インタビュー For ACTRACE 青山美郷 | Deview-デビュー
「自分に自信がなかった分、別の人として生きるということがすごく楽しいです」
青山美郷
――2年前にもデビューのきっかけとなった『アクトレース』について話を伺いました。
「あっという間すぎて。20歳になってからは、もう20代って思ったらすぐに21になって、そう言えば今年22だみたいな。早過ぎてちょっと中身がついていけてないです」
――応募のときを思い出してもらうと…このオーディションにピンときたわけは?
「私は女優さんになることしか考えていなかったので、『アクトレース』っていう言葉にすごく惹かれてました。私は『デ☆ビュー』を読んで応募したんですけど、他の事務所の募集がけっこうマルチな感じだったのに、SMAは『アクトレース』というタイトルで女優の募集だったので、興味が湧いて応募しました」
――オーディションに臨んだ時はどんな気持ちでした?
「オーディションの経験は無かったんですけど、人の前に立ったとき、いい意味で諦めるというか、もう振り切ってやっちゃえ! みたいな『飛び込み精神』を昔から持っていて。後は“女優になりたい”っていう強い想いがあったから、開き直ることができました。危機的状況のときのほうが振り切れて、本番には強いかも知れません。オーディションでは、事前にもらった台本から好きな設定を選んで即興的に演じる審査があったんですが、緊張で一生懸命だったので、ほとんど記憶にないです」
――『アクトレース』の合格者で劇団ハーベストを結成して活動してきましたが、一人ではなく、同期の仲間とともに活動出来たことはどんな影響がありました?
「身近に仲間だけどライバルみたいな存在がいるわけで。誰かが仕事決まったら“悔しい”って思ったり。反骨精神というか“絶対負けたくない”という気持ちが湧いてくるのは団体ならではだなって思います。劇団なので、ずっと同じメンバーで公演を年に3回、毎年やることで、お互いの信頼関係があるからこそできる芝居も生まれるので、それはすごく大きいと思います。年に3回舞台に立たせてもらえるというのも、ものすごく恵まれている環境だなって思います」
青山美郷
――そんなハーベストも5周年。自分の中で変化はありました?
「私、人と比べてしまうクセがあったんですけど、結局は自分に勝つしかない、自分の戦いだなって今は思えるようになって。劇団の一人ひとりは、それぞれだしって考えられるようになりました。今年は大学生や社会人が一気に増えたので、劇団の雰囲気が変わったのも面白いですね。発言の内容が全然違ったり、俯瞰で見ているような子もいて。女の子が一番変化する、10代から20代という面倒くさくてすごく複雑な時期を一緒に過ごしたので、想い入れがあります。今後は個人としても、もっと表現する場を増やしていきたいなって思っています」
――最近はドラマ『鼠、江戸を疾る2』でヒロインに抜擢されるなど、個人の活躍の場が広がっています。
「レギュラーでドラマに出ずっぱりの役は初めてで“ドラマってこうやって撮っていくんだ”とか“こんなに早いんだ”っていろいろなことを感じました。時代劇で殺陣があったり、着物でお芝居するのも、本当に初めのことだったので、全部得るものばかりでした。これから先、また時代劇をやることがあったら“次はこういう準備をしていきたい”って思うところもあって、すごく勉強にもなった現場でした」
青山美郷
――そんな活動をサポートしてくれるソニー・ミュージックアーティスツってどんな会社?
「遊びが散らばっているイメージです。ふざけるとかそういうことじゃなくて、遊ぶことをすごく大事にしている。エンターテイメントを遊びながら、面白がりながら創っている事務所だなって思います。あとは家族みたいに、人として見てくださるので、すごくありがたいと思っています。仕事だけじゃなくて、私の心の中のことやプライベートのことも、すべて一緒に共有してくださってるように感じます」
――そういう会社の影響で、お仕事を楽しむ気持ちも芽生えたのでは。
「個人でモバイルサイトを始めさせていただいて、自分からどんどん発信するとなったときに、私はずーっと人のマネをして生きてきたな、自分がないなということを痛感して。それをきっかけに“自分は何を面白いと思うのか”を追究するようになりました。洋服ひとつ買うにも、一着一着を見ていって、どういう形が好きなのか、どんな色が好きなのかを追究して…」
――今、自分を見つけつつあるところ?
「私、THE BLUE HEARTSの甲本ヒロトさんや、忌野清志郎さんをものすごく尊敬していて。ライブの映像を見ていると、すごく遊び心があって、でも魂もあって。言葉では表現しづらいんですけど、本能的な感じが好きなんです。今はこういうものに魅力を感じていることを認識したので、その感覚を持って、また進歩していけたらいいなって思っています」
青山美郷
――女優の仕事の楽しさは?
「自分に自信がなかった分、別の人として生きるということがすごく楽しいです。人っていろんな面があるじゃないですか? 今取材受けている私と、家で過ごしているときの私、学校にいるときの私って全然違うけど、確かに全部自分だなって。いろんな自分を役に活かすことができるっていうのも楽しいです」
――女優を続けられるモチベーションの源は?
「『鼠、江戸を疾る2』の公式サイトの掲示板に、『小袖ちゃんの笑顔から元気をもらいました』『殺陣が爽快で、嫌なことがあってもスッキリします』って視聴者の方のコメントが書いてあって。自分に自信が無くて、自分は誰にも影響を与えないって思っていたんですけど、確かに私も舞台を観たとき、影響を受けやすいので、ものすごいエネルギーをもらえるので“自分も表現者だ!”って思えたんです。今は、誰か一人でも影響を与えられたらいいなって思って、それが原動力になっています」
――これからオーディションを受けようと思っている読者にメッセージをお願いします。
「私は“女優になりたい”というすごく強い気持ちがあって応募したんですけど、“なんか面白いな、やってみよう”って軽い気持ちで始めた人でも、そこにどっぷりはまって人生が変わったという人もいます。だから、少しでも気になった人はまずは応募する。考えているだけじゃたぶん何も変わらないから、とりあえず一歩行動に移してみることは大事だと思います」
撮影/厚地健太郎

青山美郷(あおやま・みさと)●1994年10月19日生まれ、兵庫県出身。2011年夏、ソニー・ミュージックアーティスツ主催の女優発掘オーディション『アクトレース』に合格。2012年旗揚げされた『劇団ハーベスト』のリーダーを務める。ドラマ『鼠、江戸を疾る 2』(NHK)小袖役、映画『思春期ごっこ』(主演)などがある。劇団ハーベスト第10回公演『真っ向ガール』は8月3日〜7日中野ザ・ポケットにて上演。
×