2011年12月15日
テレビ番組とネットコンテンツの違いの一つは、テレビは放送される時間の視聴者の環境や生理を考慮する必要があること。その点、深夜に観るのにちょうどいいのが『秘密諜報員エリカ』だ。
主人公は栗山千明が演じる主婦。かつては内閣情報調査室の秘密諜報員、つまりスパイだった。元上司に頼まれ、依頼された民間トラブルを解決するため潜入調査をして、最後はアクションを見せて一件落着。
毎回お決まりのパターンで都合いい展開もあるが、栗山がきれいだし、事件は1話完結でスッキリ解決するし、くたびれた夜中に40分、肩の力を抜いて観るのに加減がいい。設定的に深田恭子の『専業主婦探偵』と似たところがあるが、『エリカ』のほうが楽しめる。例えば、共に潜入でコスプレをするが、メイド服姿まで見せる栗山に対し、深田は清掃業者とか地味過ぎ。
深夜に溶け込んで観られるのが『深夜食堂2』。繁華街の片隅で午前0時から朝まで営業する食堂が舞台。マスター役が小林薫で、毎回店に来る客の小さな物語が描かれる。酒飲みの母親といい年して結婚しない息子、風俗店で働く女性と弁当屋の青年…。
そして、あさりの酒蒸しとか煮こごりとか、素朴な料理がおいしそう。真夜中に自分も食堂の客になって話を聞いてる気分になるし、本当にこんな食堂があったら行きたい。眠る前にほのぼのした気持ちにさせてくれる。
深夜に観るから面白い面もあるにせよ、映画化して大ヒットした『モテキ』も、元は深夜ドラマだった。こうしたドラマの制作費は、『南極大陸』の1割といったところか。だからと言って、面白いものが作れないことはないと証明している。人気タレントを並べなくても。作り手側も“大人の事情”に捉われず内容にこだわりたければ、むしろ深夜でやりたいと思っているのではないだろうか。(終わり)

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