撮影/加藤千絵(CAPS)取材・文/根岸聖子 ヘアメイク/奥平正芳(CUBE)スタイリング/大石裕介(DerGLANZ)衣装協力/シューズ…Paraboot(Paraboot青山店 03-5766-6688)、ベルト&ソックス…スタイリスト私物
ドラマや映画など数多くの注目作品に出演する岡田将生。初舞台となった蜷川幸雄演出の舞台『皆既食〜Total Eclipse〜』に続いて、舞台2作目『ウーマン・イン・ブラック<黒い服の女>』で挑むのは、勝村政信とたった2人で演じる、英国ホラー演劇。初舞台で得たこと、見えた課題、そして今回の二人芝居への意気込みなど、“舞台”への想いを告白。
「なんで2人芝居なんて選んじゃったんだろう!?と、今苦しんでいます。また舞台をやりたいと思っていたので、嬉しいし、幸せなんですが…」
――舞台『ウーマン・イン・ブラック<黒い服の女>』で、舞台作品は2本目になりますが、舞台で演じることの魅力は、どんなところにあると感じてますか?
「映像と違い、毎日同じ芝居をしていると、飽きることもあると聞いたことがあって、“そういうものなのか”と思っていたんですが、実際にやってみたら、毎日の稽古で芝居を突き詰めていくというのが、自分の性格に合っていたんです。毎公演、自分なりに突き詰めて芝居をすることで、同じシーンでも感じることが変わってくる。前回、蜷川幸雄さんの演出でやらせていただいた『皆既食〜Total Eclipse〜』では、『感じたままにやって欲しい』と言われていたこともあって、飽きるどころか、とても充実した日々が過ごせたんです。辛い部分もあったけれど、毎日すごく楽しかった。観客の前で、生で演じる経験もそれまではなかったので、新鮮でした。“こういうところで笑うんだ”とか、“こういうところで悲しい顔をするんだな”というのが、その場で感じられたので。以前は、生での芝居に対して苦手意識があったんですが、やってみたら、拍手してもらえるだけで感動しましたし、生きている感覚が味わえたので、“あの感動をもう一度味わいたい”“また(舞台を)やってみたいな”と思いました」
――今作は2人舞台ということもあり、台詞量がものすごいことになっていますが。
「そうなんです(笑)。“なんで2人芝居なんか選んじゃったんだろう!?”って、本当に今苦しんでいます。もちろん、もう一度舞台をやりたいと思っていたので、嬉しいし、幸せなんですが……。それに勝村(政信)さんと2人というのにも魅力を感じましたし」
――台本でいうと2ページ分、ひとりで語るシーンもありますが、どんな風に覚えているのですか?
「それがなかなか(頭に)入らなくて。勝村さんに『先輩、台詞が入りません!』と言ったら、『大丈夫、僕もだ』って(笑)。昔から知っている勝村さんだからこそ、2人で台本の読み合わせをするという機会を持てたんですが、今は必要以上に焦らず、この物語にゆっくり入っていくとで、自然に台詞も体に入ってくるんじゃないかと思っています。覚え方は、ただひたすら台本を読んでいます。口に出して読んだり、前回の舞台のときは、洗面所とか、目につく壁にセリフを貼っていたので、今回もそんな風になるんじゃないかなと思っています」
――他に、稽古に入る前の準備というのは?
「少し前に、“演出家ノート”というのをいただいたんです。“こんな感じでいて欲しい”とか、“役柄に対する心構え”のようなことが書いてあったので、とても勉強になりました。自分の頭の中のイメージを固めすぎてしまっても、そこから動かせなくなってしまうので、柔軟性を持って稽古に臨みたいと思っています」
――前回の初舞台で感じた今後の課題、もしくは、この舞台で成長できたら……という思いはありますか?
「特にないです(笑)。今はただ、怖いという感情が強いです。“本当に舞台に立てるのかな!?”という。前回舞台をやってみて、課題だなと思ったことはあったけど、それは毎回芝居によって変わると思うので、また違うものが見えてくるんじゃないかと。そこで感じたものを、千秋楽までに勝村さん、演出家とのやりとりを通してクリアにしていきたい。今の段階では、具体的な課題よりも、不安しかないです(笑)」
――不安というのは、やはり台詞のことが大きいですか!?
「それもありますし、舞台が決まってからも、たまに夢に見るんです。舞台上で台詞が出てこないとか。今はマイナスなことばかり想像してしまいます」
――それでも、舞台には挑戦していきたいと。
「チャンスがあるなら、逃すことはないなと。“失敗をしたとしても、そこにも意味はある”という考え方で、挑戦はしていきたいんです。前作で経験した、舞台の役のことだけ考えるという日々は、不安もありますが、自分にとってはとても大切な時間だったので」
――その不安、怖さは初日まで続くと。
「そうですね。初日はまさに、戦場に戦いに行くような覚悟で臨みます。何事も、楽しいこともあれば、辛いこともありますから。それを乗り越えながら、これからも芝居がやっていけたらと。前作で蜷川さんに『どれだけ芝居を楽しむか。一瞬一瞬を役で生きろ』と言われていたことが心に残っているので、それはこれからも忘れることはないと思います。映像でも舞台でも。映像の作品でも、僕はクランクインの前日に眠れないということもあったりするんですが、舞台はまた違った緊張感と感動があります。今回もまた、その両方を知ることができると思うので、今後の糧にしていきたいです」
――2人芝居、そして英国ホラー演劇の傑作と言われ、日本でも何度も上演されてきた作品ですが、内容について、台本を最初に読んだときの感想を教えてください。
「鳥肌がたちました。ラストもそうですし、読んでいる間に、その世界にどっぷり入っていた自分がいたんです。この物語に引き込まれた時点で、“この作品をやりたい、やるしかない”という気持ちになっていました。これだけの物語を2人だけで展開していくことの面白さ、恐怖、不安、混乱と、自分の頭の中でいろんなことがイメージできたんです。ものすごく大変だけど、こんなに面白いこともないと。できるかわからないけど、“とにかく、やってみたい!”と思いました。演出家が海外の方なので、英語には不安がありますが(笑)」
――舞台にいる自分自身もイメージできた?
「今回の作品は、お客さんとの一体感が出せると思うので、自分がどう舞台に立って、どう表現していくのかというのが、なんとなく想像できたんです。台本を読み終わったときに、そのイメージができたのも楽しくて。その楽しみが勝ったので、“恐れずにチャレンジしたい!”と強く感じたんです」
――勝村さんとの共演で楽しみなことは?
「以前から、共演する度に的確なアドバイスをくださるんです。勝村さん自身、黙っていられないタイプなんだっておっしゃっていて。そんな勝村さんと一緒に濃厚な時間を過ごせることは、自分の今後にためになるとかんじました。2人で本読みをしたときも、実は勝村さんからのダメ出しが多すぎて、2幕までいけなかったんです(笑)。そこまできちんと教えていただけたことが、僕はすごく嬉しくて。今は本当に、毎日が勉強です」
――この公演は、25歳以下の人はチケット代が割安になるU-25チケット(チケットぴあでの前売りのみ)もあり、舞台観劇をしたい若い人たちも観に来やすい作品になっています。役者デビューを目指す『Deview/デビュー』読者にもぜひ観てほしい作品だなと思いますが、最後に読者へのメッセージをお願いします!
「僕もそうだったんですけど、ひとりで舞台を観に行くということは、かなりハードルが高いイメージだったんです。映画に行くように、気軽に行ける感じではなかったというか。でもキッカケはすごく大事で、いいなと思ったものは、鮮明に覚えているんです。だから、もし、この舞台を観ていただいて、素敵だなと思ってもらえたら嬉しいし、“また舞台に行ってみたい”と感じさせる作品にしたい。まだあまり舞台に触れたことのない10代や20代の子たちにも、この機会に、ぜひ観に来ていただきたいですね」
岡田将生
おかだ・まさき●1989年8月15日生まれ、東京都出身。スターダストプロモーション所属。主演映画『ストレイヤーズ・クロニクル』が公開中。出演作品『映画 ST赤と白の捜査ファイル』のDVD&Blu-rayが7月1日に、『不便な便利屋』のDVD&Blu-rayが7月15日に発売。2016年公開予定の映画『秘密 THE TOP SECRET』が待機。
おかだ・まさき●1989年8月15日生まれ、東京都出身。スターダストプロモーション所属。主演映画『ストレイヤーズ・クロニクル』が公開中。出演作品『映画 ST赤と白の捜査ファイル』のDVD&Blu-rayが7月1日に、『不便な便利屋』のDVD&Blu-rayが7月15日に発売。2016年公開予定の映画『秘密 THE TOP SECRET』が待機。
パルコ・プロデュース『ウーマン・イン・ブラック<黒い服の女>』
【東京公演】8月7日(金)〜30日(日)PARCO劇場
【名古屋公演】9月3日(木)、4日(金)アートピア
【新潟公演】9月6日(日)りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館
【大阪公演】9月8日(火)〜12日(土) 森ノ宮ピロティホール
【東京公演】8月7日(金)〜30日(日)PARCO劇場
【名古屋公演】9月3日(木)、4日(金)アートピア
【新潟公演】9月6日(日)りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館
【大阪公演】9月8日(火)〜12日(土) 森ノ宮ピロティホール
12の言語に翻訳、世界40余国で上演され、ロンドン、ウエストエンドのフォーチュン・シアターでは、今年26年目のロングラン公演に突入。そして、パルコ劇場でも繰り返し上演されてきた英国ホラー演劇の傑作を、キャスト、翻訳を一新し、7年ぶりに上演する。
舞台は、観客のいない劇場。本来なら何百という人の息が聞こえてきそうなその場所で、たった2人の男、中年の弁護士と若い俳優が、過去に体験した世にも恐ろしい出来事を、劇中劇の形を借りて再現していく。俳優は“若き日の弁護士”を、弁護士は“彼が出会った人々”を演じながら……。