『晦日明治座 納め・る祭〜あんまり歌うと攻められちゃうよ〜』稽古場レポート | Deview-デビュー
2015.12.03
晦日明治座 納め・る祭〜あんまり歌うと攻められちゃうよ〜

 『納め・る祭』の第一部、お芝居『将の器〜泣くよウグイスHEY!HEY!HEY!』の稽古現場を、役者を目指すTeamDのメンバーが訪問。坂上田村麻呂役の三上真史くん、綿麻呂役の安西慎太郎くんが迎えてくれた。『将の器〜』は平安初期を舞台に繰り広げる、史実を基にした歴史ファンタジー。オリジナルの歌と踊りも交えた見どころたっぷりな芝居となっている。

晦日明治座 納め・る祭〜あんまり歌うと攻められちゃうよ〜
稽古場に潜入!
晦日明治座 納め・る祭〜あんまり歌うと攻められちゃうよ〜
稽古前には入念にストレッチ
晦日明治座 納め・る祭〜あんまり歌うと攻められちゃうよ〜
各自で殺陣の確認
晦日明治座 納め・る祭〜あんまり歌うと攻められちゃうよ〜
真剣なまなざしの三上くん

 稽古場となる広い部屋の真ん中には大きな階段セットが設けられ、セットの前には長机がズラリ。そこには今回の演出を手掛ける板垣恭一氏やスタッフ、ほかのキャストの姿もあった。稽古前から独特な雰囲気が漂う空間に、TeamDメンバーの川本響ちゃんと坂東駿くんは少し緊張顔だ。そんな中、稽古開始前、おもむろにストレッチを開始した三上くんと安西くん。やがて剣を手に取った二人はそれぞれの殺陣の練習に入る。三上は壁側を向いて黙々と剣を振り回し、安西は鏡を見ながら自分の動きを確認。そして無言で向き合った彼らは、そのままゆっくりと互いに剣を合わせ始める。流れるような動きは見事で、TeamDメンバーも釘付けに。

晦日明治座 納め・る祭〜あんまり歌うと攻められちゃうよ〜
舞台の台本に大興奮の二人
晦日明治座 納め・る祭〜あんまり歌うと攻められちゃうよ〜
ついに稽古がスタート!
晦日明治座 納め・る祭〜あんまり歌うと攻められちゃうよ〜
緊張感あふれるシーン
晦日明治座 納め・る祭〜あんまり歌うと攻められちゃうよ〜
TeamDメンバーはくぎづけ!

 見学した稽古シーンは第二幕での一部分。大伴ノ弟麻呂役の勝野 洋も加わり、また一気に現場の空気感が変わった。見学した場面は、弟麻呂と田村麻呂が対峙するところから。自分の配下についた弟麻呂の真意を確かめようとあえて田村麻呂が彼に噛みつき、その様子を後ろから綿麻呂が見つめているという設定。インタビュー時とは全く違う、よく響く大きな声で一気に演技に入った三上くんたち。台本にびっしりと書かれていた平安時代ならではの難しい単語もスラスラと口にし、セリフは当然のように頭の中に入っているよう。その姿にTeamDメンバーも見入る。そして一通りの演技が終わった後は演出家・板垣氏によるダメ出し(演技指導)がスタート。「今のはどういう気持ちで言った? 挑発する感じなら、もう気持ち濃いめにしてみてなど、セリフの言い方や間の取り方、動きなどの細かい部分まで演出家と役者たちが話し合って詰めていく。そのまま再び同じシーンの通しが始まると、さきほどと同じセリフが繰り返されているとは思えないほどに演技の雰囲気がガラリと変わった。「うん、良くなったね」という板垣氏の言葉を掛けられた三上くんはまっすぐに氏の顔を見ながらコクリと頷いてみせる。

晦日明治座 納め・る祭〜あんまり歌うと攻められちゃうよ〜
坂上田村麻呂役の三上真史くん
晦日明治座 納め・る祭〜あんまり歌うと攻められちゃうよ〜
綿麻呂役の安西慎太郎くん
晦日明治座 納め・る祭〜あんまり歌うと攻められちゃうよ〜
演出・板垣恭一氏とともに芝居をつめていく
晦日明治座 納め・る祭〜あんまり歌うと攻められちゃうよ〜
晦日明治座 納め・る祭〜あんまり歌うと攻められちゃうよ〜
晦日明治座 納め・る祭〜あんまり歌うと攻められちゃうよ〜
一つ一つの場面を細かく丁寧に稽古していく
晦日明治座 納め・る祭〜あんまり歌うと攻められちゃうよ〜
綿麻呂が怒りの感情を露わにする場面

 続いて臨んだシーンは、同じ第二幕でのさらに佳境部分。綿麻呂が怒りの感情を露わにする場面では、感情の移り変わりや表情の変化にこだわり、板垣氏からは安西に「ここ、具体的にはどういう心情でやっている?」という質問が飛ぶ。安西はすぐに自分の考えをしっかり説明し、板垣氏も「なるほど」と返答。そしてそれを聞いた上での自分の考えを真剣に伝える。あくまでも自身のやり方を押し付けるのではなく、一つの例としての演技プランを提示しつつ、役者たちに考えさせる。“どうしたら芝居として、嘘にならないように自然にみえるか”という部分にこだわりが見えた。ピンと張り詰めているようでいて、でも空気は軽く弾んでいるような独特の熱気に包まれた時間。最後に板垣氏が「そこは楽しんで」と言うと、一瞬だけ安西の顔が少しほころび、またすぐに真剣な表情に戻って再びの演技の態勢に入った。
人の心が読めるからこその葛藤を抱える田村麻呂と、その彼を支える綿麻呂。そのふたりを演じる三上くんと安西くん。この日、見学させてもらった場面は、舞台全体を通してみたら、たった数分のシーンだろう。しかし、役者や製作陣たちは、その一つ一つの場面を細かく丁寧に稽古を重ねて芝居を固めていく。そんなプロたちの現場を間近で見ることのできた貴重な体験だった。たくさんのディスカッションの末に完成された彼らの熱演は、ぜひ劇場にてその目で確かめてみてほしい。

撮影/大森文暁 取材・文/松木智恵
今回参加してくれたTeamDメンバーの感想
坂東駿くん
坂東駿くん
「やっぱりカッコイイなと思いました。お話を聞かせていただいている間も目をしっかりと見て話されるので、引き込まれて、余計に緊張しちゃいました(笑)。でも稽古ではインタビューの時とは全く違う顔になったというか。毎回、同じシーンなのに違う顔を見せていて、インタビューで話されていた『舞台のリアルな変化が楽しいよ』というのは、こういうことかと感じました。そういう楽しみ方もあるんだなと改めて知りました」
川本響ちゃん
川本響ちゃん
「おふたりが親しみやすい方々で良かったです。でも、緊張してしまっていたので、もう少しいろいろと聞けたら良かったなと思いました。あぁいう稽古を見るのは始めてだったんですけど、台本をボロボロになるまで読まれていたり書いていたりされていて、すごかったです。緊張感がありました。私は、半ば親の反対を押し切って、お芝居の勉強をするために上京してきたので、今回この企画に参加して、より頑張ろう!と思いました」
『晦日明治座 納め・る祭〜あんまり歌うと攻められちゃうよ〜』稽古場レポート
晦日明治座 納め・る祭〜あんまり歌うと攻められちゃうよ〜
晦日明治座 納め・る祭〜あんまり歌うと攻められちゃうよ〜
『晦日明治座 納め・る祭〜あんまり歌うと攻められちゃうよ〜』

【東京公演】2015年12月29日(火)〜31日(木)明治座
【大阪公演】2016年1月16日(土)梅田芸術劇場メインホール

『晦日明治座 納め・る祭〜あんまり歌うと攻められちゃうよ〜』

 若手俳優から、小劇場界の俳優、アイドル、宝塚、往年のスター。とにかく様々なジャンルの俳優たちが集まってお芝居を創り上げる、明治座×る・ひまわり主催の「祭」シリーズ。第一部では、お芝居を上演し、第二部では出演者内で各ユニットを組み、オリジナルの歌と踊るショーを上演。 今回の題材は、征夷大将軍・坂上田村麻呂と彼と対峙する蝦夷の英雄・阿弖流為。歴史的事実を踏まえ、その中で生きた彼らの想いを、現代に生きる我々が独自の解釈をする事で、当時と何ら変わらない「人」が「人」として願う未来を描く。朝廷側はストレートプレイでの演技で表現し、蝦夷はミュージカルのように歌を歌い表現する。

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