高畑充希の売れ方が若手っぽくない理由(3/5) | Deview-デビュー
2015年2月3日

 大ヒット上映中、とは映画の謳い文句の定型だが、公開中の『アオハライド』は文字通り、そういうことになってるようだ。昨年12月13日の公開週で興収1位。その後も上位をキープし、1ヵ月後でも7位に入っていた。  自分も主演の本田翼の取材のために試写で観た。1コ、東出昌大が演じる相手役の病死した母親にまつわるトラウマが理解できなかったが(悲しみはわかるが、なぜ「自分は幸せになってはいけない」と思うほど引きずるのか)、そこだけ目をつぶれば、青春映画として申し分ない作品だと思う。

 いつものショートカットに20pのエクステを付けた本田がたまらなくキュートだったし、仲間5人で朝日が昇るのを見るシーンとか、あんな青春を過ごしたかったなと。メインキャストは全員20歳過ぎで高校生を演じて、26歳の東出はさすがに“先生か?”と見える場面もあったが。

 この映画で、本田が演じる双葉の恋敵となるのが、洸(東出)が長崎に転校していた頃に同級生だった唯。演じるのは高畑充希だ。彼を追って東京に来て、「時間を止めないでほしい」という双葉のきれいごとを看破し、静かに「あたしは洸ちゃんがどげんしてもほしい。そのためだったら何だってする」と言うシーンがあった。

 その有無を言わせぬ迫力たるや。覚悟の違いと女子の一途さが怖いと感じた。直後の双葉が打ちのめされてベッドにうつ伏せのシーンにも、説得力をもたらして。前述した小日向文世のようなベテランが、こんな台詞を越えて空気感で見せる演技をするが、23歳の女優では普通できるものではない。

 だが、高畑充希は今までもそういう演技を見せてきた。『アオハライド』のこのシーンを「すごかった」と口にする人は少なくないが、彼女はそれぐらいはできる女優なので。(続く)


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