2015年3月2日
大手飲食会社で、ひどいセクハラを受けた同僚の仕返しをしてクビになった女性が、無職の友人や元同僚を集めてビストロレストランを開店した『問題のあるレストラン』。ドロドロした復讐ものではないが、理不尽な会社と男性社会を見返そうとする気持ち、そして店員たちが人生の挫折をリカバーしようとするのは、まさにリベンジ。
主人公の店長を演じるのは真木よう子。店員は女装好きのゲイ、娘を取られて夫と離婚調停中の元専業主婦、東大を出てプライドは高いが実務能力のない元OL…といった面々。家出中でコミュ障のフリーターは料理の腕は抜群だったり、それぞれ得意なこともある。ポンコツ女(&ゲイ)たちが助け合って店を切り盛りする展開になっている。
『ウロボロス』がバディものなら、『問題のあるレストラン』はチームもの。そんな言葉はないかもしれないが、『ショムニ』や『BOSS』の系譜。ひとクセもふたクセもある落ちこぼれが集まって…という。こういう系も個人的に好きだ。単純に“みんなで協力して頑張る”っていいじゃないですか。
脚本は坂元裕二。かつては一世を風靡した『東京ラブストーリー』など恋愛ものを得意としていたが、近年は『最高の離婚』『Woman』など深みのある作品を書いている。今回は視聴率では1ケタ続きだが。
リベンジものは最初に標的が設定され、徐々に近づくからいいわけで。『銭の戦争』や『ウロボロス』はそうなっている。だが、『問題のあるレストラン』の前半は店員たちに1話1人ずつスポットを当て、それぞれの背景とリベンジの対象を明らかにしていった。店員たちの痛みが残り、リベンジ自体は始める前だから、毎回スカッとしない。後半で立て続けに果たされていくのだろうけど、我慢がいる。とはいえ、この長い導入編も見応えは十分あった。(続く)
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