『Nのために』榮倉奈々と若手俳優たちの切なさ(4/5) | Deview-デビュー
2014年12月9日

 窪田正孝は、月刊デ☆ビューを見た母親の勧めでスターダストプロモーションのオーディションに応募して、芸能界に入った。

新人時代の19歳の頃に一度、取材したことがある。当時、三池崇史がシリーズ監督を務めた特撮ドラマ『ケータイ捜査官7』に主演していて。

 印象は誠実な好青年。昼ドラ『家族善哉』に出演したとき、クランクアップでボロ泣きし、打ち上げで母親役の竹内都子の顔を見た途端にまた号泣…とのエピソードを覚えている。今は26歳。

『Nのために』では、同い年の榮倉奈々と共に高校時代から演じているが、彼にも違和感はなかった。考えたら、26歳コンビで高校生役を自然に演じていたのは、Wですごい。というか、榮倉もだが、15年を演じながら、そのときその年齢の顔とたたずまいにちゃんとなっている。

 主役を張るというより、いろいろな作品でチョコチョコ見る感じだった窪田。『SUMMER NUDE』で演じた文学青年や、朝ドラ『花子とアン』でのヒロインの幼なじみ役(どっちも片想いをしていた)には“おっ?”と思った。そして、『Nのために』での成瀬役には“おーーーっ!!”となった。

 19歳の頃の泣きエピソードではないが、成瀬も泣くシーンが刺さる。

といっても、号泣するわけではない。死んだ父親の枕元で声を出さずに泣く姿。そして、彼も東京に出ていたが、“いいバイト”と紹介されてオレオレ詐欺の現金受け取りをして逮捕され、身元を引き受けにきた島の駐在の警察官に「迷惑かけてごめん」と声を絞り出す姿。“こんな真面目な子がなぜ…”と悲しくなる。

 それだけ悲しくさせるのは、窪田の演技力も優れているということ。本当に島で育った朴訥な青年に見える。

榮倉と2人に引っ張られて観ていた『Nのために』だが、15年を繋ぐ全容が見えてきて、ドラマ自体にも惹かれていった。加えて、東京での事件に関わる他の役者たちもまた素晴らしくて。(続く)


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