2011年12月22日
中学を卒業して、四国の田舎から1人、歌手を夢見て上京した少女が、16年後に東京ドームのステージで歌う…。
少女マンガのような夢物語。だが、これは現実の話。実現したのは声優の水樹奈々だ。12月の3・4日と2DAYS公演を行い、計8万人を動員した。
2年前からオリコン1位、西武ドームでのスタジアムライブ、紅白歌合戦出場と“声優初の”という冠が付く偉業を次々に達成。本人は「たくさん奇跡が起きて…」と話しているが、東京ドームまで行くとは文字通り奇跡だ。
声優系・アニメ系は音楽界の中で、いわば独立リーグ的な扱いをされてきた。声優界の一大事でも、外からは村の中の騒ぎに過ぎない。たまに総合チャート上位に一般には知られない声優の作品が入っても、書籍売上げで宗教団体トップの著書が入るような受け取り方。“信者”だけが買ってるのだろうと。
90年代の声優ブームの頃、その手の作品のランクインが目立ち、当時「weekly oricon」の編集だった自分は「他の音楽誌ならともかく、チャート誌ならチャートに入るものは平等に取り上げるべき」と(って書き方をするとカッコイイですね)、声優を積極的に誌面に登場させ、林原めぐみや國府田マリ子らには表紙も飾ってもらった。
そんな自分でも、まさか声優が東京ドームでライブをやる日が来るとは、夢にも思わなかった。実際のところ、今も声優アーティストに対する見方自体は、昔とそう変わらない。けど“コアな人気の”と決まり文句で片付けようにも、“メジャー”より売れてたらコアも何もない。
そんな時代を築いた水樹奈々。いったい彼女の何が特別だったのか。
(明日へ続く)

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