2013年3月25日
『まほろ駅前番外地』の主人公は、便利屋を営む多田(瑛太)と、その事務所に転がり込み何となく一緒に働いてる行天(松田龍作)。生真面目な常識人の多田に対し、行天はチャランポランで敬語も使えないが、どこか憎めない。2人のくだらないやり取りがまずおかしい。行天が「ギバちゃん(柳葉敏郎)って劇団ひまわり出身だって知ってた?」とか、妙なトリビアが入ったり。
ストーリー的には、特に2話が印象深い。レーザーディスクのカラオケビデオに出ていた女性に恋したという男性から、「この人に会いたい。探して欲しい」と依頼される話。
通信カラオケ世代の皆さんは、レーザーディスクのカラオケなど知らないだろうけど、昔のカラオケは曲ごとにイメージ映像が流れたんです。無名モデルを使った安っぽいPVみたいなのが。『まほろ』の大根仁監督も、このカラオケ映像作りから仕事を始めている。
2話では古いスナックにレーザーディスクのカラオケがあった設定で、行天が依頼人に「これ作られたのは20年以上前だから、今はもうオバサンだよ」と言うと、依頼人は「黒木瞳は51歳だ!」と切り返す。
で、2人はテレビ番組の取材を装い、インチキしながらビデオの女性を突き止める。彼女は年齢を重ねていただけでなく、モデルからAV女優になり覚醒剤で逮捕され…と転落の人生を過ごしていた。けど、依頼人が2人の指定した店に会いに行くと、そこにはビデオのままの美女が微笑んで迎えて…。
実は、それは彼女の娘。同じ頃、本人は便利屋で煙草の煙をくゆらせながら、「こんな私が会うわけにはいかないからね」と自嘲気味に話す。行天は「でも、娘を1人ちゃんと育てたじゃない。いい人生じゃない?」と返す。
けど、毎回こうしたイイ話ばかりでもない。
(続く)

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