2012年8月1日
沢尻エリカの5年ぶりの映画『ヘルタースケルター』がヒットしている。演じたのは、全身整形で究極の美貌を手に入れて大スターになったものの、体に手術の綻びが現れ、精神を蝕まれていく主人公。
公開前、彼女は「役にのめり込み過ぎて心身のバランスを崩して体調不良」と、PR活動をすべてキャンセルして休業した。
この「役にのめり込み過ぎて」の話で思い出した役者がいる。『ダークナイト』でバットマンの宿敵ジョーカーを演じたヒース・レジャーだ。
この映画は衝撃的だった。正義の味方が悪者をやっつける話かと思って観たら、そんな単純ではなく、シリアスで暗い。
ジョーカーは味方も捨て駒のように殺す冷酷な男で、バットマンが正体を明かさなければ毎日人を殺し続けると宣告。さらにバットマンを、自分にとって大事な人か街の大事な人か、どちらか1人しか助けられない状況に追い込んだり、2台の船に「もう一方の船を爆破するスイッチを押さなければ、2台とも沈める」と選択を迫ったり。人間の本性をむき出しにさせる犯罪を、ゲームのように行う残虐な狂気。
そんな役で鬼気迫る演技を見せたレジャーだが、映画の完成を待たず急性薬物摂取で死亡した。当時28歳。死後にアカデミー賞の助演男優賞などを総ナメに。ジョーカーの役作りに没頭し、生前のインタビューで「体はクタクタなのに精神はギンギン。ひと晩で2時間ぐらいしか眠れない」と睡眠薬の服用を広言していた。
直接の死因は風邪薬や痛み止めとの併用摂取による中毒だったようだったが、ジョーカーの狂気を観るにつけ、役に入り込み過ぎて魂を持って行かれた…と思えてしまう。その点、『ヘルタースケルター』の沢尻エリカはどうだったか?
(続く)

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