ジブリ映画で声優を務めた若手女優の取り組み(3/5) | Deview-デビュー
2014年7月18日

「映画は時間のないところで作りますから、声優さんの器用さに頼るんです。でも、どこかで欲求不満になるときがある。存在感のなさみたいなところにね。特に女の子はみんな『私かわいいでしょ?』みたいな声を出す。あれがたまらんのですよ。何とかしたいといつも思っている」

 『ジブリの教科書3 となりのトトロ』に収録された宮崎駿監督と糸井重里の対談で、宮崎監督はこう語っていた。一般の人がアニメ声優と聞いて思い浮かべる“萌え声”への違和感。もちろん、『魔女の宅急便』でキキ役を高山みなみに託したように、すべての声優がそうだとは思ってないにせよ。

 声質だけでなく、アニメでの声優の芝居には、演技力と別に独特の作法がある。日常生活でどんなに驚いても「ウギャー!」と叫ぶ人はいない。どんなに高飛車な人でも「フハハハハハ」と高笑いはしない。デーモン小暮閣下ぐらいだ。

 それは極端な例にせよ、アニメでの表現では上げるにも下げるにも、日常会話の1.5倍〜2倍増しのテンションで演じるのだと、ベテラン声優は話す。だから、「ウギャー!」も「フハハハハハ」も浮かない。良い悪いでなく、それが一般的なアニメの演じ方だ。

 だが、ジブリ映画はアニメであっても、それを良しとしなかった。宮崎監督を始め、たぶん実写映画を作る感覚に近いのでは。人物や風景のビデオカメラを回したかのような緻密な描き方も含めて。そこで声優にアニメ的表現をしない俳優や女優を使うのは、自然ななりゆきだろう。

 最新作『思い出のマーニー』は19日から公開される。監督は『借りぐらしのアリエッティ』の米林宏昌氏。Wヒロインの声は高月彩良に有村架純と、やはり声優経験のない若手女優を起用した。(続く)


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