映画『るろうに剣心』のキャスティングの成功と問題点(4/6) | Deview-デビュー
2014年10月29日

 「京都大火編」「伝説の最期編」の2部作で公開された映画『るろうに剣心』の続編。『SP』『SPEC』などこうした方式はたまにあるが、決着がつくのは当然後編で、前編は同じ料金で観るのが微妙に思うときもある。

 だが『るろ剣』の「京都大火編」は、確かに良いところで“続く”になったが、1本のエンターテイメントとして楽しめた。原作が丁寧に尊重され、剣心と敵方の特攻部隊“十本刀”の瀬田宗次郎との対決なども、迫力たっぷりに描かれていて。

 後編の「伝説の最期編」にはさらに期待…と思って観たら、個人的には逆に物足りなかった。原作は相当に端折られていて。必ずしも原作通りにするのが正解ではないが、ストーリーは中途半端な継ぎはぎ感があった。

 原作で盛り上がった志々雄真実のアジトでの十本刀三強との決戦、剣心対宗次郎(再戦)、斎藤一対“心眼”の宇水、相楽左之助対“破戒僧”安慈もいちおう映画にあったが、背景の薄いあっさりした戦いに。特に宇水は原作での強さは微塵もなく、一撃で敗れた。

 もちろん原作通り描いていたら3部作以上にしなくてはならないが、逆に原作以上に描き込まれ冗長に感じたのが、剣心が15年ぶりに再会した師匠・比古清十郎に、奥義の教えを乞う数日間のシーンだ。

 比古を演じたのは福山雅治。

リアルで剣心役の佐藤健の事務所の先輩でもあり、原作の比古ほどではないが体格に恵まれ、イメージ的にはハマる。

だが比古は、原作者の和月伸宏が「ジョーカー的なキャラで扱いにくい」としていた。何しろ主人公の剣心より遥かに強いのだ。棒切れを剣代わりにして、剣心を軽くあしらうほどに。志々雄一派との争いも、比古が出ていけば済む気がしてくるから。

 映画でも彼のシーンを増やすぐらいなら、もっと描いてほしい場面はたくさんあったが、やはり福山が演じるならいっぱい出しておこうと?(続く)


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