高畑充希の売れ方が若手っぽくない理由(2/5) | Deview-デビュー
2015年2月2日

 放送中の『ゴーストライター』の脚本を手掛ける橋部敦子氏。ヒューマンドラマの第一人者だが、代表作は草なぎ剛が主演した「僕シリーズ」3部作。2004年放送の第2弾『僕と彼女と彼女の生きる道』が昨年12月に再放送された。平日14時枠で、これを読んでくれてる方はほとんど観てないだろうけど。

 本放送時は、7歳の子役だった美山加恋が草なぎの娘・凛ちゃんを演じて、大人の言うことに「ハイッ!」と答える健気なかわいさが評判になった。そんな中、個人的にすごく焼き付いていたシーンがある。話の本筋とは関係ないところだが。

 この3部作には、草なぎと共に全作に出演した俳優が3人いて、その1人が小日向文世。『僕カノ』では草なぎの演じた銀行員の上司の部長役だった。その部長がバーで、東幹久が演じる部下(草なぎの同僚)と居合わせる場面があった。部長は彼に「お前のこと嫌いだもん。カッコイイから」と平然と言った。

「正確には、カッコよくて仕事もできると上司にかわいがられないからってメガネをかけて、悩んでもいないのに上司に相談を持ち掛けて、“俺ってダメなヤツです”とアピールするところが嫌い」

 小日向の放った言葉にゾッとした。橋部氏の書いた台詞も鋭いが、何食わぬ顔ですべてを見透かされていたことに、突き落とされたようなショックを受けた。自分が部下なわけでもないのに。文章ではうまく伝えられないが、台詞を越えて、どこにでもいそうな中年銀行員が急所を刺してくるのが怖かった。

 小日向は劇団「自由劇場」で19年、舞台役者としてキャリアを積んだ後、映像の世界でも端役から叩き上げてきたベテランだ。そんな俳優にしか醸し出せない空気感がある。でも最近、青春映画で若手女優がそんな佇まいを出しているのを見た。(続く)


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