能年玲奈の『あまちゃん』後の売り出し戦略(5/5) | Deview-デビュー
2014年9月19日

 説明するまでもないかもしれないが、『ホットロード』は80年代に『別冊マーガレット』で連載された紡木たくのマンガが原作。当時の10代を熱狂させ、単行本は全4巻で700万部の売り上げ。母子家庭の14才の少女・和希と暴走族リーダー・春山の純愛物語。

 個人的には原作は未読で、特に思い入れはない。映画は大ヒット上映中で「涙が止まらない」といった感想が多いようなので、あえて少数意見として書かせてもらうと、自分はこの映画に全然乗れなかった。

 和希と春山の恋、和希と母親の関係を軸に、暴走族の抗争なども絡めて話が進むが、何か「こんなことがあって」「あんなことがあって」とエピソードが並べられただけな感じ。オチのない話を延々と見せられてるというか。三木孝浩監督の『ソラニン』や『陽だまりの彼女』は好きだったけど。

 能年は21歳。和希が中学生という設定は自分の中で最初から外して観た。それでも、CMに出てきた春山の和希に対するセリフ「すげえきれいなんだよ、中身が」に納得の、純粋な透明感は能年から感じた。やはり彼女が超逸材なのは間違いない。

 インタビューでは小声でボソボソ語っていたが、話した内容自体は芯の強いもの。「私ってたぶんポーンとした明るいイメージだと思いますけど、今回は全然違う役。それでも私だと認識してもらえる演技をしたかった。私がこの役をやる意味が出ないとダメだと思いました」などと。難しいシーンに「ヘニャッとなりそうなときもあった」そうだが、何とか踏ん張ってブレないようにやったとも。

 12月公開の次作『海月姫』のクラゲおたくのイラストレーター役のほうが、本人に合ってそう。でも、このまま映画中心でドラマは控えるのだろうか? 基本、露出を抑えて。何にせよ、『あまちゃん』に出ていたことが忘れられたら、彼女の勝ちだ。(終わり)


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