沢尻エリカ主演『ヘルタースケルター』のリアル(3/5) | Deview-デビュー
2012年8月2日

 映画『ヘルタースケルター』の蜷川実花監督は、りりこ役への沢尻エリカの起用を「女の子全員がひれ伏すぐらい、圧倒的に顔がかわいいことが重要だった」と話している。

個人の好みとかを超越して、誰もが美しいと思えないと成立しない役。全身整形した設定のスタイルも含めて。オールヌードのシーンもあったが、その点、沢尻は完璧だった。

 同時に、彼女が持つスキャンダラスなイメージも、この役にリアリティを与えた。映画公開前も“体調不良”で宣伝活動や舞台挨拶をキャンセルして休業した一方、自宅前で直撃した週刊誌記者に「うるせーな!」と罵声を浴びせたとか。彼女自身、どこか壊れてるような。薬物絡みの報道もあったが…。

 映画が公開されてから、撮影現場の沢尻に密着したドキュメンタリーがフジテレビで放送された。最初は共演者となごやかに話してたり、自分は朝食しか取らずダイエットしてるのに、スタッフたちに手作りサンドイッチを差し入れたところが流れ、イメージアップ用の番組かと思った。

 ところが、りりこが幻覚を見て錯乱に陥るシーンの撮影中、沢尻はいきなり、1人で現場を飛び出してタクシーで帰ってしまう。

マネージャーが「みんな待ってるんだから」と懸命に止めるのも聞かずに。フードにサングラスで顔を隠したその姿は、沢尻本人なのか役のりりこなのか分からなかった。

 結局、1時間半後に彼女は現場に戻る。TVカメラの前で本人が語ったこのときの心理は「(スタッフとの)感情のスレ違いで傷ついた」というもの。

良かれと思ってるのは分かるが、私のご機嫌だけ取って進めてくれるな。もっとぶつかって欲しい。自分の演技への想いをはぐらかされた気持ちになる…などなど。

そうした発言の中で、ハッとさせられる言葉もあった。
(続く)


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