2013年11月18日
「あなたを一生食べさせます!」という決死のプロポーズを一度はお断りされため以子だが、あれこれあって結局は悠太郎から「あなたを一生食べさせる権利を僕にください」と逆にプロポーズされる。そして、彼の生家の大阪へと嫁いだ。『ごちそうさん』の本筋はこれから。27歳の杏がいつまでも三つ編みの女学生役をやるわけではない。
だが、個人的にはもう『ごちそうさん』は終わった感がある。ベタな少女マンガ的で、かつ大正らしく清廉な2人の恋物語が良かったので、ゴールしてしまったら…。
案の定、大阪編は悠太郎の姉で“いけず(嫁ぎ先から出戻り)”の和枝(キムラ緑子)のめ以子イビリから始まった。「嫁とは認めない」立場で、せっかくめ以子が作った料理をひっくり返したり。これはこれで嫁と姑の変形ベタで、いずれベタに認め合うのだろう。主婦層には共感を呼ぶのか。でも個人的に見たいベタは、こういうのじゃなんだよな。『ごちそうさん』は本筋に入る前が面白かったドラマ。そう記憶されそうな気がしている。
ただ、変わらないのは劇中の料理がおいしそうなこと。フードコーディネーターを飯島奈美氏が務めている。以前ドラマ『ゴーイング マイホーム』について書いたときも触れたが、映画『かもめ食堂』や『めがね』でも腕をふるった人で、目玉焼きとか焼きじゃけとか何でもないメニューが実にそそられる。
知り合いの主婦ライターは『ごちそうさん』を観て「おいしいぬか漬けが食べたくなって、デパートに行ってしまった」と話していた。NHKのビジネス的には、レシピ本を出してひと儲け…という狙いもあるのだろう。
『あまちゃん』のようにブームを起こしてはいないが、視聴率は劣らない『ごちそうさん』。やはり料理が隠し味? おいしいものが嫌いな国民はいないし、新たな料理がどんどん世に出た大正モダンが、やはり効いている。
(終わり)
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