『安堂ロイド』に欠けているもの(5/5) | Deview-デビュー
2013年11月25日

 中2的立場から言わせてもらうと、『仮面ライダー』でも『ウルトラマン』でも、ヒーローが強いから観るわけでなく、毎週入れ替わり立ち替わり出てくる怪人、怪獣にワクワクするのだ。次はどんな敵が?と。

 そういう意味では『SPEC』も、予知能力を持つ冷泉、人の心を読むサトリ、もちろん時を止めるニノマエも、SPECホルダー1人1人の造形がしっかり描かれていたから、当麻や瀬文との攻防も盛り上がった。

 『安堂ロイド』でも毎回100年後からアンドロイド=暗殺者がやって来て、ロイドと攻防を繰り広げる構図は同じだが、そのアンドロイドたちがインパクトに欠ける。大事な1話で沫嶋を殺したラプラスを演じてたのは、福田彩乃だったし。いや、福田が良くないということではない。ものまねは面白いし、お笑い系ではかなりかわいいし。

 でも、木村拓哉を殺す役には小粒。たとえば、あれが小雪だったら。長身でクールビューティーな彼女が冷酷に命を狙ってきたら…ゾクゾクしません? 存在感があれば有名どころでなくてもいいけど。あと、ラプラスが沫嶋の携帯を遠隔操作して、麻陽に沫嶋の声でニセ電話をかけるシーンもあったが、ものまねタレントの福田がやるのはウケ狙い?

 ロイドとの攻防も毎回、単に殴る・蹴るの肉弾戦。空に吹っ飛んだり、アンドロイドゆえ手がもげたりもするが、駆け引きやヒネリがほとんどなく、迫力にも欠けて。

 植田プロデューサーは「木村拓哉に影のあるヒーローを演じてもらいたかった」「映画『レオン』のようなキャラクターでラブストーリーが作れないか構想を練っていた」などと発言している。言われればそう見えなくもないが、まず『ターミネーター』でも何でもいいから、SFとして真っ当に仕上げて欲しい。中2的興奮が高まるドラマであって欲しい。木村拓哉の評価はそれからだ。
(終わり)


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