2014年5月27日
全12話の『なぞの転校生』。D8世界の王妃が暗殺者に刺されて息絶える前の11話で、広一とみどりはようやく彼らが何者かを知らされ、D8が放射能兵器で滅びた歴史を聞く。アスカもまた放射能を浴びて、余命少ないことも。
とてつもない話に呆然とした帰りの夜道、広一はみどりを後ろから抱きしめ「やっぱりみどりのことが好きだ」とつぶやく。「何で今なの?」とみどり。今言わなければ、この世界も明日は分からない…と思ったのか。
最終回では、広一のSF研究会が『なぞの転校生』という映画を公園で撮っていた。みどりたちも出演。役のセリフとして、アンドロイドに恋したみどりは典夫に「あなたが気になって仕方ないの」と告白した。「僕も忘れられなかった…と答えるようにしかプログラミングされてないのです」と返す典夫に、「私だってそんなふうに言われたら、こんな気持になるようにしかできてません! 人間だって嘘ぐらいつくわ」と涙ながらに寄り添うみどり。
広一とアスカのシーンもあった。「我らの世界もかつてはこのように美しかった。この世界の人類も消えることもある。だからこそ大切にしてほしい。この星を。仲間を。友達を」。そんなセリフを言うアスカを、広一は泣きながら抱きしめた。
失ったら取り戻せない、青春と世界の美しさ。このドラマのテーマが、劇中劇に凝縮されていて。その後、典夫とアスカは人知れず転校して…結末はBSでの再放送で確認してください。
ところで広一たちのいるD12が一見、我々視聴者のいる世界のようだが、実は違う。平行世界はそれぞれ微妙に相違があり、典夫が弾いたショパンの「雨だれ」をみどりも誰も知らなかった。D12にショパンはいない。福島第一原発の事故が収束してないのに、原発再稼働に走る昨今。放射能で滅びたD8のほうが、この世界の未来だった気もする。
(終わり)
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