2011年12月26日
水樹奈々の東京ドーム2DAYS、初日を観た。4万人の観客が一斉に青いサイリウムを振ると大海が波打つよう。そんな中で水樹奈々は堂々とした振る舞いで歌う。彼女のことはCDデビューした11年前からずっと取材しているが、近年の大会場のステージで“あれは誰だろう?”という感覚になることがある。
ビッグアーティストになって態度も大物になれば“今はそういう世界の人なんだ”という目で見られる。ところが普段の彼女のたたずまいや人当たりは、いい意味デビューの頃と変わらない。地方公演で楽屋を訪ねると、小柄でちょこんとイスに腰掛け、ケータリングで何を食べるかではしゃいでたり。そんな水樹奈々と大会場のステージの水樹奈々が、一つの像を結ばなくて。
ドームでは気球に乗って舞い上がったりと派手な演出もあった。一緒に歌い踊る4万人も楽しそう。関係者席で聴いてると踊るわけにはいかないが、逆に曲を聴いてるだけでも十分に堪能できる。そんなライブだった。
近年のメジャー化の中、彼女は「歌に向き合う気持ちがより強くなりました」と話していた。10の上に11を乗せるのでなく、1から10まで固めたうえで11を積むのだと。その言葉を裏付けるヴォーカルの充実ぶり。
幼い頃から歌の先生だった両親に鍛えられたバックボーンも生きてるが、うまいから東京ドームで歌えるわけではない。歌のうまい歌手はいくらでもいる。言うとナンだが、ヴィジュアルも飛び抜けてはいない。水樹奈々が他と違っていたものは…。
彼女とデビューが近く、最近名前を見ないある女性声優が「私にも奈々ちゃんぐらい“売れてやる”という気持ちがあれば、違っていたかもしれない」と漏らしたことがあった。
(明日へ続く)

戻る