『問題のあるレストラン』若手女優競演の見応え(4/5) | Deview-デビュー
2015年3月4日

 ネットカフェを泊り歩いていた千佳(松岡茉優)は母親と久しぶりに再会して、“また一緒に暮らせるかも”と秘かに期待した。そんな千佳に、母は「再婚するの」と告げる。妊娠もしていると。千佳は笑顔で「おめでとう」と別れながら、ネットカフェの友人に「私の孤独が完成しました」とメールした。

 この時点で涙を誘ったが、さらにその後。行く場所がなく、一方的に出てきたレストランに戻ると、その日は開店日。まさかの17人の団体客を迎えて厨房はパニックだった。千佳は「よくこれでお店を始めるとか言いましたね? さっさと潰れればいい!」などと悪態をつくが、たま子に「ここは厨房なんです。しゃべる前に料理を作って!」と強く言われ、スタッフに指示を出しながら、静かに料理を作り始めた。

 千佳も本当は料理をしたかったのだろう。それが今、自分の唯一の存在意義だから。だが、料理しながら泣いていた。母親のために泣きながら料理を作っていた日々を思い出して。そこまでした母親が自分から去っていく悲しみに震えて。その悲しみはリアルで、観ていて伝わってきた。目頭が熱くなった。

 松岡茉優は以前から目標を“女版の八嶋智人”としている。石原さとみとか宮崎あおいの名前を挙げるのでなく、「脇役で存在感のある女優になりたい」と。まだ20歳になったばかりだが、目標通りの存在になりつつある。あの3話だけでも、『問題のあるレストラン』は価値あるドラマになったと断言したい。それぐらい松岡は素晴らしかった。

 このドラマにはさらに、高畑充希に二階堂ふみと若手実力派が出演していて。この2人が対決する回もあった。(続く)


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