2014年7月17日
ジブリ映画は1994年の『平成狸合戦ぽんぽこ』から、主要キャストに俳優や女優を起用し、普段TVアニメなどに出ている本職の声優を使ってない。
『ハウルの動く城』では木村拓哉、『崖の上のポニョ』では山口智子、『コクリコ坂から』では長澤まさみと岡田准一が主役を務めている。
『風立ちぬ』で主人公の青年技師・堀越二郎を演じたのは、役者ですらない庵野秀明。
『新世紀エヴァンゲリオン』総監督の有名人だが、あくまでスタッフ。『風の谷のナウシカ』で巨神兵の原画を担当し、宮崎駿監督は師匠に当たる。
庵野の起用について、宮崎監督は「二郎はよくしゃべる人間ではない。思い入れたっぷりに演技されるより、ボソッとしゃべってくれたほうがいい」と説明していた(対談本『半藤一利と宮崎駿の腰抜け愛国談義』より)。演技力よりも声の存在感を重視したと。
以前は俳優や女優もキャスティングされつつ、主役は声優が務めていた。『天空の城ラピュタ』では田中真弓(『ONE PIECE』のルフィ)、『魔女の宅急便』では高山みなみ(『名探偵コナン』のコナン)。
『となりのトトロ』でもサツキは日高のり子(『タッチ』の浅倉南)、メイは坂本千夏(『つる姫じゃ〜っ!』のつる姫)が演じていた。でも、2人の父親役は糸井重里。コピーライターからTV番組の司会、作詞もこなした有名文化人ながら、演技は素人。だが…。
「声優さんだと子供を全面的に理解している普通の父親になりすぎちゃう。『トトロ』のお父さんは子供と友達でいられて、いわゆるお父さん的なイメージとは違う」
宮崎監督はそう語っていた。25年後の『風立ちぬ』の庵野と同じく、声の存在感を第一に。
上記コメントは『ジブリの教科書3 となりのトトロ』からの引用だが、この本の中で本職の声優を使わない理由もうかがえる。(続く)
戻る