主役よりも良いポジションの女優(3/5) | Deview-デビュー
2014年4月11日

 吹石一恵は1982年生まれの31歳。奈良出身で、幼少から子役として関西中心に活動していた。「魔女ランド倶楽部」というアイドルユニットにも入っていたそうで、最近盛況な地方アイドルの先駆けだったかも。

 個人的には一度だけ取材したことがある。メジャー進出した15歳の頃で、もう随分昔だ。当時大人気の恋愛シミュレーションゲーム『ときめきメモリアル』の映画化の際に、ヒロインの藤崎詩織役に彼女が抜擢されて。

 『ときメモ』も今や無数にある恋愛シミュレーションゲームの先駆けで、藤崎詩織はバーチャルアイドルのはしり。2次元キャラクターとしてCDデビューし、オリコンTOP10にも入っている。ライブも行い、スクリーンに映し出されたキャラクターの映像にファンが声援を送る姿は当時、世間から奇異に受け取られたが、近年では初音ミクの3DCGによるライブが海外でも開かれている。

 ただ、『ときメモ』映画版は、ゲームとまったく別の内容だった。映画でのヒロインは4人の女子高生(中山エミリ、榎本加奈子、矢田亜希子、山口紗弥加)で、吹石演じる藤崎詩織はゲームと違い、主人公の男子が憧れる新人アイドルの設定で脇役だった。

 吹石はこの映画の主題歌「セピアの夏のフォトグラフ」でCDデビューしたが、この歌がまあ何とも。たぶん今なら機械で何とかできたのだろうけど、『ドラえもん』のジャイアンが歌ってるようだった。CDを出したのはこの1枚きり。

 ともあれ、取材した15歳の彼女は、声は低いがテンションはやたら高く、自ら「私はグイグイ行くので!」などと言っていた。ゲームの藤崎詩織のイメージとは全然違うなと。それだけ彼女の売り出し優先だったのだろう。“ブレイク候補”として必ず名前が挙がった。

 あれから17年、彼女は結局“ブレイク”したのだろうか?
(続く)


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