撮影/横井明彦 ヘアメイク/森香織 スタイリング/吉田ナオキ 衣裳協力/TMTジャパン PRESS ROOM tel.03-5778-9877
1996年の初演以降、世界中で愛されている伝説のブロードウェイミュージカル『RENT』で、村井良大が翻訳ミュージカルに初挑戦。同作品のオーディションのことやミュージカル作品についてなどを直撃インタビュー。デビュー『夏の特別オーディション』出身者でもある先輩スターから、芸能界デビューを夢見るみんなへのメッセージも!
「今までにやったことのない挑戦に立ち向かえる”というのは、今後のターニングポイントになると思う」
――世界的に有名なミュージカル『RENT』に対して、どんな印象を持っていましたか?
「実は、全然知らなくてオーディションのを受けることになって、初めて映画版とブロードウェイ版のDVDを拝見させていただきました。今まで舞台のDVDで泣いたことが無かったんですが、最後のクライマックスを観たときに、“こんなに感動する作品があったんだ”って」
――どんなところに感動されたんですか?
「正直、どんなところに感動したのかって、まだわかっていなくて。『RENT』って、青春群像劇でいろんな人の人生を切り取って描いているので、実はそれに一貫性がないんですよね。でも、それなのに、最後は物語としてすごくまとまっていて、涙してしまう……。DVDを観たときに、音楽の力なのかもしれないけど、今までに体験したことのない感動を味わったんです。『RENT』は、20世紀末のニューヨーク、イースト・ヴィレッジに住む人間たちの過酷な現状を感じつつも、時にはケンカして、時には戦って、時にはみんなで手を取り合って生きていく、いろんな人たちの人生の一瞬一瞬を見せてくれる舞台で、これは作品を超えた感動だなって感じました」
――今回、オーディションを経て出演が決定したということですが、どんなオーディションだったんですか?
「最初のオーディションでは、冒頭のセリフの芝居と、マークのソロ曲『Halloween』を歌いました。実は、オーディションを受けることは急に決まって。“え?ミュージカルのオーディションってことは歌いますよね? 作品も歌も知らないんですけど……”って、若干焦りつつも、その間に『RENT』のDVDを観て、ソロ曲の『Halloween』についてや、作品についていろいろと調べてオーディションに行きました」
――短い準備期間の中で、自分なりに準備をしてオーディションに臨んだんですね。その後はどんな風に進んでいったんですか?
「もう一度オーディションに呼ばれて、ロジャーとの楽曲『What You Own』を歌いました。その時は、日本語の譜割がなくて『自由にやって下さい』と言われたので戸惑いつつも、本家の英語楽曲を聞いて、たぶんこんな感じかな?と、自分なりに日本語をはめ込んで歌いました」
――そんなオーディションを経て、マーク役に決定したわけですが、オーディション結果を聞いたときはどんな想いでしたか?
「正直嬉しかったですけど、ここまで本格的なミュージカルに参加できるというのは初めてだったので、プレッシャーもありました。けど、『RENT』という作品は、その時にはすでに大好きな作品になっていたので、“よし、やった!『RENT』をやれる! あの世界観に入れるんだ!”という気持ちの方が勝ちましたね」
――ちょうど、『RENT』への出演が決まった頃に、番組のロケでニューヨークを訪れて、本場ブロードウェイのミュージカルに触れたということですが、その経験はいかがでしたか。
「日本とは観に来ている客層が全然違うという発見が大きかったです。カップルが普通に『舞台観に行く?』みたいな感じで敷居が低くて、“舞台上と客席が本当に全員一緒になって楽しむ場所”という印象が強くて。『ロック・オブ・エイジズ』を観たんですが、本番中に客席の通路でビールの売り子が『ビールいりませんか?』って歩いていて。“そんなことある? 野球場じゃないんだから”って、衝撃を受けました。それと、ロックミュージカルだったので、演奏するバンドマンの人たちもTシャツ姿で『ウェ〜イ』って軽いノリで入ってきて、客席の人たちも『ウェ〜イ』って“これから頼むぞ!”“これから面白くしてくれよ!”っていうような温かさがあって。一体感がハンパじゃないなって」
――製作発表では、キャスト全員で『RENT』の代表曲『Seasons of Love』と、ロジャーを演じるWキャストの堂珍嘉邦さん、超新星・ユナクさんの3人で『What You Own』を披露していましたが、実際に舞台上で歌ってみてどうでしたか?
「もう1曲いきたいくらい、すごく楽しかったです。このまま歌っていたいって思ったくらい(笑)。ロジャーはWキャストなので、3人で歌うことは今後ないと思うけど、“一生に一度を今体験できた!”って思いました。リハも何度かやりましたが、本番が一番良かった。一番バチっとハマったんですよね。こんなこと言うのは恥ずかしいけど、歌っていて、ちょっと降りて来たなっていう感じがして。それがすごく楽しかったから、本番でもこういうことがあったらいいなって思いました」
――演じるマークについては、現段階でどんな人物だと捉えていますか。
「マークは非常に我慢する人間だなというのは感じていて。マークって、日本版でのキャラクター紹介だと、“映画オタクでガールフレンドのモーリーンにフラれたばっかり”というような、ちょっとマイナスな言葉が多いんですよね。でも、実はマークが一番ロックなんじゃないかなって思っているんです。毎日何かを掴もう思って生きていたりする精神だったり、ハングリーさがあったり、芸術性もある。だから、マークという役をひと言で表せられないような、ふくらみのある役にしたいなとは思っています」
――個性的なキャストが勢ぞろいした今回の『RENT』ですが、このカンパニーに対してどんな印象ですか。
「製作発表のときに、“このカンパニーをマーク役としてまとめるのか……”と思って、超大変そうだなって思いました(笑)。でも、良い意味で、すごいことになりそうだなっていう予感もしています」
――さまざまなフィールドで活躍されている人たちが集結しているだけあって、この作品ではたくさんのことを吸収できそうですよね。
「そうですね。吸収することは多いと思います。それに、今回はロックミュージカルということもあって、気持ちだったり、魂だったり、“ふざけんなバカヤロー”みたいな言葉の強さがあったり、普通のミュージカルとは違うところにも共感できた。『RENT』で、初めてロックミュージカルというものを知って、今までもミュージカルは好きだったけど、さらに好きになりました」
――今作で、翻訳ミュージカルのデビューとなりますが、歌うことに関してはいかがですか?
「ここまで本格的なミュージカルや歌というのは、今まで実は避けていたというか。自分は違うだろうな、畑違いだろうなって思っていたんですよね。でも、こういう縁で出演が決まって、以前、共演した堂珍(嘉邦)さんがいるのも何かの縁だろうなって。それを実感できるのは嬉しいこと。今までにやったことのない挑戦に立ち向かえるというのは、今後のターニングポイントになるのかなと思うので頑張りたいです」
――舞台作品ならではの面白さ、魅力はどんなところだと思いますか。
「目の前で役者が呼吸しているというか、目の前に存在しているというのが一番だと思います。TVは音量をゼロしてしまえば、何も聞こえてこないけど、舞台はゼロにはできない。何かしら聞こえてくるし、役者の表情や緊張感とか、いろんなものが織り交ざって、役者が、今その場で出ているパワーを見せてくれる。映像って編集されて無駄なところをそぎ落としたりして、綺麗にできているから、ある意味、工場みたいで。工場で作ったお菓子はすごく綺麗にできていて、順番通りにできたものを出している感じ。だけど、舞台は創作料理がいきなり始まる感じというか。“こういう風に作っていくんだ”とか、“こんな風に味付けしていくんだ”っていう過程を目の前で観られるから、“ライブ”なんですよね。ライブだからこそ、映像とは違った生のぶつかりあいが見られると思うんです」
――『RENT』は、貧困やHIV、ドラッグなど、死と隣り合わせになりながらも、夢を追い続ける若者たちの生き様を描いた作品ですが、夢を叶えるために必要不可欠なことはどんなことだと感じますか?
「なんだろうな……。自分に負けないことなんだろうなって思います。僕自身は、将来的な夢はあるけど、夢っていう夢って、そんなにないんですけど……。でも、どういう夢を持っているのか?っていうことだったり、今以上の自分になるために、負けないように、未来の自分を夢みて精進することは大切だと思います。この世界は、出会いとかタイミングとか、いろいろあるけど、そのチャンスをもらったときに、自分が何ができるかが大きいと思うし、それを叶えるためにも、自分が今できることをやったほうがいいと思う。それが大きな夢への第一歩になるんじゃないかな」
――では最後に、芸能界デビューを目指すユーザーを含め、夢を追いかけている人たちにメッセージをお願いします。
「『RENT』に出てくる登場人物には、夢を追いかけながら生きている人たちが多いんですが、全員やりたいことがあって、でも、それが叶わない人たちもいっぱいいる。人生って人それぞれだし、その時にどう行動したとか、どう感じたとか、何かに感動したことによって、人の人生って変わったりもする。この『RENT』を観たことによって、その人の夢が変わったり、もしくは感動して人生が変わるような、そんな作品にしたいと思います。あまり重く感じるんじゃなくて、“どんなことがあるんだろう”“どんな反応が起きるんだろう”って、フラットな感じで観に来てほしいです」
村井良大
むらい・りょうた●1988年6月29日生まれ、東京都出身。ウェーブマスター所属。主演舞台『風魔の小次郎』(07年10月)でデビュー。主な出演作は『仮面ライダーディケイド』(テレ朝系)、『戦国鍋TV』(tvkほか)、舞台『弱虫ペダル』、映画『醒めながら見る夢』、舞台『里見八犬伝』など幅広く出演。10月スタートの『新★乾杯戦士アフターV』(テレ玉ほか全国8局で放送予定)に出演。
むらい・りょうた●1988年6月29日生まれ、東京都出身。ウェーブマスター所属。主演舞台『風魔の小次郎』(07年10月)でデビュー。主な出演作は『仮面ライダーディケイド』(テレ朝系)、『戦国鍋TV』(tvkほか)、舞台『弱虫ペダル』、映画『醒めながら見る夢』、舞台『里見八犬伝』など幅広く出演。10月スタートの『新★乾杯戦士アフターV』(テレ玉ほか全国8局で放送予定)に出演。
ミュージカル『RENT』
【東京公演】9月8日(火)〜10月9日(金)日比谷シアタークリエ
【大阪公演】10月16日(金)〜18日(日)森ノ宮ピロティホール
キャスト:村井良大、堂珍嘉邦/ユナク(超新星)、ジェニファー/Sowelu、加藤潤一/TAKE(Skoop On Somebody)、平間壮一/IVAN、上木彩矢/ソニン、宮本美季、Spiほか
【東京公演】9月8日(火)〜10月9日(金)日比谷シアタークリエ
【大阪公演】10月16日(金)〜18日(日)森ノ宮ピロティホール
キャスト:村井良大、堂珍嘉邦/ユナク(超新星)、ジェニファー/Sowelu、加藤潤一/TAKE(Skoop On Somebody)、平間壮一/IVAN、上木彩矢/ソニン、宮本美季、Spiほか
Photo by Leslie Kee
舞台は、20世紀末のニューヨーク、イースト・ヴィレッジ。映像作家のマークは、友人でロックバンドのボーカル・ロジャーと古いロフトで暮らしている。夢を追う彼らに金はない。家賃(レント)を滞納し、クリスマスイヴにも関わらず、電気も暖房も止められてしまう。恋人をエイズで亡くして以来、引きこもり続けているロジャー自身もHIVに感染しており、せめて死ぬ前に1曲は後世に残す曲を書きたいともがいている。ある日彼は地下に住むSMクラブダンサー・ミミと出会うが、彼女もまたHIVポジティヴだった。一方のマークはモーリーンにフラれたばかり。彼女の新しい相手は女性弁護士のジョアンヌだった。仲間のコリンズは暴漢に襲われたところをストリートドラマーのエンジェルに助けられ、二人は惹かれあう。季節は巡り、彼らの関係に少しずつ変わっていく。出会い、衝突、葛藤、別れ、そして2度目のクリスマスイヴ……。