2015年3月27日
「それで、何をしに行くんですか?」。旅行に行く話をすると、こう聞かれることが多くて困る。世界遺産の何が見たいとか、名物の何が食べたいとか、自分には具体的な目的はないから。ただ散歩をしてきたいだけ。そう言っても理解されないことが多い。
去年の年末から年始にかけては、イギリスのコッツウォルズとロンドンに行ってきた。田舎町コッツウォルズでは緑豊かな田園や石造りの村を、毎日ただブラブラ歩いた。ロンドンは何度も来てることもあり、バッキンガム宮殿もビッグベンも前を通っただけ。9ポンドで地下鉄とバス乗り放題のカードを買い、行き当たりばったりでバスに乗り、適当なところで降りては散歩するのを繰り返した。
「それ、楽しいんですか?」と聞かれることも多い。自分には何より楽しいが、そう聞いてくる人には、どう話しても理解してもらえないだろう。海外に限らない。都内での取材でも初めての場所なら、時間が許す限り散歩もしてくる。「この辺、何もないのに?」と怪訝な顔をされつつ。いや、街がありますから。
とはいえ、散歩好きは必ずしも少数派でない気もする。最近テレビで“ぶらり”系の旅番組が増えてるし。大きかったのは、テレ東系の『ローカル路線バス乗り継ぎの旅』だろう。太川陽介と蛭子能収に女性ゲストがバスを乗り継ぎ、3泊4日で目的地を目指す。年3回の放送で、いつの間にか土曜ゴールデンタイムで視聴率10%を越す人気番組に。時間制限がある点では“ぶらり”でもないが、地方を巡るバス旅はやはりどこかのどかだ。
不定期だった徳光和夫の『路線バスで寄り道の旅』(テレ朝系)も4月からレギュラー番組に。フジ系では『ぶらぶらサタデー』で『有吉くんの正直さんぽ』と『タカトシ&温水の小さな旅』を放送。『モヤモヤさまぁ〜ず2』(テレ東系)は深夜で始まり、今や日曜ゴールデンの90分番組。『ぶらり途中下車の旅』(日テレ系)は放送23年目になる。
ところで、「この惑星では人生は旅に例えられる」とBOSSのCMで宇宙人ジョーンズが言ってるが、ぶらり旅な人生というのもあるのだろうか?(続く)
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