さわやかな櫻井翔が見せる狂気(3/5) | Deview-デビュー
2013年5月27日

 ドラマ『家族ゲーム』で櫻井翔が演じる天才家庭教師こと吉本荒野。さわやかな外見と裏腹に、教え子の沼田茂之の家の庭で朝から1人、満面の笑顔でキレキレのラジオ体操をするのから、ある意味怖い。万事そんな調子で、キラキラ微笑みながら常軌を逸した行動に出る。優等生の不気味さ。

 思い出したのが、4年前のドラマ『ザ・クイズショウ』。櫻井はクイズ番組のMC役。軽妙に司会進行しながら、解答者の触れられたくない過去にジワジワ迫り、冷たい怖さを感じた。自身のイメージを逆手に取った好演。

 今回はさらにバージョンアップ。血まみれの古い人形を持ち歩いて「俺は人を殺したことがあるんだ」と、これまたさわやかにうそぶいたり。外見は絵に描いた好青年なのに、得体の知れない吉本に引き込まれる。

 彼のやることは本当にエグい。部屋に引きこもる茂之に対し、「1週間以内に学校に行けたらボーナス10万円」と父親と賭けをして、逆に茂之の部屋にパスワードロック式のドアを取り付けて閉じこめる。開けられるのは暗証番号を知る吉本だけ。

 食事も取れず、トイレにも行けない兵糧攻め。母親は「開けてください」と懇願するが、警察に電話しようとして吉本に「ご近所で噂になりますよ」と言われると、手を止める。なんて親だ…という問題も浮き彫りに。

 だからこそ“家族”ゲーム。父親の不倫や名門高に通う兄の裏の顔も吉本は暴く。この構造は『家政婦のミタ』に似てると言われた。問題を内包する家庭を外から入り込んだ人間がメチャクチャしながら…という。パクリでも何でも面白ければ構わないが、回が進むにつれ『ミタ』と逆方向になってきた。
(続く)


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