リアル『ガラスの仮面』のような朝ドラ新ヒロイン(4/5) | Deview-デビュー
2014年10月3日

人狼ゲームはもともとヨーロッパの古典的な遊びだそうだが、フジテレビとTBSでこれをモチーフにした番組も放送され、カードゲームとして去年から流行った。iPhoneアプリにもなっている。

 ルールは複雑。かいつまんで言うと、村人の中に人狼(人に化けた狼)たちが潜んでいて、会話などの中で誰が人狼か探していく。毎日人狼だと思う人を1人ずつ殺し、夜には人狼が村人を1人ずつ殺す。騙し合って残るのは村人か、人狼か…。

 このゲームをリアルにやらされ、殺したり殺される高校生たちを描いた映画が、公開中の『人狼ゲーム ビーストサイド』。土屋太鳳が演じた主人公・由佳は人狼カードを引いていた。平然と人を包丁でめった刺しにしたり、エグいシーンが少なくない。朝ドラのヒロインがいいのか? と思うほど。しかし、彼女はそんな役もまっとうしていた。

 『鈴木先生』の頃にインタビューした同業ライターによると、彼女は話したいことをノートにビッシリ書いてきたとか。真面目な性格なのだろう。練り込んだ演技も、役作りを相当して臨んでいるように見えたが、取材で話を聞くと実際そうだった。

「私には女優としての基礎も技術もないと思っているので、役として生きることが目標。環境や時代背景を調べたり、作品のテーマを考えて、自分なりに役作りをしてきました」

 だが、『人狼ゲーム』では違っていた。

「今回はそういうのはすべて取り除きました。“全部むき出す”という演出で、魂を削っていかないと、この役は抱え切れなくて。場面を現実として、本能で動くようにしました」

 確かに、生きるか死ぬかの極限状態の緊迫感や赤裸々な本音の叫びは、頭で考えて出せるものではないだろう。「あの辛さは自分が本当に苦しまないと伝わらない。自分を苦しめてギリギリの状態で演じました」とも言った彼女。演技という行為の本質が見える発言が続いた。(続く)


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