2014年7月30日
以前、ホラー映画に美少女アイドルがよく出演する意味を、駒沢女子大学教授で心理学者の富田隆氏に聞いたことがある。
富田教授によれば、心理学的にホラーを観て沸き上がる興奮は性的領域に近いのだとか。
「性的な抑圧の強い人も、恐怖の興奮がその置き換えになってクセになる。それで出演者には美少女が好まれるのです」
要は、きれいな女の子を見てやらしいことを考えちゃうのと、女の子が怖がる映画を見て興奮するのは同じようなものなのだと。
「観る人は女の子のギャップに惹かれるんです。おとなしい美少女が追い詰められて、無我夢中で叫ぶ。この意外性がたまらないわけです」
確かに、クールな前田敦子が我を忘れて絶叫する姿などゾクゾクしそう。怖そうで観てないから、そんなシーンがあるのか知らないけど。
さらにホラー人気を支える心理は「日常性が飛び、めまいの状態を遊ぶ感覚」「恐怖を乗り越えて不安を克服する疑似体験」「弱者の立場で“恨み”を描き良心に訴える構図」といった要因があるそうだ。
何にせよ、たくさんの新人アイドルがホラーに出演した中で、今も一線で活躍する女優たちは、若手時代から良い仕事をしている。
たとえば、10代の頃の菅野美穂の『エコエコアザラク』。主人公の黒魔術師・黒井ミサの友人役だったが、実は彼女も魔女でミサと戦いを繰り広げるという。その狂気じみた迫力はミサを完全に食っていた。
前述した『リング』の竹内結子も、冒頭で死んでしまう役ながら、恐怖に襲われ硬直していく姿は大きなインパクトを残した。
女優を目指してる人も、ホラーでデビューということはあり得る。怖いのが好きでも嫌いでも。台本にはただ“絶叫”とだけ書いてあることも多いが、その一瞬の絶叫をどう見せるかが、意外と将来につながる。(終わり)
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