2014年1月16日
AKB48が2009年に「涙サプライズ!」をリリースした頃、前田敦子、高橋みなみ、小嶋陽菜、渡辺麻友、柏木由紀、宮崎美穂というメンバーで取材させてもらった。しばらく後には、こんな顔ぶれを雑誌撮影で揃えてもらうことは難しくなったが、「涙サプライズ!」はオリコン2位。まだ大ブレイクには至ってない頃で、スケジュールにも余裕があったのだろう。
当時恵比寿にあったレッスンスタジオでメイク、ガーデンプレイス裏の公園などで撮影したのだが、お昼どきでメイク待ちの間に弁当を食べてもらった。ところが、前田敦子だけはロケに自分の分の弁当を抱えてきて、撮影の合間に公園のベンチで1人で食べていたのだ。
たまたまメイクの間に食べるタイミングがなかったのかもしれない。けど、小さくはない弁当をわざわざ持ってきて、ロケの合間に現場で食べるタレントは初めて見た。そのときは“変わったことをするな”ぐらいに思ったが、今考えると、当時から彼女は“変”だったのが現れていたのではと。
前田敦子を散々“変”呼ばわりしたが、もちろん悪い意味ではない。女優として得がたい個性だ。『もらとりあむタマ子』のグータラなタマ子が妙に面白味のある人物として成立したのも、前田自身の持つどこか“変”な要素とシンクロしたから。
以前、彼女について「AKB48ではセンターだったが女優としては脇役タイプ」と評させてもらった。それは少し修正したい。正統派女優ではなく変わり種タイプ、ということで。AKB48時代とイメージを切り離すべき、との思いは変わらないが、主役でも脇でも、ありきたりでない役をどんどんやって欲しい。“変”な前田敦子の女優としての将来が、すごく楽しみになってきた。
(終わり)
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