井上優さんインタビュー
2018.03.22
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加園「演技を仕事にしていくなかで、日常生活の中で大事にしていることはありますか?」
井上「自分自身を知ること。自分のことは自分が一番よく分かっているようで、意外とそうじゃないんです。例えば“ここにホクロがある”、とか“クセでこういう動きをしちゃう”とか、姿勢にしても、映像で観たら思っていたものと違っていたり。その『主観と客観の誤差』を知るのが大事かな。声優の仕事をしたときに、自分がイメージした芝居と、実際にアニメの完パケを観た時の違いを思い知ったんですが、じゃあどうやってその誤差を正すかといえば、客観的にチェックするしかないと。そこからボイスレコーダーに声を録ってチェックしていくようになりました。自分を知るには、客観的に自分を見つめてあげるという視点は常に必要だと思います」
坂井「この世界を目指したきっかけを教えてください」
井上「自分は元々、人見知りで引っ込み思案のくせに目立ちたい欲求があることに気づいて。空回りしたり、クラスで浮いた存在になったりと紆余曲折はあるんですが、運良く大学で、お芝居を学ぶという進路を得ることができました。舞台からスタートして、大学の先輩後輩のつながりでアニメのオーディションを受けさせていただいて。声の芝居の技術は無かったんですが、当時、ナチュラルな芝居をする人をキャスティングするという流れにたまたま運よく当たって、一つ大きな作品をやらせていただくことになったんです。結果、技量的には足らなくて、あとあと勉強が足りなかったなと辛い思いをするんですけどね(笑)」

加園「普段から心がけていることはありますか?」
井上「職業病だと思いますが、舞台や映画を良くも悪くも普通には見られないですよね(笑)。例えば、舞台は演出家の意図で、観てほしい部分に視点を操作するじゃないですか? でもそういうときも、ちらっと違うほうを見ちゃったり。あと、感情が高ぶったり、笑ったり怒ったり泣いたりっていうときに、客観的な自分が出ちゃうんです。すごく悲しいことがあったときも、“こんな風に泣いてんだな…俺”とか、“あ、これは芝居に使えるかも”とか思っちゃうときもあって。自分、職業病でまともじゃないなって(笑)。でもこれは『役者あるある』だと思います」
坂井「どういう姿勢で臨む人が、レッスンで伸びると思いますか?」
井上「固定概念をちゃんと壊せる人かな。役者さんは、自分以外の人や動物、モノだったり、自分以外の何かを演じる仕事なので、自分を基準にしたものの考え方にとらわれている人って、なかなか殻を破れない。そこを割り切って考えられる人は、戸惑わずに演じられたりするんです。あと、演技はどうしても人間性が出てしまうもの。日本人は世界的に見たら恵まれた暮らしをしていて、基本的には平和で笑顔で、楽しい思い出がいっぱいの人たちだと思うんです。そういうベースがあると、悲しんだり、怒ったり、人を傷つけることに躊躇してしまいがち。でも逆に運悪くご両親の愛情を受けられなかったり、思春期につらい別れをしたりした人は、悲しい感情の芝居ができても、素直に笑えなかったりする。それは良い悪いではなく、それを全部ひっくるめて“全部自分だよ”って受け入れる。そのうえで、苦手な感情をどうやって開拓していこうかと前向きに捉えられる人。そういう人が役者として伸びるんじゃないかなと思います」

加園「演技を教えるうえで、井上さんが大切にしていることはありますか?」
井上「講師にもいろんな人がいて、何が正解かなんていうのははっきり言って分からないですよね。時代によって求められる演技もタレント性も変わるし、演技の手法一つをとっても、古典的なお芝居の良さと、現代的なお芝居のポイントは違うから。だから伝えたいのは『正解は一個じゃないよ』ということ。授業を始める一番最初の段階では、“自分が伝えるのはあくまで自分が思っている正解例。本人の感覚と合わないと思っているものをを強要しようとはしません。仮に、僕が◎って言っても、別の講師は×っていうかもしれないし、その逆もあるかもしれない。そういうときに混乱せず、価値観が違うということを客観的に理解してもらいたい。だから、自分の価値観に合う講師の教えを優先したらいいよ”って言います。あと、授業では『先生』というより、役者の先輩として知っていることをシェアする感覚で言うから。必要なものは受け取って、いらないものは捨てていけと。その分、なるべくたくさんいろんな言い方でアプロ―チします」
ーー2人は今回の体験レッスンでも積極的に手を挙げてガッツを見せました。
井上「そういう姿勢は大事だと思います。仮に実力が一緒だとしたら、最後に選ばれるのって、一歩前に出ていた人なんです。ほかの人を見てからというヤツは、時代のトップの一歩後ろを歩く人、二番煎じをやる人なんです。やっぱり積極的に動けることって、大事なんじゃないかなって思います」

坂井「最後に役者の先輩からメッセージをください」
井上「自分はこの学校に来て、教えるという道を納得して選択したうえでここにいるし、やるからには、ここに対する結果を出さないといけないと思っています。加園さんのように、イラストレーターをやりながらお芝居もやるというのは、今の時代はありだと思うんです。このご時世、表現する媒体は無限に増えているから、役者一本にこだわらなくても、さまざまなアプローチがあっていいと思う。自分もそういうスタンスでやっているので、自分が納得してやっていることなら、自信を持ってやればいいと思います。後悔しない選択をして、自分の選択に自分で責任を持つことだと思います」
■井上 優(いのうえ すぐる) 講師(俳優/声優)
玉川大学文学部芸術学科で演劇を学び、現在はフリーランスで活動中。 俳優業として、舞台は*pnish*プロデュース「黄金仮面」、ニコニコミュージカル第9弾「5王子とさすらいの花嫁〜ニコニコ・ニーコdue〜」他、 映像作品はNHK時代劇「吉原裏同心」、「忠臣蔵の恋〜四十八人目の忠臣〜」などに出演。 声優業としては、「家庭教師ヒットマン REBORN!」、「蟲師」、「遊☆戯☆王5D's」、 「NARUTO 〜ナルト〜 疾風伝」、「イナズマイレブンGO クロノ・ストーン」、「キルラキル」、 「テニスの王子様」、「言の葉の庭」、「君の名は。」など。 他、海外作品の吹き替え/ナレーション、ラジオパーソナリティ、イベント司会、企画、演出など多岐に活動。
玉川大学文学部芸術学科で演劇を学び、現在はフリーランスで活動中。 俳優業として、舞台は*pnish*プロデュース「黄金仮面」、ニコニコミュージカル第9弾「5王子とさすらいの花嫁〜ニコニコ・ニーコdue〜」他、 映像作品はNHK時代劇「吉原裏同心」、「忠臣蔵の恋〜四十八人目の忠臣〜」などに出演。 声優業としては、「家庭教師ヒットマン REBORN!」、「蟲師」、「遊☆戯☆王5D's」、 「NARUTO 〜ナルト〜 疾風伝」、「イナズマイレブンGO クロノ・ストーン」、「キルラキル」、 「テニスの王子様」、「言の葉の庭」、「君の名は。」など。 他、海外作品の吹き替え/ナレーション、ラジオパーソナリティ、イベント司会、企画、演出など多岐に活動。
今回参加してくれたTeamDメンバーの感想

坂井美萌々
井上さんは、教えるスタンスが素敵だなって思いました。演技を実際にやってみて、×をつけずにアドバイスをくださって、やりやすい環境で、いろんな人の価値観を大事に伸ばしてくださるなと思いました。あとは“プロになるということは売れるということ”とおっしゃっていたので、自分は売れるために何をしているのか、どうしていくかというのを考えなきゃいけないなって思いました。今は映像演技のレッスンを受けているんですが、ドラマ・映画等の映像方面で役をいただくことが第一の目標。そして大きな夢は、賞を取れるような女優になりたい。東京国際映画祭でレッスンの先生の関係でレッドカーペットを歩かせていただいて、主演の方の後ろで同じフラッシュを浴びた時、やっぱり私はここに立ちたいって思って、この夢をかなえたいと思いました
井上さんは、教えるスタンスが素敵だなって思いました。演技を実際にやってみて、×をつけずにアドバイスをくださって、やりやすい環境で、いろんな人の価値観を大事に伸ばしてくださるなと思いました。あとは“プロになるということは売れるということ”とおっしゃっていたので、自分は売れるために何をしているのか、どうしていくかというのを考えなきゃいけないなって思いました。今は映像演技のレッスンを受けているんですが、ドラマ・映画等の映像方面で役をいただくことが第一の目標。そして大きな夢は、賞を取れるような女優になりたい。東京国際映画祭でレッスンの先生の関係でレッドカーペットを歩かせていただいて、主演の方の後ろで同じフラッシュを浴びた時、やっぱり私はここに立ちたいって思って、この夢をかなえたいと思いました

辻友里香さん
今回レッスンを受けて、話を聞いて、忘れそうになってしまっていた初期衝動を思い出すことが出来ました。イラストレーターの仕事での自分の商品は右手と画力ですけど、そうやって自分を売り込んでいくスタンスを今後は演技の仕事でも取り入れて行きたいと思いました。私は学生時代にトラブって学校に行けなくなっていたときに、友達から薦められた地元・茨城が舞台の映画『大洗にも星はふるなり』を観て、めちゃめちゃ笑って救われたんです。それをきっかけに喜劇を志したので、主演を支えられる個性的な脇役や、絵が描けるから監督を支えられる人になりたい。そしていつか、福田雄一監督とムロツヨシさんと一緒に仕事をして、直接お礼を言いたいというのが一番の夢です
今回レッスンを受けて、話を聞いて、忘れそうになってしまっていた初期衝動を思い出すことが出来ました。イラストレーターの仕事での自分の商品は右手と画力ですけど、そうやって自分を売り込んでいくスタンスを今後は演技の仕事でも取り入れて行きたいと思いました。私は学生時代にトラブって学校に行けなくなっていたときに、友達から薦められた地元・茨城が舞台の映画『大洗にも星はふるなり』を観て、めちゃめちゃ笑って救われたんです。それをきっかけに喜劇を志したので、主演を支えられる個性的な脇役や、絵が描けるから監督を支えられる人になりたい。そしていつか、福田雄一監督とムロツヨシさんと一緒に仕事をして、直接お礼を言いたいというのが一番の夢です
ワタナベエンターテイメントカレッジ
ワタナベエンターテインメントが運営する芸能スクール。俳優・女優、タレント、ヴォーカル、声優、モデルと、様々なジャンルの専攻・コースを用意。多数の芸能プロダクションが参加する「デビューオーディション」など、在籍者全員がデビューのチャンスにチャレンジできる環境を提供している。