大震災から1年、東北アイドルの想い(5/5) | Deview-デビュー
2012年3月27日

  ドロシーリトルハッピーのライブでの目標は「来てくれた方に全員、笑顔で帰ってもらうこと」だという。

似たようなことをいうアイドルは少なくない。だが、ドロシーは真に迫るところがある。

「レストランに行って、たまたま店員さんの対応が悪かったら、“もう行かない”と思うじゃないですか。ライブでも同じだと思うんです」(白戸佳奈)

 やる側には多くのライブの中の一つの失敗でも、そこで初めて観た人は“こんなものか”と思う。ドロシーに限らず地方アイドルは、地元のお祭りなどでたまたま通り掛かった観客を前に歌うことが多い。その1回ごとに心を捉えられるかの勝負をしている。

 さらに、こんな発言もあった。

「来てくれたお客さんの中に、もしかしたら、これが人生で最後に観るライブになる人がいるかもしれない。だったら、いいステージを思い出にしてもらいたくて」(富永美杜)

 翌日に亡くなってしまう人がいるかもしれないから…。極端に言えば、そういうこと。だが、震災後に復興イベントで東北を回った彼女たちは、無意識に“明日あるかもしれない死”を感じたのでは。

 だからこそ、今この時のステージをパーフェクトに。それが、東京では無名ながらメジャーなアイドルたちと競ってファンをつかんだ、去年夏のTIFに結びついた。

 最後に余談。メンバーの秋元瑠海の家の冷蔵庫にはチーズがたくさん入っていて、賞味期限が切れてることも多いとか。

「チーズが大好きで食後に必ず食べるんですけど、私って優柔不断で。買い物に行っても選べない。1人でチーズを買いに行くと、ちょっとでもいいと思うものを全部買っちゃって」。
(終わり)


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