2011年11月30日
秋ドラマの女優話を続けてきたが、今クール最大の話題は松嶋菜々子主演の『家政婦のミタ』。初回19.5%から評判を広げ、5話で20%越え、6話では23.4%にまで達した。
タイトルは市原悦子の定番シリーズ『家政婦は見た!』のもじり。ちなみにこのドラマ、よくネタになるが、ドラマ自体をちゃんと観たことある人って、どれだけいるのだろう? 自分は観たことありません。
それはともかく『ミタ』のほう、最初は同じ日テレの『ハケンの品格』的な話かと思った。何でもできるスーパー家政婦が、家庭の問題を解決していくような。確かにミタさんは何でもできるが、頼まれたことは無表情で「承知しました」と淡々と実行に移す。子供をいじめる同級生を殴ることまで。
この異様さは『女王の教室』を思わせた。脚本は同じ遊川和彦氏。さらに最初の頃の幼稚園児の二女の「ミタさん、手が冷たいね」という台詞に、もしや『Q10』も入っていて、実はミタさんはロボット!? なんてことも考えた。少しずつ彼女の過去が垣間見え、さすがにそういうオチではなさそうだが。
ともあれ、ミタさんっていったい…という興味でグングン視聴者を引っ張る。松嶋の能面のような演技には覚悟がこもっていて。
松嶋菜々子といえば、2000年の『やまとなでしこ』で30%を越える視聴率を叩き出すなど、文字通り頂点を極め、一時代を築いた美人女優。それが『ミタ』では“美人”の看板をかなぐり捨て、薄いメイクで不気味なほど。
なかなかこうはできない。美人女優のステイタスにこだわり、いつまでも役幅を広げないまま仕事を選んでるうちに、消えていった人も少なくない。38歳・二児の母となった松嶋がいつまでも恋愛ドラマとはいかないにせよ、ここまでやるとは。
だが振り返れば、彼女は昔から、やるときはやる人だった気もする。
(明日へ続く)

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