撮影/mika(f-me)取材・文/永堀アツオ
高野苺による人気コミックが原作の映画『orange-オレンジ-』が12月12日に公開。未来の自分から届いた手紙を元に、悩みながらも運命を変えようとしていくヒロイン・高宮菜穂を演じる土屋太鳳。そして、菜穂が想いを寄せることになる、心に深い傷を負った転校生・成瀬翔を演じる山ア賢人。NHK 連続テレビ小説『まれ』に続いての共演となる二人に作品への想いなどを語ってもらった。
「この作品を通して、“今という時間を大事に噛みしめて欲しい”という想いが伝わるといいなと思います」
土屋太鳳
――夫婦役を演じたNHK 連続ドラマ小説『まれ』に続き、映画『orange-オレンジ-』での共演が決まった時の心境から聞かせてください。
土屋太鳳「『orange』の実写化で高宮菜穂を演じさせていただくって決まった時に、改めて原作の表紙を見たんですけど、そこでなんとなく“翔役は賢人くんかな?”って感じたんです。直感なので理由はわからないんですけど、頭の片隅にずっと賢人くんがいて。そしたら、ある時にマネージャーさんから『翔役は誰だと思う?』って聞かれて。『賢人くんですか?』って答えたら、『そうなの! もう1回やることになったんだよ』って言われて」
山ア賢人「太鳳ちゃんはそういう不思議な力があるんですよ(笑)」
土屋「ふふふ。いや、原作がすごい力を持ってる作品なので、原作を実写化するというよりは、私たちが原作に呼ばれたっていう感覚が強いんですよね。だから、『まれ』をやったあとに、もう1回『orange』という作品で共演させていただくことに関しては、驚いたのと同時に、偶然ではない意味があるんだなって感じがしてすごく嬉しかったです」
山ア「僕も最初は本当にびっくりしました。こんなにすぐにまた一緒にできるとは思ってなくて。『まれ』の撮影がまだ残っているときに決まったので、当時はその先のことを想像することは難しかったんですけど、『まれ』で夫婦までやって、また大切に思い合う役が来たのは良かったなって思うし、本当に偶然ではない、何か意味があるのかなって思います」
山ア賢人
土屋「うん、そうだね。『まれ』で一緒に子供を育んできて、『orange』では大切な人がいなくなってしまうことの辛さを感じる……。命の大切さを実感しながら臨もうと思っていました」
山ア賢人「太鳳ちゃんはそういう不思議な力があるんですよ(笑)」
土屋「ふふふ。いや、原作がすごい力を持ってる作品なので、原作を実写化するというよりは、私たちが原作に呼ばれたっていう感覚が強いんですよね。だから、『まれ』をやったあとに、もう1回『orange』という作品で共演させていただくことに関しては、驚いたのと同時に、偶然ではない意味があるんだなって感じがしてすごく嬉しかったです」
山ア「僕も最初は本当にびっくりしました。こんなにすぐにまた一緒にできるとは思ってなくて。『まれ』の撮影がまだ残っているときに決まったので、当時はその先のことを想像することは難しかったんですけど、『まれ』で夫婦までやって、また大切に思い合う役が来たのは良かったなって思うし、本当に偶然ではない、何か意味があるのかなって思います」
山ア賢人
――『まれ』での何でも言い合える夫婦から一転して、『orange』ではうまく気持ちを伝えられないという、いわば正反対の関係性になっていますよね。
土屋「そうですね。でも、戸惑いはなかったです。『まれ』の現場で『もう1回、一緒に高校生をできるね』っていう話はしていたけど、こうしようああしようって話し合ったりしたわけではなくて。お互いがしっかりと考えて、現場で合わせるという感じで」
山ア「僕も太鳳ちゃんのことは信頼しているので、何の不安もなかったです。もともと原作を読んだ時から、太鳳ちゃんは菜穂にぴったりだなって思ってたんですよ。菜穂の心優しさとか、すごく他人のことを考えているところは太鳳ちゃんが持っているものでもあるので」
土屋「(小さな声で)ありがとう。賢人くんはまとっている空気からガラリと変えることができるんですよね。それはきっと天性のものだと思うんですけど、だから、メッセージ性のある作品に縁があるのかなと思っていて。初日の撮影が、(山アが演じる)翔が転校してくるシーンだったんですけど、教室のドアが開いて、入ってきた瞬間から“あ、翔だ”って感じるものがありました」
山ア「僕も太鳳ちゃんのことは信頼しているので、何の不安もなかったです。もともと原作を読んだ時から、太鳳ちゃんは菜穂にぴったりだなって思ってたんですよ。菜穂の心優しさとか、すごく他人のことを考えているところは太鳳ちゃんが持っているものでもあるので」
土屋「(小さな声で)ありがとう。賢人くんはまとっている空気からガラリと変えることができるんですよね。それはきっと天性のものだと思うんですけど、だから、メッセージ性のある作品に縁があるのかなと思っていて。初日の撮影が、(山アが演じる)翔が転校してくるシーンだったんですけど、教室のドアが開いて、入ってきた瞬間から“あ、翔だ”って感じるものがありました」
――翔と菜穂は、言葉1つで未来が変わってしまうような微妙な関係性だったと思いますが、お互いに助けられた部分はありますか?
土屋「本当に難しいシーンが多かったです。1つ1つの言葉に重みがあって。菜穂ちゃんがかける言葉1つで、翔の何かを変えてしまうかもしれないっていう怖さがあるので、言葉の裏に隠されているものを探るのがすごく難しかったです。しかも、私は、辛いシーンをやればやるほど、心がどんどん固まってきちゃうんですね。その時に、すごくパワーを分けてくれて」
山ア「いや、俺の方がもらってましたよ」
土屋「いやいや、私がもらってました(笑)。本当にすごく助けてもらっていたと思います。例えば、私がずっと一人でブツブツセリフを言っている時も、賢人くんが『じゃあ、もう1回やってみる?』って声をかけてくれて。一生懸命に考えている時に、賢人くんも一緒に一生懸命に考えてくれる。その、内面の強さと深さみたいなものが、賢人くんの華やかさや繊細な部分につながっているのかなって思いますね」
山ア「すごく褒めてもらった(笑)。僕も太鳳ちゃんが菜穂じゃなかったら、きっと翔として生きられなかったと思います。太鳳ちゃんの菜穂のおかげで心からどんどん曇りが取れていって、温かくなっていった実感があったし、すごく支えられていた。自分自身としては、僕も暗くて重いシーンがあると、周りが見えなくなるくらい落ち込んじゃうんですね。そんな時に、太鳳ちゃんが『こういうときこそ、楽しいことを考えよう』って言ってくれて。すごく助けられたし、その前に1年間、ずっと一緒にやってきた信頼感や安心感をずっと感じていました。あと、僕、一人の撮影の日にも現場に来てくれたこともあって」
土屋「翔は後半になるにつれて、どんどん落ちていくシーンが多くなるんですよね。ある日、私、本当に翔がどっかに行っちゃうんじゃないかっていう不安があって。翔が自転車で坂を下るシーンでいなくなっちゃうんじゃないかっていう心配があったので、夜12時くらいの撮影だったんですけど、思わず現場に行っちゃいました」
山ア「太鳳ちゃんの撮影はなかったのに、見守りに来てくれました」
土屋「なんか、ごめんね(笑)。でも、その時の翔の体温を感じることができたので良かったなって思ったし、何より生きてて良かった!って思いました」
山ア「いや、俺の方がもらってましたよ」
土屋「いやいや、私がもらってました(笑)。本当にすごく助けてもらっていたと思います。例えば、私がずっと一人でブツブツセリフを言っている時も、賢人くんが『じゃあ、もう1回やってみる?』って声をかけてくれて。一生懸命に考えている時に、賢人くんも一緒に一生懸命に考えてくれる。その、内面の強さと深さみたいなものが、賢人くんの華やかさや繊細な部分につながっているのかなって思いますね」
山ア「すごく褒めてもらった(笑)。僕も太鳳ちゃんが菜穂じゃなかったら、きっと翔として生きられなかったと思います。太鳳ちゃんの菜穂のおかげで心からどんどん曇りが取れていって、温かくなっていった実感があったし、すごく支えられていた。自分自身としては、僕も暗くて重いシーンがあると、周りが見えなくなるくらい落ち込んじゃうんですね。そんな時に、太鳳ちゃんが『こういうときこそ、楽しいことを考えよう』って言ってくれて。すごく助けられたし、その前に1年間、ずっと一緒にやってきた信頼感や安心感をずっと感じていました。あと、僕、一人の撮影の日にも現場に来てくれたこともあって」
山ア「太鳳ちゃんの撮影はなかったのに、見守りに来てくれました」
土屋「なんか、ごめんね(笑)。でも、その時の翔の体温を感じることができたので良かったなって思ったし、何より生きてて良かった!って思いました」
――完成した作品を観てどう感じました。体育祭のリレーを走る選手を決めるシーンで涙が出ました。
土屋「嬉しいです」
山ア「自分も試写を観て、号泣しちゃいました。これだけ大切に友達を思えて、みんなで考えて動けるっていう。この友情が本当にすごくいいなって思います。みんなが翔を思っている、その気持ちに泣いてしまいました」
土屋「私は、初号は全然冷静に観れなかったです。自分の反省点ばかりが見えてしまって。くるみん(清水くるみ)に『頭、抱えすぎ!』って言われました(笑)。でも、本当に、“演じている”というよりは、“生きている”っていうのが伝わってきて。私も周りに支えてもらって、菜穂ちゃんとして生きることができたなって思います!」
山ア「自分も試写を観て、号泣しちゃいました。これだけ大切に友達を思えて、みんなで考えて動けるっていう。この友情が本当にすごくいいなって思います。みんなが翔を思っている、その気持ちに泣いてしまいました」
土屋「私は、初号は全然冷静に観れなかったです。自分の反省点ばかりが見えてしまって。くるみん(清水くるみ)に『頭、抱えすぎ!』って言われました(笑)。でも、本当に、“演じている”というよりは、“生きている”っていうのが伝わってきて。私も周りに支えてもらって、菜穂ちゃんとして生きることができたなって思います!」
山ア賢人
――本作は命の尊さや人を想うことの大切さに加えて、手紙を通して、今を変え、未来を変えることがテーマになっています。ご自身の未来はどう考えていますか?
山ア「今をどう過ごすかで未来が変わるので、今を全力でやりたいなと思います。今は壁にぶち当たりまくってますけど……」
――どんな壁にぶちあたってるんですか?
山ア「作品ごとにいろんなテーマがあって、いろんな人生があって。いろんなことを伝えなきゃいけないし、いろんなことを考える中で、自分はどういう風に表現したらいいのか、本当の自分はどう思っているのかがよくわからなくなってくるんです。何が正解かもわからないので、そこを探しながら、悩み、楽しみ、頑張ろうって思っています」
土屋「私はやっと女優としてスタートできる立場に立たせていただいたなって感じているので、それこそ、作品に出会えば出会うほど、私も壁にぶつかって、自分がわからなくなるときがあって。“あれ、自分って、前はどういう感じで喋っていたかな?”とか、ゴチャゴチャしてくるときがあるんです。でも、作品1つ1つを大事にして、その時に出会った監督や共演者の方と、いかに正面から向き合えるかが大事だと思っています。だから、私自身も、“もっと新聞読もう”とか、“本を読もう”とか、“山に登ろう”とか、いろんなことを吸収できるようにしていきたいなと思っています。あ、海、行きたい!……願望になってきちゃった(笑)」
土屋太鳳
山ア「あはははは。この1年で本当にいろんな人に出会ってきて。そういう大切な出会いも、間違いなく自分の糧になっていると思います」
土屋「『まれ』をやっていた時に『焦るな』って言われたんです。『20歳で、全部やろうなんて無理なんだから、今の1つのシーンを全力でやればいいんだよ』って言われて。焦っちゃう気持ちもあるけど、これからもっといろんな出会いがあると思うし、『焦るな』という言葉を胸に、今を大事にしていこうと思います」
土屋「私はやっと女優としてスタートできる立場に立たせていただいたなって感じているので、それこそ、作品に出会えば出会うほど、私も壁にぶつかって、自分がわからなくなるときがあって。“あれ、自分って、前はどういう感じで喋っていたかな?”とか、ゴチャゴチャしてくるときがあるんです。でも、作品1つ1つを大事にして、その時に出会った監督や共演者の方と、いかに正面から向き合えるかが大事だと思っています。だから、私自身も、“もっと新聞読もう”とか、“本を読もう”とか、“山に登ろう”とか、いろんなことを吸収できるようにしていきたいなと思っています。あ、海、行きたい!……願望になってきちゃった(笑)」
土屋太鳳
土屋「『まれ』をやっていた時に『焦るな』って言われたんです。『20歳で、全部やろうなんて無理なんだから、今の1つのシーンを全力でやればいいんだよ』って言われて。焦っちゃう気持ちもあるけど、これからもっといろんな出会いがあると思うし、『焦るな』という言葉を胸に、今を大事にしていこうと思います」
――『Deview/デビュー』読者は10代も多いですが、10代のうちにやっておいたほうがいいことは何かありますか?
山ア「たくさんの出会いと別れがありますよね。だから、難しいけど、その時に出会ったことを全力でやりきってみることしかないかなと思います。もしそれで辞めることになっても、次へのパワーになるかもしれないので、そのときに全力でやりきることが大切なのかなと思います」
土屋「10代は学校とか、集団行動で生きていくのはすごく大変だと思いますが、今しか過ごせない日々だとも思うんです。仲良くなろうとか、うまくやろうとかは考えなくていいから、今を大事に生きて欲しいなって思います」
土屋「10代は学校とか、集団行動で生きていくのはすごく大変だと思いますが、今しか過ごせない日々だとも思うんです。仲良くなろうとか、うまくやろうとかは考えなくていいから、今を大事に生きて欲しいなって思います」
――ご自身の10代はどんな日々でした?
山ア「僕は中学3年生まではサッカー漬けでした。学校が終わったら、すぐに家に帰って、ジャージ着て、チャリに乗って、サッカーをしに行っていた。サッカーの記憶しかないけど、後悔はないです!」
土屋「いいねー(笑)。私も反省はたくさんあるけど、後悔はないかな。仕事に関して言えば、全力でやることしかできなくて。全力でやらないと何も変わらないと思うんです。運や縁、タイミングで変わる人もいると思うんですけど、私の場合は、『まれ』をやるまでは、常に次のお仕事が決まってないっていう状態だったんです。『花子とアン』をやっている時も次の仕事は決まってなかったので、いつも“今を全力で!”って思っていました。『orange』を通して皆さんに、“今という時間を大事に噛みしめて欲しい”という想いが伝わるといいなと思います」
土屋「いいねー(笑)。私も反省はたくさんあるけど、後悔はないかな。仕事に関して言えば、全力でやることしかできなくて。全力でやらないと何も変わらないと思うんです。運や縁、タイミングで変わる人もいると思うんですけど、私の場合は、『まれ』をやるまでは、常に次のお仕事が決まってないっていう状態だったんです。『花子とアン』をやっている時も次の仕事は決まってなかったので、いつも“今を全力で!”って思っていました。『orange』を通して皆さんに、“今という時間を大事に噛みしめて欲しい”という想いが伝わるといいなと思います」
土屋太鳳
つちや・たお●1995年2月3日生まれ、東京都出身。ソニー・ミュージックアーティスツ所属。現在、ドラマ『下町ロケット』(TBS系)に出演中。2016年1月4日放送の『女性作家ミステリーズ 美しき三つの嘘』(フジ系)に出演。2016年春放送予定のWOWOW日曜オリジナルドラマ『連続ドラマW東野圭吾カッコウの卵は誰のもの」では主演を務める。
山ア賢人
やまざき・けんと●1994年9月7日生まれ、東京都出身。スターダストプロモーション所属。出演ドラマ『デスノート』のDVD-BOX&Blu-ray BOXが2016年1月27日に発売。映画『オオカミ少女と黒王子』(2016年5月公開)と、映画『四月は君の嘘』(2016年公開)で主演を務める。
つちや・たお●1995年2月3日生まれ、東京都出身。ソニー・ミュージックアーティスツ所属。現在、ドラマ『下町ロケット』(TBS系)に出演中。2016年1月4日放送の『女性作家ミステリーズ 美しき三つの嘘』(フジ系)に出演。2016年春放送予定のWOWOW日曜オリジナルドラマ『連続ドラマW東野圭吾カッコウの卵は誰のもの」では主演を務める。
山ア賢人
やまざき・けんと●1994年9月7日生まれ、東京都出身。スターダストプロモーション所属。出演ドラマ『デスノート』のDVD-BOX&Blu-ray BOXが2016年1月27日に発売。映画『オオカミ少女と黒王子』(2016年5月公開)と、映画『四月は君の嘘』(2016年公開)で主演を務める。
映画『orange-オレンジ-』
12月12日(土)全国東宝系にて全国ロードショー
12月12日(土)全国東宝系にて全国ロードショー
未来からの手紙が、臆病な「イマ」を変えていく――。高野苺が織りなす、新たなる青春純愛ストーリーを実写映画化。
高校2年生の春、菜穂に届いた手紙。それは10年後の自分からのものだった。書かれていたのは、転校生の翔(かける)を好きになること。翔が1年後には死んでしまっていること。そしてその未来を変えるためにやるべきこと。初めはイタズラかと思ったが、書かれていることが次々と起こっていく。なぜ翔を失ってしまったのか? 26歳の自分と同じ後悔を繰り返さないためにはどうすれば? 動き出す、未来を知った菜穂の運命を変えていく日々。その先にある、暖かくも切ない<結末>とは――?
高校2年生の春、菜穂に届いた手紙。それは10年後の自分からのものだった。書かれていたのは、転校生の翔(かける)を好きになること。翔が1年後には死んでしまっていること。そしてその未来を変えるためにやるべきこと。初めはイタズラかと思ったが、書かれていることが次々と起こっていく。なぜ翔を失ってしまったのか? 26歳の自分と同じ後悔を繰り返さないためにはどうすれば? 動き出す、未来を知った菜穂の運命を変えていく日々。その先にある、暖かくも切ない<結末>とは――?