないかな?とも思う。今後も『やれば、できる』という信念を持ち続け、また一歩先へと進んで行きたいです」
歌手デビュー10周年を迎える加藤和樹から、デビューを夢見る読者への応援メッセージ!
加藤和樹(かとう・かずき)●1984年10月7日生まれ、愛知県出身。アシスト所属。2005年ミュージカル『テニスの王子様』で脚光を浴び、2006年4月Mini Album『Rough Diamond』でCDデビュー。歌手としても活動を続ける一方、俳優としても様々な注目作に出演。舞台『真田十勇士』(9/11〜新国立劇場中劇場ほか)、映画『真田十勇士』(9/22公開)、2017年1月上演のミュージカル『フランケンシュタイン』への出演も決定。
ニューシングル『春恋/夢追人』
4月20日発売/インペリアルレコード
4月20日発売/インペリアルレコード
初回限定盤(DVD付)1800円+税
通常盤 1000円+税
2インペリアルレコード移籍第一弾シングル。シンガーソングライターCHIHIRO作詞曲による、女性目線の恋を歌ったバラードナンバー『春恋』と、ex.knotlamp KEIT作曲、加藤和樹作詞による男の夢を追い続ける等身大ロックナンバー「夢追人」という、男女の目線でそれぞれ描いた両A面シングル。様々な人物の心を感じ、様々な役を演じてきた加藤和樹だからこそ歌い伝えることができる2曲が完成。初回限定盤のDVDには、『春恋』のミュージックビデオをメイキングドキュメンタリー映像を収録。
Kazuki Kato 10th Anniversary Special Live "GIG"〜Laugh&Peace〜
■COUNTDOWN KK
2016年4月29日(祝・金) 恵比寿 LIQUIDROOM■COUNTDOWN KK
※ファン投票で決定した「ライブで聴きたい曲」をカウントダウン形式で発表。
■ALL ATTACK KK
2016年7月09日(土)・10日(日) 名古屋 BOTTOM LINE2016年7月16日(土)・17日(日)梅田 AKASO
2016年7月23日(土)・24日(日)恵比寿 LIQUIDROOM
※2日間でお届けする加藤和樹の全曲ライブ!
■KK-station2016 TOUR
2016年10月30日(日) 新宿 FACE2016年11月03日(祝・木) 仙台 Rensa
2016年11月05日(土) 梅田 AKASO
2016年11月06日(日) 名古屋 ダイアモンドホール
2016年11月12日(土) 福岡 DRUM LOGOS
2016年11月13日(日) 広島 CLUB QUATTRO
2016年11月19日(土) 新宿 FACE
※リクエストメール&カバー曲でお届けするアコースティックライブ
公式サイト: http://www.katokazuki.com/