2013年8月9日
『Woman』で満島ひかりが演じる青柳小春は、シングルマザーとしてパートを掛け持ちし、ギリギリの生活で2人の子供を育てている。それだけでも大変な話だ。
20年間断絶していた母親との関係は少し良くなる気配も見えたが、小春の夫が死んだのは母の娘(父違いの妹)が原因だったことも明かされた。小春が知ったらどうなるのか。
何より、小春は白血病と判明。もうやめてくれ。人が死ぬ結末は嫌いだ。2人の子供を残して、小春は逝ってしまうのか。そんなの見たくない。本当にどうすればいいんだ、このドラマ。『ショムニ』で江角マキコのタンカを見てるほうが気は楽だが…また観てしまうんだろうな、『Woman』。7月24日放送分では視聴率も、重い『Woman』が13.9%、軽い『ショムニ』が9.9%と逆転した。
そこまで引き込む満島のすごさをもう一つ挙げると、演じているときれいに見えない。女優はキラキラとオーラを放つもの。それだけに冴えない設定の役だと違和感が出る。『私が恋愛できない理由』で香里奈、吉高由里子、大島優子が主演したことがあったが、あの美女たちが恋愛できないと言われても。
満島も普段は美しい。なのに『Woman』の小春は、パートで働く生活に疲弊し切った女性にしか見えない。役と同化するとオーラすら消せるのか。自分がきれいに見えるより役らしさ優先という(当たり前のことだが)、演技者意識もあってのことだろう。
最後に脚本の坂元裕二について触れたい。一世風靡した『東京ラブストーリー』で名を轟かし、恋愛モノが得意なイメージがあった。だが、07年の『わたしたちの教科書』辺りから社会的テーマに切り込み、『Mother』『Woman』に繋げている。最近だと『最高の離婚』も彼の作品だ。 トレンディな若者ドラマの第一人者から今、大人向けの作風で押している。観るほうも大人として、辛くても小春の現実に向き合わないといけないのかもしれない。
(終わり)
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