2013年11月22日
1話で期待を持たせた『安堂ロイド』だが、2話、3話…と思ったように高まらない。逆に、1話では目をつぶったシミのようなものが、どんどん広がっていく。SFに限らず物語はすべて虚構。だからこそ、ウソの周りをリアルに固めないと入り込めない。たとえば大ヒットしたマンガ『デスノート』。名前を書くと相手が死ぬノートなど荒唐無稽な話だ。だが、そんなノートがあるという設定のうえでは、夜神月とLやニアの攻防はスキがなくリアルで、多くの読者を引き込んだ。
『SPEC』もそう。人に憑依する、心を読む…荒唐無稽の連続だったが、そういうSPECがある前提で、天才・当麻が策を巡らせ戦った。時を止めるニノマエに対して猛毒入りの人工雪を降らせ、時が止まってる間に動く彼だけに毒を回らせる作戦など見事で。
『安堂ロイド』の脚本も『SPEC』と同じ西荻弓絵だが、スッキリしない。たとえば1話。沫嶋は自分が飛行機事故で死ぬことを知っていて、パスポートをシュレッダーにかけて自ら搭乗できない状態に。空港に現れた100年後のアンドロイドは異空間を作り、その中で沫嶋を射殺した。でも結局、彼は搭乗した飛行機の墜落事故で命を落としたことに。
射殺してパスポートのない人間を飛行機に乗せて? 何か高度に科学的なカラクリがある設定かもしれないが、辻つまが見えない。そんなことが随所に出たまま、話が進んでいく。伊集院光がラジオで「ツッコミどころをたくさん作って視聴率を上げようとしてるのかも」と言ってたが、本当に“わざとか?”と思うほどの粗っぽさだ。
木村拓哉がどうこう以前の話。『ターミネーター』だから、SFだから悪いのでもなく、SFの皮だけで醍醐味が感じられないことが問題だと思う。『安堂ロイド』が面白味に欠ける一番の原因は・・・。
(続く)
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