撮影/草刈雅之 取材・文/根岸聖子
ここ最近、悪女役で圧倒的な存在感を発揮し、幅広い層から人気急上昇中の菜々緒が、ドラマ『怪盗 山猫』では、正義感あふれる新人刑事・霧島さくら役を熱演中。これまでの悪女役とはまったく真逆の役に挑む心境を語ってくれた。さらに、女優・CM・バラエティ・モデル等、様々なジャンルで活躍中の彼女が転機になった作品とは!?
「このところ悪女役が多かったけど、今回は真逆の役。いい意味で、観てくださる方の想像を裏切れたら」
――ドラマ『怪盗 山猫』で演じる霧島さくらは、原作とは少し違う設定になっていますね。
「はい。ドラマの台本と原作とで違いがあるので、それなら、ドラマとして周りのキャラクターに合わせて作っていこうと思い、私は原作は未読のまま、ドラマの撮影に入りました。私自身、ここのところ悪女役というのが多かったのですが、今回は真逆の役なんですよ。正義感あふれる刑事役なので、いい意味で、観てくださる方の想像を裏切れたらいいなと」
――確かに、このところ悪女役の印象が強いですよね。
「今回演じている霧島さくらは、刑事であるお父さんの姿を見て育ってきて、その父が山猫が絡んだ事件で殉職をしているので、自分も山猫に対して執念を燃やして追いかけている。そんな感じで仕事に一生懸命な女性でありつつ、好きな人に対しては、ヘナヘナのデレデレで乙女になってしまう(笑)。そんな二面性な部分も楽しんでもらえたらいいなと思っています」
――ドラマを拝見して、さくらの視点が一番、視聴者側に近い人物という気がしました。観ている側が山猫に対して感じることを、そのまま体現してくれるようなキャラクターです。
「そうなんです。白か黒かで言ったら、完全に白。ここ最近私が演じてきた役柄のイメージから、“そう思わせておいて、実は黒いんじゃないか!? 裏切るんじゃないか!?”って勘ぐる人もいるかもしれませんが(笑)、本当に純粋に正義に向き合って事件や山猫を追っている。唯一、安心して見ていられるキャラクターだと思いますよ」
――『怪盗 山猫』はいろいろ予想を裏切るというか、うまいこと翻弄されるドラマで、そこが楽しくもあります。アクション、コメディ、シリアスと、いろんな要素が詰まっていて。
「私も一視聴者として、台本がすごく楽しみなんです。アクションシーンなどは、かなりシリアスで真面目なトーンですし、オフのときの山猫やさくらは、テンションがまた全然違う。亀梨(和也)さん、成宮(寛貴)さんの掛け合いもおもしろいですし、真顔でつっこむ広瀬すずちゃん演じる真央も入って、コントっぽい部分もあり。一方で、ちゃんと緊迫した部分もあるんですよね。
――そのテンポ感がすごくいいドラマですよね。
「1話が完成した時点で、スタッフさんみんなが『面白いのができたよ!』って、自信たっぷりに言っていたんです。私も現場から帰ってすぐに、いただいた1話の映像を観ましたし、亀梨さんも、次の日が朝早いのに『2回観た!』って言っていて。自分の感触もそうでしたし、スタッフさんもそう感じるくらい、“いいものができた!”と自信を持ってお届けできる作品です」
――注目度の高い作品への出演が続いていて、しかも女優として、キャラの立つ役柄で注目を浴びていますが、これまでのキャリアで転機になった作品、役柄というのは?
「自分の中では、まずは一番最初に主演として出させていただいた、連続ドラマ『主に泣いてます』(2012年放送)ですね。“初めてのお芝居で主役”というプレッシャーとの戦いもあり、ハードルは高かったですが、未だににスタッフさん、キャストのみなさんと連絡を取り合っているぐらい、仲のいいチームなんです。プロデューサーの方が、すごく熱を持って取り組んでいた作品で、“その気持ちに応えたい!”という想いが本当に強かったんです。お芝居した経験がないのに、そんな大役を任せていただけるというチャンスもなかなかないですし、そういった環境にも感謝しています。あと、自分自身で最初の代表作とも言える作品になったのが、『ラスト❤シンデレラ』(2013年放送)。主人公を貶めるようなちょっと悪い女の子の役をやらせていただいて、その次にまた『ファースト・クラス』(2014年放送)で悪女の役をいただき、“こんなに愛される悪役っているんだ!?”と思うぐらい、キャラクターとして愛してくださる方がとても多かったんです。次の作品に繋がったという実感も得られたので、自分の中でもちょっぴり自信に繋がりました。『悪女役がハマる』と言っていただいたり、『菜々緒さんが悪女役で出るなら観ようと思った』と言ってもらえることが増えたのも、本当に嬉しかったですね」
――前クールのドラマ『サイレーン 刑事×彼女×完全悪女』での悪女っぷりもすごかったです! さらにバラエティ番組『痛快TV スカッとジャパン』でのエリカシリーズも、幅広い層から注目を集めていますよね。そんな菜々緒さんに憧れて、女優という仕事をしてみたいと思う人も増えていると思います。現在、菜々緒さんも所属しているプラチナムプロダクションが『金の卵発掘オーディション〜日本一かわいい小学生・中学生を探せ〜』を開催中です。芸能界デビューを目指している読者に、ぜひアドバイスをいただけますか?
「やっぱり心構えが大事な気はします。私が芸能界デビューをしたのが20歳の頃で、オーディションもたくさん受けてきました。たくさん落ちましたけど、挑戦し続ける気力というのは、それでもやりたいという熱意があるかどうかなんですよね。どれだけ、自分の夢・目標と真剣に向き合っていけるかどうか。それが続ける原動力になると思うんです。だから、自分が本当にやりたいと思うこと、道に進むのが一番なんじゃないかな。モデルにしても、役者にしても。それこそ“これなら私は命がけで取り組めるぞ”っていう。『怪盗 山猫』の中で、山猫が言い放つ『お前の核(コア)は何だ!?』っていうアツい台詞があるんですが、その強い思い・芯があるかって本当に重要で。それって、観ている側にも伝わるんですよ。たとえ、うまくいかなかったとしても、その熱意があれば、どこかで誰かが必ず見ていてくれる。苦手なことだとしても、どう向き合うか、というのも大事だったりします」
――オーディションでの自己PR、特技アピールなどが苦手だという人もいます。
「それでもやらなきゃいけないという状況なら、自分の中で楽しむ方向に持っていくしかない。“これをやることで自分は成長できるんだ”とか、考え方を変えて、気持ちを改めてみる。なんとなくやるんじゃなくて、たとえ上手くできなくても、萎縮してしまったとしても、何かしら自分にとって意義があるんだと思い直す。それができるかどうかも、本気度というか、その仕事への情熱があるかによって、変わってくるんですよね。オーディションにしても、本番でお芝居するにしても、そういう気持ちは必ず伝わります。上手くやろうとするより、自分と向き合って、本気でやることに意識を持っていったら、取り組み方も変わってくると思いますよ」
菜々緒(ななお)●1988年10月28日生まれ、埼玉県出身。プラチナムプロダクション所属。2009年より本格的に芸能活動を始め、同年「第7回ミス東京ガールズコレクショングランプリ」を受賞。現在は雑誌『GINGER』(幻冬舎)のレギュラーモデルを務める他、各種ファッション誌、CM、バラエティ、女優(演技)等、幅広く活躍中。1月30日公開の映画『さらば あぶない刑事』、5月公開予定の映画『オオカミ少女と黒王子』に出演。
ドラマ『怪盗 山猫』
毎週土曜 よる9:00〜 日本テレビ系
毎週土曜 よる9:00〜 日本テレビ系
『心霊探偵八雲』シリーズなど、スピード感のある映像的文章で不動の人気を誇る神永学原作の『怪盗探偵山猫』が初の映像化。
卑怯な手段で金儲けをする企業から、大量の資金を盗み出し、同時に悪事を暴く、天才怪盗・山猫(亀梨和也)。どこからともなく現れて、颯爽と大金を奪い取り煙のように姿をくらます彼には一貫したポリシーがある。“悪いヤツの金を盗る・金は盗っても殺さない”。彼は世紀の大怪盗か。はたまた正義の味方なのか――。
稀代の天才怪盗が、「山猫」を追う雑誌記者・勝村英男(成宮寛貴)や、若き天才ハッカー・高杉真央(広瀬すず)らとともに繰り広げる、「怪盗エンターテインメント」。菜々緒は、「山猫」の正体を暴くため奮闘する新人刑事・霧島さくら役を熱演。