2013年1月11日
ボーカロイドの初音ミクやAKB48に加入した江口愛美のようなバーチャルアイドルのはしりも、まだネットもなかった23年前、伊集院光の『オールナイトニッポン』から誕生した。その名も、芳賀ゆい。
元々は「(映画監督の)大島渚という名前はアイドルに付けるべき」とのトークに端を発し、「はがゆい(歯痒い)もアイドルの名前になる」というリスナーのハガキから、架空のアイドルとして芳賀ゆいの企画に広がったもの。
ポニーテールで少しタレ目。神戸生まれの国分寺育ち。実家はパン屋で「ミスポニーテールコンテスト」(これも架空)に優勝して芸能界へ…などと細かいプロフィールが作られ、“本人”が番組にも出演。「星空のパスポート」という曲(奥田民生が作詞)で歌手デビューも果たし、オリコン51位になっている。
ジャケット写真は目の部分が隠され、握手会はカーテンから手だけ出して実施。目は一切写ってない写真集も2週間限定で発売された。生身の芳賀ゆいはCGを使ったわけでなく、歌担当、グラビア担当、トーク担当…など計57人ものタレントがその都度、部分ごとに役割を担ったという。
活動期間は3ヵ月。イベントで台湾への留学と休業が発表されて。日本を発つ彼女が乗っている(とされた)飛行機の見送りには、30人ほどのファンが集まった。すでに伊集院の『オールナイト』は終了して番組で放送されるわけでもなく、何より実際その飛行機に芳賀ゆいは乗ってもいないのに。
こうした芳賀ゆい現象は「覆面アイドル」などとして、他メディアにも取り上げられた。
(続く)

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