映画『さよなら歌舞伎町』に見た女優人生いろいろ(1/5) | Deview-デビュー
2015年3月6日

 もはや取材するアイドルたちは自分より遥か年下だが、たまに大人の思惑を見透かされてるように感じるコがいる。こちらの質問の先を読み、“要するに聞きたいのはこういうことでしょう?”という感じで自分から話を進めたり、こっちが気を使っているつもりが逆に気を使われてたり。

 AKB48時代の大島優子がまさにそんな感じだった。彼女自身がすでに20歳を越えた大人ではありつつ、子役からキャリアがあるだけに、大人の扱いに慣れてる感じというか。

 映画『紙の月』では、宮沢りえが演じる主人公の同僚の銀行員を演じて日本アカデミー賞の優秀助演女優賞などを受賞したが、この役が自分には、取材で大人を見透かしていた彼女と重なった。

 銀行の更衣室で宮沢に「お金さわってるとヘンになりそう」「ダメですかね? 一瞬借りて戻すとか。お客さん、意外と気づかないと思うんですよね」などと無邪気に話し、真面目な宮沢を横領へと駆り立てる。彼女が抱えていた葛藤は知らなかったはずなのに、見透かして煽ったようにも見えて。

 大島は現在、ドラマ『銭の戦争』にもヒロインのポジションで出演中。草なぎ剛が演じる主人公に最初は嫌悪感を抱いていたのが、自分でも気づかぬうちに惹かれていく。その“気づかぬうちに”感がリアルだった。ちょっとずつ目線が柔らかくなったり、微妙なサジ加減が必要な演技だと思うが。

 そんな大島優子の演技を「ヘタ」という声をネットで見掛けるが、不思議で仕方ない。「素晴らしく上手い」とまではいかなくても、普通に観てれば「ヘタ」とは感じないはず。やはり“元AKB48”のアイドルイメージが先入観をもたらすのだろう。それだけの話。

 そして、大島優子といえば前田敦子だが、こちらも思わせぶりな映画が公開中だ。(続く)


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