『ごめんね青春!』で訴えかけられたもの(2/5) | Deview-デビュー
2014年12月19日

 満島ひかりといえば当代きっての演技派女優。演技と思わせない自然な演技で、観る者の涙を誘ってきた。人気シリーズ『ショムニ』の裏番組ながら、視聴率をひっくり返した『Woman』のシングルマザー役とか。

 ところが『ごめんね青春!』の教師役は、敬けんなクリスチャンながら「先生は処女です」と言ったり、暴走ぶりがおかしい。女子生徒を盗撮されたと思って男子に膝蹴りを食らわすのは、出世作『愛のむきだし』のオマージュ? 今まで好きになった男を「長州、天龍、ヒクソン」とポーズ付きで挙げたり。

 男子生徒に告白されたときも、「うれしいけど、その想いには応えられないな」といつものナチュラル演技を見せたかと思えば、自分から「結婚するの」と言い出しながら、急に「誰にも言うなよぉー!」とキレたり。笑える。演技派はコメディもうまいのか。

 そんな見どころもある『ごめんね青春!』だが、視聴率は初回10.1%の後は1ケタ続き。7話では5.7%にまで。宮藤官九郎が自身のラジオ番組で「オレの感覚がみんなからズレてるのか。不安になっちゃう」と漏らしていた。

 擁護論もある。平均視聴率20.6%の『あまちゃん』は特別だったが、もともと宮藤のドラマは『木更津キャッツアイ』が10.1%、『タイガー&ドラゴン』が12.8%など視聴率は高くない。でも、映画化されたり賞を獲ったり。『ごめんね青春!』も録画率は高いとのデータもある。「わかる人にはわかる」タイプの作家性。さっき挙げた長州や天龍の小ネタも、知らない人にはチンプンカンだろうし。

 などという論調にも、宮藤自身が週刊誌の連載で「賛否両論ならともかく、賛と無視の両論じゃ学ぶものがない」と複雑な心境を綴っていた。誉められてもうれしくないと。

 しかしハマってる立場では、本当に誉め言葉しか浮かばない。ひとつ言えるのは『ごめんね青春!』は実は“青春ドラマ”ではない。(続く)


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