諦めから勝ち獲ったTSCグランプリ(2/5) | Deview-デビュー
2014年11月28日

 自分が月刊デ☆ビュー編集部に籍を置いていた頃、1年で最も力を入れてたのがホリプロTSCのレポートをドキュメントとして掲載することだった。それには理由がある。

 デ☆ビューに異動してTSCを担当することになり、過去の記事を見ていたら、“少女たちの一瞬の夏”という見出しがあって。「一瞬の夏」とは、悲運のボクサーの再起を描いた沢木耕太郎の名作ノンフィクションのタイトル。

 だが、そのデ☆ビューの過去記事は、(知らない先輩に失礼ながら)合宿と決選大会の表面をなぞった程度の内容。沢木を敬愛する自分は、そんな薄い記事に「一瞬の夏」を使ったのが許せない気がした。だったら俺が「一瞬の夏」にふさわしいドキュメントにしてやる! と勝手に盛り上がったわけです。

 最終候補の合宿から決選大会の舞台裏まで密着取材し、目指すのはグランプリを獲るまでのドラマを描き出すこと。

だが、10人前後の候補から誰がグランプリを獲るかは分からない。だから、誰が獲っても書けるように全員に目配りし、コメントを取り、心境と裏話を探る。なかなか大変だった。でも、そこには青春があり、涙があり、感動があった。

 そうやって書き上げたTSCドキュメントを2004年の第29回から3年、毎年6Pを使って掲載した。

今は女優業から撤退した佐藤千亜妃がグランプリを獲った第29回には、「偶然の滑走路の向こうに」などとドキュメントっぽいタイトルも付けて。カッコイイつもりだったが、改めて見るとイマイチ。

ちなみに、佐藤は当時からアーティスト志望で、現在はインディーズバンドきのこ帝国のVo&Guとして活動している。

 そんなわけで、TSCには個人的に思い入れがある。近年はライターとして関わらせてもらってるが、今は2Pのレポート記事に戻り、密着取材もしなくなった。それでも今年は合宿にも一度、取材に入った。(続く)


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