乃木坂46という美しい世界(5/5) | Deview-デビュー
2014年6月3日

 4月に発売された乃木坂46の8thシングル「気づいたら片想い」は、初週だけで45.8万枚を売り上げた。

これは3月に相次いで発売されたSKE48、NMB48、HKT48の最新シングルを上回る数字。AKB48の公式ライバルとして生まれて3年。ついに姉妹グループを上回るところまで来た。

 楽曲的にも乃木坂46は、AKB48と一線を画している。どこかノスタルジックなメロディと、さわやかなサウンド。より正統派な感じ。そこは発売元のソニーレコードのカラーが出ていると、スタッフが言う。

旧CBSソニー時代、70年代の山口百恵、80年代の松田聖子とアイドルの保守本流を歩んできたレーベルの遺伝子。

 中でも神曲と呼ばれるのが、5thシングル「君の名は希望」だ。

歌の主人公は、学校で“透明人間”と呼ばれている孤独な男子。グラウンドで転がってきたボールを無視してたら、自分が拾うまでこっちを見て待っていた女の子に恋をして…という。

 以前テレビで、「握手会には行かない」というアイドルヲタの話を聞いたことがある。

「醜い自分の姿を好きなアイドルの瞳の中に入れたくないから」と。その気持ちは少しわかる。でも、アイドルのほうからそんな自分に微笑み掛けてくれたら…。

 そんなことが実際に起こるのが、美形メンバーたちがやさしく迎えてくれる乃木坂46の握手会なのだ。そして「君の名は希望」は、彼女たちを象徴するバラード。“透明人間”=自分、“希望”の彼女=乃木坂46と重ねて聴けば、涙が出てくる。

 乃木坂46は7月にニューシングルを出す。いずれ“ライバル”のAKB48と100万枚レベルでの戦いに挑むのだろうか。ファンは意外と「このままでいい」と思っているのでは。競い合うより、乃木坂46だけの美しい世界を大事にしてほしいと。(終わり)


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