吉本NSCの完璧な養成所ビジネス(4/4) | Deview-デビュー
2012年2月20日

 NSCのHPで「お笑いコース」を見ると、年間スケジュールが出ている。
4〜6月は「基礎授業」。発声や演技に、礼儀まで教えるようだ。
7〜9月は「応用授業」。芸人や放送作家がネタ作りを指南。ネタ見せにアドバイス。去年の講師陣には中田カウス、月亭八方、木村祐一らの名前が。ラッキィ池田が講師のダンスの授業も。
10〜12月は「実践授業」として、観客を入れたイベント出演の機会が多数設けられる。
1〜3月は「卒業公演制作」。

 かつてオリエンタルラジオの2人は、散髪代を浮かすためにお互いの髪を切ったりしながら授業料を作ったとか。はんにゃの金田は入学当初、金がほとんどなく、入所者数人で昼食に行ったとき、たまたま隣りにいた川島に「貸してくれ」と頼んだのが、コンビ結成のきっかけ。

 オリラジはネタ見せの授業で、中田の自慢話に藤森が「すごい!」というだけだったネタに、講師のアドバイスでヒップホップ風の踊りを付けて“武勇伝”を生んだ。それでNSC在学中にM-1の準決勝まで進む。

 だが、これは例外中の例外。例年、入所者の半数は卒業までに辞めてるそうだし、卒業したからと言って、芸人になれると保証されるわけでもない。

 それでも吉本には入学金と授業料が入るうえ、年に何人かは有望な新人を発掘できる。人材供給システムとしても万全。一発屋もいるが、本人には一発でも、事務所の立場では毎年一発屋が出れば問題ない。代わりはいくらでもいる。そう言うと冷たいが、ビジネスとしてはそういうもの。

 とか書いてきたが、芸人志望者はそんなこと百も承知だろう。NSCの2012年度の募集は 3月まで受付中。1%の夢に賭け、今年もたくさんの若者が門をくぐる。
(終わり)


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